日々是紅茶⑧「紅茶の二番煎じはいけるのか」
煎茶は一杯目で甘味を感じて、二杯目で程よい渋味を味わう。
ウーロン茶は初めに茶葉を洗うため、一旦お湯を注ぎこぼしてから、実質二杯目が一杯目。二杯目以降も蒸らし時間を変えながら香りや味の変化を楽しめる。
では紅茶は?
紅茶が好きで気軽に自宅でも楽しんでいる人なら、こんなちょっと残念な経験が一度はあるんじゃないかな。
美味しく紅茶を淹れて、甘いお菓子と合わせたみたらついすぐに飲みきってしまい、空になったポットに再び熱いお湯を注いでみたものの、、二杯目は、「ほんのり香りと渋味のある色のついたお湯」。
一回きりなんて、エコじゃないともいえなくもない。
私だって出来れば、大切に作られて手元に来てくれた紅茶の茶殻を一回きりですぐに捨てたくはない。
でも毎日のことで量も量なので、他の使い道に回す(うがいとか掃除とか)のに追いつかないのが現状で少し心苦しい気持ちもあった。
でも私が思うに、大概の紅茶は一煎目がいちばん美味しいと思う。薄い二杯目を飲んで、初めに感動した味の余韻を消してしまうのは逆に紅茶に対して、もったいないのではとさえ思う。
とはいっても実際に私は、初めてのお茶を試飲する際は、味や香り、色などを確認するだけでなく、「二煎目が美味しく淹れられるかどうか」も確かめるようにしている。
残念ながら、例外を除くと二杯目はうんと味と香りが落ちてしまうというのが私の結論だ。
基本的には(一部例外もあるけれどそれはまた別の機会に)紅茶は一回目の抽出で、美味しい成分がほぼ全部出てしまうので、茶殻だけになったポットに再び熱いお湯を注いでも二杯目は、「色のついたお湯」になってしまう。
さらに時間を置いて冷め切った茶殻の入ったポットなどにお湯を注いだら、色すら出ない。かなしいかな、これが現実。。
なぜなのだろうか?
私なりに推測してみると、主に理由は2つあると思う。
①紅茶の製茶工程の理由から
②紅茶のおいしさバランスがくずれるから
緑茶は無発酵、つまり茶葉を積んだら早い時期に殺青と言って、火入れを行う。
ウーロン茶は半発酵茶。
そして紅茶は強発酵茶であることは、よく知られている。
【紅茶はダメージを昇華させる】
くわしく説明すると長くなるので、ここではざっくりお伝えするが、たとえばスリランカの南部の紅茶は、
摘む⇒萎れさせる⇒揉撚(文字の通り、揉んで葉汁を出し撚っていく)
この過程でどんどんと発酵が進む。
その後、高温で乾燥させて(ここが実質火入れとか失活という部分)、大きさを揃えて出荷される。
紅茶の場合、茶葉に火入れをして旨みを閉じ込める前に、わざと葉を傷つけて葉汁を出させるようにダメージを与え、十分に成分を出して空気に触れさせて発酵させている。
だから、紅茶はお湯を注いだ瞬間から、スポンジのようにお湯を吸収して茶葉が開くにつれて全身から良い香りと味わいを存分に出しながら人生を全うするのだ。
だから、一煎目で持てる最大限の力を出し切ってくれているともいえる。
なんとも甲斐甲斐しいお茶なのだ。
もうひとつの理由は、後編で。