スポーツ関連の脳震盪:脳震盪受傷後の脳血流
自己紹介
こんちにわ、Calant スポーツリハビリ&パフォーマンスの爪川慶彦です
東京都文京区白山で一般の方からアスリートまでのパーソナルトレーニング/リハビリ/脳震盪リハビリを行っています
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スポーツ関連の脳震盪:脳震盪受傷後の脳血流
脳震盪を受傷すると脳の様々な機能が障害を受けて、脳がうまく働かなくなります
脳への血流は健常時には非常に精細にコントロールされていますが、脳震盪を受傷すると脳への血流「脳血流」も影響を受けることがわかっています
今回ご紹介する文献はこの脳血流を脳震盪受傷者と非受傷者、さらに男女別でも比較したものです
実験方法・被験者
・大学の部活動に所属している学生122名の脳をMRIで撮影し、脳血流を計測
・計測はスポーツシーズン開始前に実施、ゆえに脳震盪受傷歴があっても計測時点では症状は無し
・脳震盪受傷者(男性28名、女性28名)、脳震盪非受傷者(男性33名、女性33名)で計4グループを作成
・所属していた部活動はアメリカンフットボール・ラグビー・アイスホッケー・バスケットボール・ラクロス・サッカー・バレーボール
・MRI撮影の他にもSCAT3 (Sports Concussion Assessment Test version 3)、BESS (Balance Error Scoring System)、SAC (Standard Assessment of Cognition)、Automatic Neuropsychological Assessments Metrics (ANAM)も実施
結果
男性同士の比較
・脳震盪受傷者は非受傷者と比べると以下の部位への脳血流が有意に低下していた:両側の上側頭回(superior temporal gyrus)と中側頭回(middle tempral gyrus)、及び左前頭弁蓋部(left inferior frontal operculum)
・脳震盪受傷者は非受傷者に比べるとANAMテストで行われた反応時間が有意に遅かった
女性同士の比較
・脳震盪受傷者はBESSテストでは非受傷者よりも有意にスコアが高かった
・2回以上の脳震盪受傷者は1回のみの受傷者よりも以下の部位への脳血流が有意に低かった:左前帯状皮質(left anterior cingulum)、右小脳(right cerebellum)、右中後頭回(right middle occipital gyrus)
男女間の比較
・男女の脳震盪受傷者を比較すると、女性の方は脳血流の変化量は有意に大きかった
まとめ
脳震盪によって脳血流が影響を受ける可能性がこの研究で明らかになりました
この研究では、男性同士では脳震盪受傷歴の有無で脳血流が低下し、女性同士では2回以上脳震盪を受傷すると1回のみと比較して脳血流の低下が示されています
また、今回の脳震盪受傷者は脳震盪から回復している時点で脳血流を測定しており、「脳震盪の症状がない=脳血流が脳震盪非受傷者と同じ」というわけではないということを示しています
脳震盪受傷者は常に頭痛などの症状がある場合もあれば、「運動をした時」や「集中しようとした時」などに症状が出る時もあります。ですので、そのような時の脳血流の変化も確認できると新たな発見がありそうです
今回も最後までお読み頂きましてありがとうございました
参照文献
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