油断してると水のなかの世界から帰ってこれなくなる。~Dance Company MKMDC LAST BLACK FISH -溢れだす透明な魚-
2019年、最初に見た踊りは、
Dance Company MKMDC 第5回本公演 LAST BLACK FISH -溢れだす透明な魚-
ダンスポートレートを撮らせてくれた永井香奈ちゃんの出演舞台です。
MKMDC自体は以前から興味はあって、前作「桜の下の満開の下」で初観劇。
以来2回目の観劇です。
もう一言で言うと「すげえ!」な舞台なんですが、無事千秋楽も迎えたことですし、ネタバレを含むため書けなかった感想も加えてちゃんとまとめておきたいな、と思います。
ストーリーと事前インプット
今回の舞台は「※黒い魚※ (@lastblackfish)」というTwitterアカウントが公演の約1ヶ月前から公開されていました。
繰り返される「お~い?起きてる?」というつぶやき。
そして
このつぶやきが、舞台を大きく動かす仕掛けになっています。
そして、物語の鍵となるのがこのつぶやき。
知っているかたはピンときますよね。
恐らく、ALSでしょう。
ALSとはどんな病気?
ALSは、運動神経系が少しずつ老化し使いにくくなっていく病気です。運動神経系の障害の程度や進行速度は個々の患者さんでみな異なっています。知覚神経系は障害されないと言われています。
(一般社団法人日本ALS協会HPより)
※黒い魚※は、ALSを患い言葉を失い、言葉の溢れるSNSという水の中で泳いでいました。
そして3つめの質問の後、公演スタートの前日に登場したのは、※黒い魚※の身内を名乗る人によるつぶやき。
公演が始めるまでの1ヶ月弱、このアカウントのつぶやきを通じて、私たちは舞台の世界に足を踏み入れていました。
公演が始まる前から、公演がはじまっていたんです。
普通、事前にあらすじやキービジュアルくらいは知っていることはあっても、いつの間にか舞台がはじまっていてこんな風に世界に入りこんでいるなんて。そんなこと、そうそうないですよね。
ふたつの設定
そして公演を見に行くとパンフレットにはこんなことが書いてありました。
「この作品を創るにあたり、僕は出演者たちに二つの設定を与えました。」
※黒い魚※とやりとりをしていた※透明な魚※の正体がここで見えてきます。
と言っても、設定①と設定②の※透明な魚※は同じようでいて、ちょっと違う。のかもしれない。
さて、このパンフレットを見ている会場のステージには、泳ぐ魚の映像が写し出されています。
このときの私の気分は、水槽の中を揺蕩う魚の様子を、水槽の外から眺めたり、ガラスをツンツンしながら見ている気分でした。
踊り?演技?演出?すべての不思議
さぁ、いよいよ公演が始まります。
約2時間のダンスの公演。
全曲メンバー全員が踊る、圧倒的な空間。
ストーリーはあるようなないような。
一部セリフはありますが、明確なストーリーとしての描写ではなく、それぞれがダンスで語る、イマジネーションの世界です。
同じシーン、同じ踊りを見ても、人それぞれ感じるものはきっと違う。
それでも何か、見ている人たちどうしで、感じ合うものは合ったように思います。
そんなダンスを支えているMKMDCならではな演出がとにかく素晴らしくて。
踊りはもちろん、照明、小道具、衣装、舞台を余すことなく使った演出に見入ってしまいます。
この小道具とか見て!!
シャボン玉が光に照らされて、まるで水槽の中の泡。
そう、ここは水槽の中の舞台。
衣装も黒い衣装も、白い衣装も、細かいディテールの一つ一つがツボ。
黒い衣装では、オーガンジーの裾をひらひらとさせて、まるで魚のヒレのよう。
青い照明と、照らされるシャボン玉と、オーガンジーの舞う空間は、本当に水の中にいるよう。
白い衣装も、一人ひとりちょっとずつ違うから、踊りに夢中になりながらも衣装にも夢中になってしまって、目が足りない!笑
でもこうしてじっくり見れたのは、この会場が、すごく舞台が近い会場だったから。
座れた席もステージに近くて、臨場感が半端ない!
ダンサーさん一人ひとりの踊る表情も、息遣いも、ダイレクトに伝わってきて、ダンサーさんたちのアツさを肌で感じました。
これぞ舞台。すごく作品に引き込まれました。
こうして見ていると入ってくる情報(刺激)で心が充実するんだけど、それがぶわーーーーっと、膨大すぎて、良い意味で消化しきれない。
ここで受けた刺激がずっと心に残っていて、数日こころ奪われたまま帰ってこれなかった感じ。
そう、帰ってこない。
私も”そこにいた”から。
客席から見ていた舞台だけど、もしかしたら、あの瞬間私は、水槽のなかの水になっていたのかもしれない。
数日たってから、舞台を見ながら感じていた不思議な感覚は、そういうことだったのかな、とやっと気づくことができました。
最初は水槽の外から見ているような気持ちだったのに。
こんなふうに、見ている間に感覚が変わっていくことや、数日引きずるようなことってめったに無くて、かなり刺激的な舞台だったことを実感します。
今回はAキャスト・Bキャストがあり、私が見たのはBキャストの初回。
きっと、Aキャストで見たら違う感覚があっただろうし、Bキャストもラス回だったらまったく違う世界が見れたのかもしれない。
舞台は生物。
この日この時にしか出会えなかったこの感情を残しておきたかったので、言葉にするのはすごく苦手ですが、noteに記してみました。
#観劇note #MKMDC #LBF
これから見たい、注目しているもの
さて、2019年の始まりはMKMDCでしたが、 #今激推ししたいこと ということで、こうしてダンスの舞台を見て、自分の感性総動員して観劇するのって、感情のデトックスに最適なんじゃないかなー、と思っています。
で、今年見たい、気になっているものをいくつかご紹介
男子チア
年末の紅白歌合戦では、Hey!Say!JUMPのバックダンサーに早稲田大学の男子チアサークルが出演していました。
もともと男子の迫力あるチアは興味あったんですが、今年は「チア男子!!」の映画も公開されるので、ますます注目されていきそうですね。
梅棒
有名なダンスパフォーマンス集団ですが、毎回見に行き逃していて、子どもが梅棒を認識していないんですよね。。。
年末の紅白歌合戦で郷ひろみさんのバックで出ているのとかも一緒に話せなかったし、今日俺ダンスの楢木さんの動画見せても「ふーん、もう覚えてるよ、踊れるもん」くらいの反応だったりして、つまらない。。。
ということで、一緒に見に行くことが今年の目標です。笑
清水夏生くん
2017年に水谷豊さん監督の映画「TAP THE LAST SHOW」で主演していたタップダンサーです。
HIDEBOHさんに師事し、座頭市にも出演。
舞台も2回見たこともあるんですが、とにかく高速ステップがカッコ良すぎて、また見たいです。
雷光炎舞かぐづち-KAGUZUCHI-
光と炎のパフォーマンス集団です。
ファイヤーダンスはいつもSiva Olaで見て感動しているんですが、かぐづちは加えてテクノロジーを駆使した光のパフォーマンスがかっこいい!
その他、DRUM TAOとかB.LEAGUE、車椅子バスケとかも。
いろんなもの見てたくさん刺激受けたいです。