Slack 推しが苦手
最近自分の周りでも「Slackも使えないPTAのITリテラシー終わっているね」みたいな話が何回か聞こえてきました。
自分はSlack推しの人がIT化を「Slackを使っているかいないか」だけで議論するような姿勢がそもそもあまり好きでないのと、自分の中では「現時点でPTAにSlackを導入するメリットはない」、とすでに判断しているから使おうともしていないのでこの辺について今日は記事にしてみようと思います。
ネットでの議論
似たような話は度々ブログやTwitterでも流れているように見えます。
例えば、こちらの記事は比較的フェアに比較を行っていて、反論なども含めて丁寧に説明されています。
ここまで丁寧に考えられて実践されているのであればよい試みだと思います
。私がSlackに否定的なのは現PTA役員のIT環境などについて前提があるためであって、PTA毎に前提が異なっていて適している環境もあるかと思います。
ただ、上記の記事も私にはかなりSlack寄りの議論をしていて反論が難しいSlackのデメリットについては深入りを避けているようにも思えます。
以下のTwitterの記事では「大変だから止めてくれ」的な論調ですのでSlack推しの人にはやれない理由ばかり探して・・・と言う意見も私の周りにはありました。ただここで議論されている管理面の負担はSlack好きな人が「Slackは簡単だからそのくらい・・」とか「便利なツールだと理解してくれれば手順化したり解決手段はいくらでもある」と考えているところがあるのですが重要な論点の一つであったりします。
「うちの区はLINEがIT化限界点だからSlackを使うのはやめてくれ」PTAにシステム管理担当はいない問題
議論の前提 - PTA役員の典型的なIT環境
これからSlackについて議論する前にPTA役員のIT環境がどのようなものなのか考えてみます。おそらくですが、Slack推しと私のようなSlackに否定的な人が決定的に噛み合わないと思うのは「Slackヘビーユーザーから見たPTAのIT環境」と言う切り口が入ってしまっていて、そもそも一般ユーザーがどう言う環境なのか?と言う視点が欠けているように思えるのもあります。
私のいるPTAではPTA役員をやる人のIT環境は以下のようなものです。
多くの人はスマフォでLINEを使っており、LINEでやり取り可能
ママが多い
少数の人はこのような環境がない(または教えたくない)ために代わりにメールやSMSでその人にだけ共有するような例外対応が必要なこともある
PCを持っていない人(家にはあるが自分が使えないなども含む)が意外と多く、ドキュメントファイルなども学校PCなどで作業しないといけない人が意外とある。文書の確認もだいたいスマフォで行っている
仕事を含めてSlackを使っている人はごく少数もしくは皆無
学校や習い事・ママ友など多数のLINEグループに入っているのが普通
LINEでやり取りをすることが多いため、メールアドレスや電話番号を知らない人が多いが、学校からの一斉メールの加入率は高くほとんどの人がメールアクセスは可能と考えられるがあまり周りには教えていない
実行部などでは複数年やる人もいるが、多くは1-2年で抜けていく
そもそもSlackを使うメリットが弱いのでは?
ここからは自分がなぜPTAでSlackを使うことに疑問を持っているのかを説明していきます。
Slackのメリットは強力なチャンネル毎のテーマ管理・スレッド管理にあるのではないかと思います。多数のトピックで会話が流れていても比較的容易にキャッチアップ出来たりするのは自分でもどうして?と言われると説明が難しいですがSlackはこの点で強力なツールです。
スラッシュコマンドや各種ツール連携も便利ですがやや玄人向けの話だと思うのでPTAでまず最初に挙げるメリットではないと思います。
でも私は上記のメリットは少しPTAで使うには弱いな、と思っています。
私はこんな印象を持っているのです。
PTAが無くても多数のLINEグループに入っているPTA役員のママがPTAのLINE グループに入ったくらいでトピック管理に困ると思えない
すべての交友関係のコミュニケーションはLINEなのに、PTAだけSlackでやり取りする方が不便
毎年新任役員にSlackを入れてもらってチャンネルのアクセス権整理が面倒→ LINEでグループ作成すれば終わりなのに・・・
結局Slack導入のメリットの話がすれ違うのは推進派の人の話は「仕事やプライベートもコミュニケーションをすべてSlackでやり取りしていてLINEを使っていない特定のパパがPTAで連絡がLINEで来るのを不便に感じてSlackの導入を説得した」と言うように聞こえるからではないかと思います。
私が想定しているPTA役員の場合、Slackの多少の機能差で感じるメリットより慣れ親しんだツールを使うメリットの方が大きく感じるのです。
既存のLINEベースのコミュニケーションに対する誤解
擁護派の話ではファイルの送信やメンションがSlackなら出来る、と言うのもありますが、そもそもLINEでは有効期間が短いもののファイルの送信やメンションの機能はあるので普通にファイルのやり取りはLINE上で行われています。
そもそもSlackはPTAで扱うような保存期間の長いファイルのコンテンツ管理には向いていないので、Slackを使っていてもそこはGoogle Driveなど別の手段を使っているのではないでしょうか。
もう一つPTAでSlackを使う際にデメリットでよく上がる、前述のTwitterスレッドでも出てきたID管理などは確かに問題ですが、Slackが本当に便利であれば些末な問題だと思います。運用でいくらでもカバーできるし、何なら熱意のある人が手順書でも作ればよいと思います。
本当の問題はそんなことよりも、ママがいつものやり取りに使っているツールを無理やりSlackに切り替えさせても新たにPTA内でこんなコラボレーションが可能に!となることがあまり出てこないのでどうしても Slackを導入する気が起きないのです。
うがった見方ですが、実際に導入したらみんなに大好評!みたいな話も実際はこんな話なのではないでしょうか。
「PTAのITはxxさんに任せているので好きなようにしていいよ」みたいな人が推進→特に周りも逆らわずに黙って導入→導入後に「どう思う??」と聞かれる → 「まあ使いだすと便利かも・・・」くらいの感想が出てくる
と言う程度の話ではないかと思います。別にこの流れを否定する気はありませんが、、実際はその人がいなくなったらLINEに戻るのではないかな・・・と思っています。
導入メリットがはっきり見えているZoomによるWeb会議やGoogle Driveなどによるコンテンツ管理はきっと推進した人がいなくなってもなんとか続けていけるようにみんな知恵を絞っていくはずです。このような世界がSlack活用には見えないのです。
PTAでは永遠にSlackを使うことが無いのか?
上記の議論を踏まえると、PTAでSlackを使うのは「ママたちが日常コミュニケーションをSlackでやるような世界が来ない限り無理」な話なのでしょうか。さすがにそのような世界がここ5-10年で日本に来るのは想像しにくいですよね。
私が思うにはこの部分に関する考え方ははっきりしていて「①学校側がSlackを導入して、②保護者のコミュニケーションにも使いだす」タイミングが来たら状況が変わると思っています。
このような流れになれば保護者は必ずSlackをスマフォに入れるようになるし、学校とPTAのコミュニケーションがSlackにまとまるのはとても合理的に思えます。学校側も保護者を管理するために何らかのID管理の仕組みやルールが必要になってくると思うのでそこに合わせてPTAのSlackチャンネルを持つようにすれば私は是非PTAでも使ってみたいと思います。
このときにもう一つ大事な視点は、「上記のような手段を学校が導入するときに採用されるツールはSlackではないかもしれない」と言うことです。
Slack推しの人は同じようなことをTeamsでやろうとすると重いとか使いにくいとか機能が足りないとか結局「Slackが使えないPTA」と言う論調で評価しがちです。でもその状態でSlackを導入してもきっと導入メリットはないはずです(少なくともROIの観点では)
SlackをPTAで導入したい!と思ったときには「Slackも使えないPTA」と言う視点で見る前に自分が「LINEも使いこなせない保護者」になっているだけではないか?と言う視点でも振り返ってみてどのようなメリットがあるかを議論してもらえればな、と思います。(どっちも謎のマウントの取り合いみたいな表現になっているのでもう少し中庸な目線がいいと思いますが・・・)