漫画のトレーニング?お話作り編
昨日の内容は漫画関係者向けでわかりにくかったかも、と思いつつ、せっかくなのでさらに難解な(笑)内容にも少し踏み込んでみます。
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さて、私が絵のクラスより驚いたのが、「ネーム」と呼ばれる漫画の絵的な構成部分を勉強する場所があると知った時です。
私もお世話になった「漫画背景美塾」にもいくつか内容に関わるクラスがあると思います。
流石に有名どころは講師の方の能力も高いかと思いますが(押しも押されぬ現役人気漫画家が講師を務めていることも)、率直に言って
「それは教えてもらうことなのですか???」
と思ったのも事実です(^_^;)
いえ、人の数だけ道はあると思います。
なので否定はしませんが、漫画家から見ると勿体ないところもあるとは書いておきます。
そもそも、プロットを作る(お話を作る)、ネームを構成するということは、漫画を普通に読んできた人なら大したルールがあるわけではないですし、自分の好きにやって良いところです。
何処かへ教えてもらいに行き、わかりやすく、効率よく、もしかしたらさらに魅力を増す方法を、学ぶことはできるかもしれません。
私も、そこを身につけるのは確かに容易ではありませんでした。
でも、教えてもらっていたら今の私はあるだろうかと思うと、ちょっと自信はないですね。
私もたくさんのアシスタントさん(プロ志望者)のプロットからネーム、原稿を見せてもらい、アドバイスしてきました。
「私ならこうする」
ということは言えます。
効率の良い方法を教えたり、添削もできますし、なんならデビューまで持っていくことくらいはできるんですよ。
しかし、実際に手取り足取りデビューまでフォローしたとしても、それはその人の実力ではないんですよね。
私の経験では、そういう人はデビューまでしかもたず、消えていきました。
私も反省し、それ以降は
「私ならこうする」
以上のことは言わないようにしています。
実際に、他の漫画家さんのアドバイスを見ていても、それは同じだと感じました。
人の数だけ正解がある以上、おいそれと教えることができない範疇です。
むしろ、言われたことに反発して不器用ながら自分の思うところを極めたり、あれこれトライしたりする人の方が最終的にデビュー出来、しぶとく生き残って行けている気がします。
絵のところでも描きましたが、所詮は自分の頭で考えて実行に移すことができる、それが最も大切な能力なのだと思います。
センスがよく、悟りが早い方が良いだろうなあとは思います(^_^;)
誰しもお気に入りの漫画があるでしょうし、自ずとそれを見て学んでいると思います。
改めて大金を投じ、貴重な時間を使って教わりに行く必要があるかどうか、その時間があったら自分の原稿をさっさと進めるべきではないのか、今一度考えてはいかがでしょう。
原稿は、アマチュアであっても出版社へ持ち込めばアドバイスがもらえます。
アドバイスといえば、編集者のアドバイスが最も役に立つでしょう。
無料なのですから、ここはデビューするかどうかはともかく、是非大手の出版社の門を叩くことをお勧めします。
正直、「その他」出版社の編集者の能力は、将来的にはともかく、現在は怪しいと思っています。
漫画にちゃんとした知見があり、情熱を持った方ももちろん多いと思います。
一方皆さんがよくご存知の出版社であっても、「大手」以外は驚くような「非常識」がまかり通っていたり、漫画になんの知見もない編集者がこれまた多いと思います。
「仕事」は場所を問わずある程度できるでしょうが(あなたの実力にもよりますが)、デビュー前のアドバイスだけは、大手のある程度訓練された編集者さんにしていただいた方が良いと思います。
それでも、漫画家志望者がどんなアドバイスを選択し、どこまで自分のこだわりを通すか、最終的には各自の自由なのです。
と、書いてきたのは、もちろん商業誌でプロとして描いていきたいという方向けの話です。
話作りのクラスへ通う方のうち、プロ志望の方の割合は、案外大きくないかもしれません。
実は、デジタルのクラスへ行った時も、漫画を描いたことさえない方もいらして驚きました。
それだけ漫画という文化が個人、家庭へも入り込んでいて(その描いたことのない方は、同人誌を描いている娘さんを手伝ってあげたいという理由で受講されていました(^ ^))、さらにスキルアップしたいと思われる方が増えているのは素晴らしいことです。
私がフラメンコを習ったように、お稽古事として、楽しみとして漫画に関わり、いろんなテクニックを学びたいというのはひたすら喜ばしく、漫画家としても嬉しいです。
絵であれば、アシスタントさんはやはりスキルアップのために多少の投資も良いでしょう。
プロを目指すのであれば、各人の「癖」「好み」「拘り」諸々が個性となり、大切な各人の「商品価値」になるので、それを大事にして頂きたいと思っています。
お話作りの講師の方は、それを適切にアドバイスできるかもしれないし、できないかもしれません。
それを理解しておくべきでしょう。
私はそういうクラスで何を語られるのか知らないままこれを書いているので、まあ無責任ではありますが(^_^;)
やはり繰り返すと
「私には必要なかった」
というしかありません。
私のアシスタントさんに相談されたら、
「行けば良いことがあるかもしれないけど、もしあなたにプロになれるだけの素養があるなら、それはお金を払ってまで行く必要はないところですよ」
と言いますね。
講師の方は教えるプロであって、漫画の能力は漫画家の方が高い(自分にしか通用しないけど)からです。
最適のアドバイザーである編集者さんですが、その編集者さんのアドバイスを聞いて
「この人に任せておいたら私の作品がダメになる」
と実感した日が、私が高いアンケートをキープする漫画家になった「初日」でした(笑)
「その日」が来れば、漫画家はあと何十年でも漫画を描いて生活していけるでしょう。
お話作りのクラスで教わるのは、そのずっと手前のことだと思います。
まだまだひと様に偉そうなことを言える者ではありませんが、一人の漫画家の感想を率直に描きました。
漫画家志望の方に、何か参考になれば幸いです。
私が30余年の商業漫画家を離れて個人で出版している初の新作『Arriba! 2nd season』1巻&単話(4話)、よろしくお願いいたします!
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