京大ロー受験記①入試全体観編

はじめに


磁石です。

 この記事は、僕が京大ローを受験する過程をまとめたものです。
 ロー入試は、大学受験と違って自分の相対的位置が分からないので、高リスク・高ストレスな受験生活になりがちです。そんな生活の中で、僕自身ロー入試の体験をまとめた諸ブログに大いに助けられたため、これを残します。

 まずは入試全体観編です。受験生のレベル感と受験の流れを書きます。続編の試験対策編はこちらから。僕の入試の成績・答案構成はここから読めます。


学部成績

 ロー入試合格者は、学部予備合格者と違ってレベルはピンキリだと思います。体験記を読むときも、書いた人のスペックをよく把握しておくと良いと思います。
 僕は
・学部成績平均77.5~78.5点
・予備試験論文落ち(2年:短答× 3年:短答× 4年:論文×1100位代) 
です。学部成績の平均点に幅があるのは、コロナ禍の変則試験でアルファベット評価しか明らかになっておらず、素点不明の科目があるためです。

 他大の方向けに補足しておくと、78点という数字はおそらく印象よりは良い成績だと思います。京大法学部は特殊な採点方式のために点数が密集しやすく、80点でA+が付きます。ロー入試に成績を使用する関係からかは分かりませんが、A+の人数を予め固定するための相対評価と言われています。85点でほぼ科目トップ層、90点をつけるには教授会の審議が必要・・・・・・などと噂され、おそらく大半の学生は成績表に84点以上を見ることはないでしょう。飛び級するほどではないけど早くからロー受験を意識していた・・・・・・という学生の平均成績は、だいたい70点代後半に落ち着きます。
 僕の成績だと、学部の上位2割、ロー受験生の上位半分くらい・・・・・・という体感です。京大ローの説明会では、学部成績77点の京大生の合格率が7割、75点で5割、74点だと4割との説明がありました(どうでもいいけど京大ローくん、説明会で京大生の成績を参考指標に使うなんて京大生以外の受験生をちゃんと想定してるのかな?)。
 これは伝聞ですが、かのSOM先生は学生に「78点代で落ちた子を見たことがないから安心しなさい」と言ったとかなんとか。学部成績は大事です。

 これも説明しておくと、学部成績が高い方がいいのは、学部成績と当日の試験の成績に相関があるからではありません(相関はあると思うけど)。
 ロー入試は、普通は事前提出の書類点と筆記試験を合算して合否判定します。各大学が応募書類に求める内容は様々ですが、京大ローは学部成績を重視しており、書類点の点数は(どんなに熱い志望理由を書いたとて)京大の学部成績を4倍した値にほぼ一致することで知られています(僕なら77.5~78.5点×4≒310~314点になると予想される、ということ。実際の点数は311点でした)。更に京大はこの書類点の配点が異常に高く、試験での挽回が難しいのです(僕の受験した大学の"書類点:筆記試験"の配点割合は、京大が8:11、慶應1:4、阪大1:8)。
 要するに、京大ローへの選抜は学部1回の段階から始まっており、学部試験の成績を高く維持することはいつからでも始められるロー対策になる、ということです。
 外部の方は一般的に書類点が20~30点ほど低くなるらしいので、追加での高評価が欲しいところです。外部合格者のロー生の方のブログで、有名かつ面白いものを貼っておくのでご参照あれ。


予備試験

 ところで、僕は上記の通り学部2年から予備試験を受けています。これだけ書いてしまうと意識が高そうですが、2年・3年はほぼ無対策で短答落ちしており、本格的に予備・ロー対策をはじめた3年後期までは、サークルへのコミットの方が大きかったです。それ以前は、学部の試験1ヶ月前だけを全力で乗り切るという勉強しかしておらず、決してハイレベルな学部生ではありませんでした。京大ロー受験生のうち予備を受けているのは多くて半分くらいで、その多くがガチ勢ではないと思われる(ガチ勢ならとっくに予備抜けしてる)ので、その辺は安心していいと思います。

 と、いっておきながら何ですが、予備試験の受験経験は大いに活きました。予備ルートでの合格云々以前に、学習のペースメーカーと弱点の明確化に繋がるからです。特に4年時はおすすめです。地獄を見てきた者達は面構えが違います。

予備論文、11時間半あって脳と腰と握力が死ぬ

 めちゃめちゃ主観ですけど、周囲の合格者の方を見る限り、入試を受ける年の短答に合格していると、上位ロースクールへの強い合格推定が働く感じがします。最上位ローを外部から受験する場合だと、論文合格に近い力が必要なのかな~~(論文2700人中1000位くらい?)という感じ。
 これは短答知識がロー入試に活きるというより、ロー入試の2~4ヶ月前にある論文試験までに知識を完成させることの意義が大きい、という意味合いです。短答不合格でも夏秋で挽回できると思いますし、令和5年の予備試験は論文が9月になり、院試との余裕がなくなるので推定は弱くなるでしょう。目安程度にお願いします。

かくいう僕は短答の民事壊滅です。教養のカンが冴えるとこんなんでも通るので、あんま気にしないのが大事。


受験の流れ

 院試受験生のレベル感を踏まえて、ここからは受験の流れです。京大生が主な読者の想定です。

 ローは私立と国立で時期が大きく異なり、私立ローは9月に受験が始まり、早ければ同月に結果が出ます。一方、国立ローは11月が主戦場で、合格発表は12月が多いです。
 よほど強い精神力を持っている人でなければ、国立が本命でも私立複数校との併願がオススメです。私立は国立直前の実力チェックになりますし、なにより11月は就職組どころか他学部の院試も一部を除きほぼ終わっているので、私立を確保しておくと、周囲で1人だけ来年の居場所がない、という地獄を避けることができます。滑り止めの結果が出る前に就職組から入ってくる飲みの誘いとかちょっとしんどかった。

 私立はお金が・・・・・・という人も多いと思いますが(僕もそう)、ひとまず奨学金をチェックしてみるのがいいです。最近のローは合格者全員に奨学金を出しているところもあり、そういう場合は紙面の記載金額より実際の学費が数十万円安い、ということもザラです。僕も、中央ローは全免(入学金30万円は支払、2年間の学費約300万円が免除)で合格を貰ってます。レベルの高くないローほど奨学金は充実している傾向にあり、併願で保険をかけておくのが得策です。
 私立は(たしか)5月頃には募集要項が明らかになっていることが多いので、いろいろな期日や奨学金の充実度などを早めに確認しておくと良いと思います(受験日が被っていたり、A大の合否発表前にB大の入学金振込み期限があってシナジーが悪かったり、などがあります)。
 僕は京大ローを第1志望、東京での就職で強い派閥となっている慶應ローを第2志望、京大と併願できるレベルの高い国立である阪大・神大を第3・第4志望、自分の実力では安全圏かな・・・・・・?と踏んだ中央ローを第5志望にしました。慶應は補欠でしたが、中央で免除を貰ったので11月の神大を受験しないことを決意し、秋は京大の対策に全力を注ぎました。

 ここからは具体的な併願校の話です。基本的に京大生を想定しています。
・まず本命を定めます。東大・京大・一橋は受験日を被せるのが通例で、予め1校に絞る必要があります。書類点のアドがあるのでみんなほぼ京大を受けますが、東大を受ける方もまれに見ますね。東大・一橋はTOEICが必要で、特に一橋は面接もあるそうです。試験本番の法律科目の多さ・重さは京大がぶっちぎりです。直前10月は誇張抜きに修行。
・京大内部では、阪大・神大との併願勢が多数です。この2校は規模・関西大手への就職実績に差がほとんど無く、志望の優劣は立地やカリキュラムの好みの問題だと思います。
・奨学金がシビアであることを除けば、慶應も併願先に好まれる傾向にあり、毎年20人ほどの京大生が受けます。慶應は東大・一橋の受験生も受けるためか、京大生の合格難易度だけなら恐らく一番難しいです。慶應は受験者の属性を細かく公開しており、京大生は半分以上落ちていることがわかります。あと繰り上げ可能性のない補欠制度を維持しています。たった十数人ならそこまで合格で良いでしょ・・・・・・。
・慶應に次ぐ私立として早稲田が挙がることもあります。僕は早稲田の合否発表が中央の入学金振込み期限後でタイミングが悪かったため、まあ良いか・・・・・・と受験しませんでした。慶應落ちたときちょっと後悔しました。
・中央、同志社、立命館以下は安全校として選ばれるイメージ。受けない人の方が多いと思います(京大生、総じてメンタル強い)。中央と同志社は今年受験日が被ってました。例年そうなのかは知りませんが、こういった併願先の受験日は気をつけてください。僕は関東出身なので中央を受験しました。キャンパスが移転して綺麗になるので、少し人気が復活しそうです。一方で、同志社は奨学金の充実度合いのせいか、近年の司法試験合格者数は上昇傾向にあります。京大からの進学者は正直かなり少数派ではありますが、これらのローに進学する方も毎年います。
・あと、北海道出身の友人は北大を併願して、普通に合格してました。曰く、京大・神大に次ぐ第3志望の位置づけだったらしいです。

 僕の体感ですが、ロー入試は、他学部の院に比べて入試がシビアで、大量受験・大量不合格な感じがします。また、法学部は実験等がなく、他学部の進学者に比べて早い段階から対策をする傾向が強かったと思います。要は2度目の大学受験です。僕の場合は3年生の1月ごろから、ほぼ予備試験と院試の勉強に全振りした生活をしていました。これを読んでいる方が3年生なら、すぐに予備や院試に取りかかって損は無いと思います。


おわりに

 というわけで、受験生のレベル感と簡単な院試の流れ・併願プランでした。次回は、具体的な試験対策編です。

それでは、また。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?