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母指の関節や筋肉のまとめ
今回は自分の復習のために手の親指(母指)の筋肉や関節のまとめをしていきたいと思います
親指は大きく分けて関節が3つあり、手首に近い方からCM関節、MCP関節、IP関節があります
CM関節とはCarpoMetacapal の略で、大菱形骨と母指の中手骨の間の関節です
MCP関節とはMetacarpoPhalangeal の略で、母指の中手骨と基節骨の間の関節です
IP関節とはInterPhalangealの略で、母指の基節骨と末節骨の間の関節です
それぞれの関節の動きは以下のようにまとめられます
CM関節(大菱形骨と母指中手骨の間の関節)の動き
屈曲、伸展、外転、内転、対立
MCP関節(母指中手骨と母指基節骨の間の関節)の動き
屈曲、伸展、回旋
IP関節(母指基節骨と母指末節骨の間の関節)の動き
屈曲、伸展
このようにCM関節の動きの種類は他のMCP関節とIP関節よりも多いです。通常であればCM関節のような多彩な動きをする関節の周りには多くの筋肉が付着して、その関節の動きをコントロールしたり作り出したりしていますが、この母指のCM関節に関してはその限りではありません
以下が母指の中手骨、基節骨、末節骨に付着する筋肉のまとめです
母指中手骨付着
長母指外転筋、母指対立筋、背側骨間筋
母指基節骨付着
短母指伸筋、短母指屈筋、短母指外転筋、母指内転筋
母指末節骨付着
長母指伸筋、長母指屈筋
単純な比較ではありますが、上記のように付着する筋肉の数で言えば母指の基節骨が一番多くなります。基節骨は中手骨とMCP関節を、末節骨とIP関節を形成しますから、筋肉の数が多いということはこの2つの関節にもより影響を与えることになります
ここまでをまとめると、CM関節は動き種類(屈曲、伸展、外転、内転、対立)が他のMCPやIP関節よりも多いが、CM関節付近に付着している筋肉は他の関節よりも多くはない
ではどのようにしてCM関節の動きを作り出しているかというと、MCP関節やIP関節を動かすことにより、CM関節を動かすような状態になります
例えば、CM関節の屈曲を行いたい場合は母指の末節骨に付着している長母指屈筋や基節骨に付着している短母指屈筋を使う必要があります。そしてこれらを使うと、長母指屈筋ではCM関節、MCP関節、IP関節全てが屈曲し、短母指屈筋ではCM関節とMCP関節が屈曲します。伸筋も同じようなことが言えます
つまり母指を使う場合はCM関節単独で動く場合よりも、MCPとIP関節も同時に動く場合が多いということになります
CM関節は軟骨のすり減りによる痛みなどで悩まされる方も多い部位ですが、その軟骨のすり減りの要因の1つが母指の”使い過ぎ”という事が言われています。確かに、日常生活で親指を使わない日はありませんし、上記のようにCM関節というのは動きの種類も頻度も多い関節です
多くの場合は”使い過ぎ”があると、その周辺の筋肉が硬くなって関節の可動域を狭くします。そして関節の可動域だけではなく、関節包内運動という動きにも制限をかける場合があります。関節包内運動とは、関節が動く時の関節内の僅かなでも重要な動きで、これに制限がかかると関節の”はまり”(適合性とも言われます)が悪くなり、”はまり”の悪さによる痛みなども引き起こします。また、この関節包内運動が制限されると、関節を動かす際に負荷が軟骨の1箇所に集中するなどして軟骨のすり減りを早める場合があります。ですので、関節包内運動というのに制限がある場合が取り除く必要があります
母指のCM関節の関節包内運動は2パターンあり、関節が動く方向によって変わります(以下は解剖学などの知識がないとわかりにくいです)
外転⇄内転では中手骨側が凸、大菱形骨側が凹となります
屈曲⇄伸展ではこれが逆になり、中手骨側が凹、大菱形骨側が凸となります
個人的にはこの動きの違いはすぐに忘れてしまうので、外転⇄内転では肩と一緒の動き方(遠位の上腕骨側が凸で近位の肩甲骨が凹)で、屈曲⇄伸展はその逆と覚えています
関節包内運動は”転がりと滑り”などど表現されますが、このCM関節で言えば外転⇄内転では”転がりと滑り”運動は逆方向に起こり、屈曲⇄伸展では同じ方向に起こります。例えば外転では、母指中手骨は大菱形骨に対して”外側に転がり内側に滑る”ことで外転という動作を行えます
先ほど述べたように、この関節包内運動は周辺の筋肉の硬さなどがあるとその動きに制限が発生する場合があります。例えば先ほどの外転では、”外側に転がり内側に滑る”はずが”外側に転がる”だけになってしまい、本来であれば自然と発生する動きに制限が起きてしまいます。このような場合に軟骨を含めた周辺組織に負荷が集中しやすくなります
特に母指のCM関節は日常生活でも使う頻度が高く、使い過ぎで硬くなりやすい筋肉が周辺に多くあります。この母指のCM関節の痛み(母指CM関節症)は、統計的に女性や高齢者に多いことが明らかになっています
母指CM関節症は痛み止めや関節の動きを制限するサポーター、または注射などが治療の選択肢にあがりますが、そのほかにも上記の関節の動きを改善したり、周辺組織の柔軟性の回復なども重要になってきます
今回はここまでにして、母指周りに筋肉のほぐし方やストレッチ方法などもインスタグラムやYouTubeに載せていこうと思います
Calant Sports Rehab & Performance
代表 爪川慶彦
www.calant.org
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