信じなくていいです
誰にも信じてもらえないような話だけど
今日はどうしても寝苦しくて
気圧の変化に身体がついていかないのか最近調子が悪くて、今日はすごく寝苦しくて、残業続きで疲れているはずなのに、眠れなくて、息がつまって、
ふと、小さいときにおかあさんが歌ってくれた子守唄を歌ってみようと思って、それをうたうときおかあさんはいつもわたしの肩をとんとんたたいてくれたから、真似をした おかあさんが病室にいるときにわたしだと思ってだっこしていてほしいと伝えたぬいぐるみを抱き寄せた
1フレーズだけ、歌詞もおぼろげで、ねむれねむれ、ははの腕に、ねむれねむれ、母の手に、なのか、胸にだったか、歌ったあと、無意識に、布団のなかで自分の左肩をたたく自分の右手が、同じ調子で動き続けていた どうしてかわからないけど、自分の手の感覚はなくて、自分の手よりもずっと大きな手にたたかれているようなかんじがした
おかあさんだと思った
おかあさんのてだとおもった
病室にいくと、いつもおかあさんはわたしが渡したぬいぐるみを抱いていた あんただと思ってかわいがってるの、とおかあさんは笑ってた うれしかった 幼稚な気遣いを、母はいつも大切にしてくれた
お母さんの手だった お母さんの手の力の強さだった
わたしよりもずっと大きな手だった
おかあさんだった
誰にも信じてもらえなくていい あれはおかあさんだった
あれは母だったと、思い込むだけで生きていける