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別所温泉 一人旅【1日目】
閑散期の暇な期間にあと1回くらいは一人旅したいな〜などと思っていたタイミングで運良く連休がもらえたため、別所温泉へと一人旅することにした。
せっかく3連休をもらえたので2泊3日で遠出しようかとも考えたのだが、数日前に罹った気管支炎が治りかけだったこともあり、今回は比較的近場で1泊2日することにした。それに別所温泉には泊まってみたいと思っていた宿があったのも決め手だった。
1泊2日なら単純計算(?)で宿泊費が1日分になるわけだし、近場なら交通費も安くすむ。その分少しだけ贅沢しちゃおっかな〜😉なんて短絡的な考えで、プレミアム会席のプランを申し込んでみた。
メインが信州産プレミアムりんご和牛の石焼で、信州産牛の焼きしゃぶまでついてくるプランだ。もう字面を見てるだけで涎が出てくる……!前回の一人旅が美味しい魚介類をたくさん堪能したので、なんとなく今回は美味しいお肉を求める気持ちがあった。
そんなわけで、美味しい料理を食べてお酒を呑んで、温泉でのんびりと湯治する旅にするぞ‼️と心に決め、地元を出発した。
別所温泉までは地元駅から電車を乗り継ぎ4時間ほど。まずは特急しなのに乗り込み、岐阜県から長野県へ。
個人的に私は信州(長野県)に対してかなり親しみを持っている。信州好きな両親が信州にゆかりのある名を本名としてつけてくれたからだ。信州のことは勝手に我が名のふるさと(?)のように思っていたりする。
それ以外にも長野県と岐阜県は同じ海なし県同士であったり、文化や風習など似た部分があったりもして親近感があるのだけれども。こうして改めて電車から景色を眺めていると、信州の山って地元と全然ちげーな……と思ったりした。険しくて雄大だ。迫り来るような迫力と怖さがある。途中、電車の車窓から見えた上高地あたりの山々がとても綺麗だった。
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しなの鉄道線、上田電鉄別所線と私鉄を乗り継ぎ、お昼過ぎに別所温泉駅に到着した。
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駅から今日の宿までは歩いて15分ほど。散策がてら向かう途中で、昼ごはんを食べようと『相染食堂』さんに入った。
店内は地元のお客さんでいっぱいだった。口コミによるとラーメンが美味しいとのことだったが(店内のほとんどのお客さんもラーメンを啜っていた)、馬肉の乗っているという肉うどんが気になったので、そちらを注文する。
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うどんは少し柔らかめで、病み上がりの身体には有難い。馬肉はしっかりと煮込まれていて味が濃くてネギとうどんと一緒に食べると美味しい。空腹で冷えていた身体が熱いお茶とうどんでポカポカになった。
お腹が満たされたところで、一度宿に行きチェックインの前に荷物だけ先に預かってもらった。別所温泉の見所の地図をいただき、散策へと繰り出す。
まず訪れたのは『別所温泉センター』だ。こちらでお手洗いをお借りしたのだが、別所温泉の歴史などが展示されていたのでついでに興味深く見学させてもらった。
展示によると、別所温泉は信州で最も古い歴史をもつ温泉の一つであり、古代から湯の効能が知れ渡っていて、それが神仏の霊験と考えられて観音様がまつられたらしい。
温泉の効能が神様や仏様の力だと考えられていたとか、科学で説明が出来るようになる前の時代の考え方って面白いよな〜。と思いながら、その観音様がまつられたという『北向観音』へ向かう。お土産屋さんや喫茶店などが立ち並ぶ参道を抜けて石段を登りお参りをする。
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北向観音は、長野市にある善光寺(南向き)と向き合っているため「北向き」と名付けられているそうだ。手水が温泉の源泉がそのまま出ているのに驚いた。
いつものように「これからも健康で元気に働いてお金を稼いで、また美味しいものをたくさん食べる一人旅に出かけられますように」と祈願する。(※私は旅先で立ち寄る全ての寺や神社で同じ願いを祈願している)
お参りの後、おみくじを引いた。結果はまたなんとも微妙な感じで「今は暗闇を彷徨ってるけど、今後の未来は明るいぜ👍」みたいな内容だった。本当ですか、まじで頼みますよ……なんて思いながら結び所にくくりつける。ふと顔を上げたら景色がとても良かった。
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参拝を終えて石段を降り、参道を歩いていると『飲泉塔』というものが目に止まった。飲用の温泉で、温泉を飲むことでの温泉療養なんてものがあるらしい。
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へぇ〜おもしろっ! どれどれ……なんてワクワクしながら興味本位で手で掬って飲んでみた。すごい……すごく、硫黄……キッツい硫黄の匂いがブワァっと口いっぱいに広がり鼻から抜ける。正直に言って少しも美味しくなくて、う、うわぁ……おぇえ😖という気持ちそのままにシワシワの顔になった。まぁ、でも良薬口に苦しと言うし……きっと身体には良いのだろう。そう思う事にする。
気を取り直して散策を続ける。次にやって来たのは『足湯ななくり』だ。
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少しぬるめに感じる湯だったが、ずっと浸かっていると身体全体がポカポカしてくる。
足湯ななくりの隣には『湯かけ地蔵』がある。
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湯かけ地蔵は良縁と子宝に恵まれるとのこと。ちょっと意味は違うかもしれないが、これから先に一人旅する時に美味しいものや素敵な出来事、経験との良縁がありますようにと願いながらお湯を頭からかけて来た。
その後もぶらぶらと散策を続け、『大湯薬師歌碑公園』へとやって来た。ここには「ねじり紅葉」という文字通りねじれた紅葉の木があるのだが、その説明が面白くて笑ってしまった。
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ねじり紅葉は途中まではねじれて、そこから上は真っ直ぐ素直に成長した紅葉の木で、なぜねじれているのかも樹齢もよくわからないらしい。本尊の薬師如来とともにこの霊木にお参りするとねじれ曲がった心が素直になると伝えられているとか。
こういう、「原因はよくわかってないけどなんかあやかってお参りされてる自然物」って結構好きだ。私も「心がねじれ曲がっているので素直になりたいです〜😭素直になれますように🙏」と手を合わせてお参りした。
歩き回って身体が冷えてきたため、甘味と温かいものを求めて『茶房まるげん』さんへとやって来た。
地元のお客さんと観光客のお客さんで賑わう店内は、薪ストーブが燃えていて温かい。どこか懐かしくて居心地の良い、落ち着く空間だ。こちらでクリームあんみつの抹茶アイス乗せ、ほうじ茶付きを注文する。
実は私は和菓子やあんこがそこまで得意ではないのだが、私の後ろの席から地元のおじさんっぽい方達が「ここのあんこは手作りで最高なんだよな〜」なんて和気あいあいと話しているのが聞こえて来たため、そりゃあ頼まにゃかんな! という気持ちになり注文してみたのだった。
あんみつに入っている白玉は、この茶房まるげんさんの向かいにある『長谷川豆腐店』さんの豆乳で作った白玉だとか。わくわくしながら待っていると店主のおばちゃんが運んできてくれた。
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手作りというあんこ、確かにとっても美味しい。甘すぎずしっとりした口当たりで小豆の旨みが強い。抹茶アイスと一緒に食べると丁度いい甘さだ。豆乳入りの白玉はぷるぷるもっちもちの弾力。
そして添えられていたフルーツの中にさりげなくちょんといる、りんご‼️ 「わたくしはあんみつさんの飾りですので🥹」みたいな顔してる、謙虚なそこのお前お前‼️🫵 このりんごがもう、びっくりするくらい美味しかった。みずみずしくて甘酸っぱくて、鼻に抜ける香りが爽やかで……さすがは長野県、りんごの名産地なだけあるなぁとしみじみ思う。
佃煮が付け合わせに添えてあるのも嬉しい。甘いのとしょっぱいのの交互に味わうのがやみつきになる。
ほうじ茶のおかわりを注いでもらえたり、お店と店主さんの温かい雰囲気の中でのんびりと過ごさせてもらった。そうこうしているうちにチェックインの時間になったため、本日お世話になる宿、『旅宿 上松や』さんへと向かった。
こちらの上松やさんは、一人旅歓迎の宿だ。一人旅向けのサービスがとても充実している。プランも色々とあり男性向け・女性向けプランがあったり、別所温泉にゆかりのある戦国武将、真田幸村をモチーフにした真田戦国部屋などがあったりと面白い。
一人旅をしていると一人客は受け入れていない宿なども結構あり、泊まりたいのに涙を飲んで諦めることも多々ある。そのため、こうした宿は本当に有難いと思う。私はこちらの宿を旅行雑誌の一人旅特集で知り、ぜひ宿泊してみたいと思っていたのだ。
私が予約したプランでは、ワンドリンク付きだったため、売店で飲み物一本を無料で選べた。せっかくなのでと幸村茶というペットボトルのお茶を引き換えてもらい、ついでに夜の晩酌用の地ビールとおつまみを購入する。
また、ロビーにはウェルカムドリンクがあり、地酒やワイン、コーヒーなどが無料でいただけた。
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チェックインして案内されたのは6階の角部屋。こたつがある10畳の部屋だ。一人旅関連の本がたくさんあるのが嬉しい。
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荷解きをして一息ついたところで早速温泉に入ることにした。浴衣とタオルを用意されていた手提げ袋に入れて、大浴場へと向かう。
上松やさんでは「大浴場ななくり」と「大浴場ろくもん」の2つの大浴場がある。23時から清掃が入り、男女の入れ替えが行われるシステムだ。
私が向かった時は女湯が「ろくもん」で男湯が「ななくり」だった。「ろくもん」は六文銭をモチーフにしたデザインで、露天風呂は石風呂。幸村の隠し湯である石湯にちなんだものらしい。一人用の陶器風呂もある。
お風呂場の扉を開けた瞬間から硫黄の香りがふわぁっと広がる。硫黄泉の温泉って匂いだけでなんだか身体に「効く」感じがするよなぁ、と思いつつ髪の毛と身体を洗ってから湯船に浸かる。温度はちょうど良くお湯はなめらかで柔らかい。弱アルカリ性単純硫化泉の源泉を掛け流しているとのこと。
別所温泉は美人の湯と言われているそうで、かつては近郷の若い娘さん達がお嫁に行く前に別所に通い、肌を整えてからお嫁入りしたそう。
今で言うとこのブライダルエステか〜(?)なんてしみじみしながらあったまる。確かに肌がツルツルになり、お風呂から上がった後もしっとりしていて保湿いらずだった。そしていつまでも身体がポカポカ温かい。
温泉から出た後は部屋に戻り、用意されていたお茶菓子をこたつで食べたりして夕飯の時間までしばしまったりと過ごした。
18時、夕飯の予約時間になったので食事会場へと向かう。カーテンで仕切られた半個室といった雰囲気の席に案内された。用意されていた前菜やお刺身などがキラキラ眩しい。夕飯の会席を本当に楽しみにしていたので、湧き立つ心でお品書きを眺めた。
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お品書きを眺めながら少しずついただく。信州産や上田産といったこの辺りの食材をふんだんに使った前菜。どれも一つ一つの作りが繊細で丁寧で、手が込んでいる。細部にまで工夫が凝らされているのが伝わって来た。特にスモークサーモンの押し寿司を野沢菜塩につけて食べるのが珍しくて美味しかった。
上田市にある酒蔵の地酒飲み比べもあったので注文した。
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「瀧澤 純米吟醸」は甘味があって美味しく飲みやすい。3つの中では一番好きだった。「福無量 純米吟醸」は、瀧澤を飲んだ後だとスッキリとした辛口といった印象。お肉と良く合いそうだ。「つきよしの 純米」はさっぱりとしている。どこか口当たりが柔らかく優しさを感じるのは、女性杜氏の酒造という印象からかもしれないな、なんて思った。
前菜を食べ終わる頃、煮物の「白馬豚の奉書巻 そばの実餡かけ」と焼き物の「信州産林檎と安曇野サーモンの杉板焼き わさび味噌」が運ばれて来た。
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白馬豚の奉書巻のそばの実餡かけ、これ……めちゃくちゃ美味しかった……🥹 ちょっと庶民的(?)な感想になるんですけど、「こ、これはッ‼️豚バラと白菜のミルフィーユ鍋みたいなのの……なんだかとっても上品で美味しいバージョンのやつだーーー‼️」となった。一緒に煮てある蕪も味がしみしみで、上にかかっている餡もお出汁がきいていて、そばの実のぷちぷちとした食感が楽しくて美味しかった。
信州産林檎と安曇野サーモンの杉板焼き、林檎の甘味とサーモンの旨み、わさび味噌のしょっぱみがマッチしていて美味しく、三位一体といった感じだった。
そして! 楽しみにしていた長野県産黒毛和牛の焼きしゃぶと、信州産プレミアムりんご和牛サーロイン焼き!
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焼きしゃぶは紫大根のおろしと白ポン酢でいただく。水菜などの野菜と共に食べると肉の油がさっぱりして美味しい。りんご和牛のサーロイン焼きはトリュフ塩でいただくのだが、柔らかく肉の味が強い‼️強い肉‼️美味い肉‼️ほんの少しで白米がモリモリ食べられてしまう。白米モリモリしながら酒もぐいぐい飲むという、食いしん坊と酒飲みの合わせ技(?)みたいなことをしてしまった。
ご飯も漬物もお味噌汁も、そしてデザートまでを大変美味しくいただき、すっかりお腹が満たされた。
食事も満足感がすごかったのだが、食べている途中で上松やさんの、恐らく……会長さんと思われる方が真田幸村の甲冑姿で挨拶に来てくださって驚いた。「真田幸村です」と名乗った後に「幸村もね、一人旅大好きですから」と朗らかに仰っていて、あーなんだか……ホントに一人旅の客として歓迎ムードで出迎えられてる……楽しませてくださってるんだなぁとしみじみ感じた。
しかし私は根が陰キャで人見知りゆえ、突然の予期せぬ出来事に対しての耐性がまるでない。さ、真田幸村が現れるなんて聞いてないよォ😱💦と挙動不審になり「アッアッワァッ、ド、ドウモ……」みたいな反応をしてしまった。
なんかこう……「おぉ、なんと真田殿であるか⁉️いやぁ、お会いできて光栄の極み🤝大坂夏の陣でのご活躍、実にお見事でしたな😉✨」くらいにノリ良く返せたらよかったな……。
そんなこんなだったが、記念に一緒に写真を撮ってもらったりと、美味しい食事だけではなく珍しくて面白い体験をさせていただいた。
部屋に戻った後はのんびりテレビなどを眺めつつ、恒例の夜の晩酌……延長戦を開始した。
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THE 軽井沢ビール(クリア)は軽やかで飲み心地の良い、爽やかなビールだった。味噌くるみは甘くてぽりぽり口にする手が止まらなくなる。味噌くるみの甘さとビールの苦味が意外にマッチしていて、ぽりぽりしながらちびちびとビールを飲み進めた。
酔いが覚めて来た23時、再び温泉に入ろうと大浴場へと向かう。清掃と男風呂女風呂の入れ替えが済むまで、大浴場のすぐそばにある休憩スペースにて宿のお勧め「味噌スープ」を啜りながら待つことにする。
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味噌スープという名前から、いわゆるお味噌汁みたいなものを想像していた。だが、実際には透明で透き通ったお出汁の美味しい汁だった。鰹節と昆布の出汁の良い匂いがふわりと鼻腔をくすぐる。ちょっぴりしょっぱめで、お酒を飲んだ後の身体にじんわり染み渡り、大変美味しかった。
味噌スープを味わっているうちに清掃と入れ替えが終わった。今度は女湯が「ななくり」の方だ。「ななくり」では檜の露天風呂で、国宝である八角三重塔にちなんだ一人用の八角風呂があった。明日はその八角三重塔を見に行こうと思いながら、再び温泉で温まりポカポカになった。
部屋に戻り寝床につく。布団に寝転びながら、私は早くも明日の朝ごはんのことを考えていた。旅館の朝ごはんが大好きなのだ。しかもここの朝食は「美味しい白米を3杯食べられる朝食」らしい。
ふふふ……楽しみだ……とつやつやの白米とおかず達に想いを馳せながら就寝した。