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夢見る頃

眠りに落ちる直前の、夢と現実の狭間、
あのまどろっこしい時間。


思い出すのは小学生時代に聞かれた、
あなたの夢はなんですか?という質問。


わたしはとても困った。


ここでの夢というのは、大人たちが納得する、期待通りの答えを求められているんだと感じた。
(…別にそんなことないのにさ、捻くれてるのか当時の私…)



医者、スポーツ選手、キャビンアテンダント、お嫁さん、美容師、、、


みんなはもうなりたいものがあるのに
私はなりたいものなんて何もなかった。



幸せになりたい。

小学六年生のとき、漠然とこう書いたことを覚えている。


嘘ではない。幸せがいいのに違いはない。

だけどこのとき書いたのは、苦し紛れに絞り出して、何とか自分に言い聞かせた夢だった気がする。


周りの大人が喜ぶように、置いてかないでと友だちと足並みを揃えるように。


いくつかの理由が重なって、人と違うことを恐れて周りに合わせることばかり考えるようになってしまった。

いつの間にか自分の意見より、全体の正解を求めるようになっていたんだ。




だから夢を聞かれると困った。



自分を問い詰めると何もなくて空っぽだったことに気付いてしまった。




あれから私にもやりたいことができた。

いろいろ、たくさん、あれもこれも。

もう周りの正解を求めることもやめにした。



だけどふと、空っぽな自分を思い出す。
あ、私何もないんだったって。

フタをして見ないようにしていたこと。
今もただの夢みがちな女の子なだけなのかもしれない。



あとちょっと、どれだけ手を伸ばしても
届きそうで届かないものばかり。



わたしの知ってるあの人とあの人が同じ舞台に立っている。



ちょっとの違いなのかもしれない。



だけどそのちょっととちょっとの間にはきっと大きな溝があるんだろうな。


あー届かない。

そっちに行くにはどうしたらいい?




時々おもう、これ全部夢だったらどうしよう。



夢に見たいいことはそのまま正夢になってしまえばいい。

夢に見た悪いことはそのまま悪夢として葬られればいい。



世の中そんなにうまくはいきませんよな〜。


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