【無料で楽しめる美術・博物館】東京大学総合研究博物館《UMUTオープンラボ展・骨が語る人の生と死展》
おもしろいものが観れて、無料だったら!
東京にあるそんな美術館や博物館、ギャラリーなどをご案内させていただきたいと思っております。
今回ご紹介するのは東京都文京区にあります
東京大学敷地内にある東京大学総合研究博物館です。
この建物に入るとまずいきなり目の前に標本資料のコレクションボックスがお出迎えしてくれます!これがもうワクワクしちゃうんです!
蝶の標本、日本の鉱物、牧野富太郎氏の押し葉標本、古代土器、ナウマンゾウの牙の化石、ネジレモダマの果実、イノシシやヒグマの脳、縄文時代の石槍、コモンツパイのはく製、ムカシトカゲの液浸標本などなどなど・・・まだまだあります!
ここではこのように様々な種類のものを観ることができます。
この東京大学総合研究博物館というところは1996年春に国内で最初の教育研究型ユニヴァーシティ・ミュージアムとして誕生しました。600万点を超える各種学術標本のうち、この館には300万点を超える標本が収蔵されています。本郷キャンパスにあるこの建物が本館であり、その他小石川分館や千代田区丸の内にあるKITTE内の施設「インターメディアテク」、文京区教育センター等関連施設を多数設けています。
この「UMUTオープンラボ」という展示はこの館での常設展となり2021年11月から開催されており「太陽系から人類へ」という副題がつけられています。「隕石・スターダスト」という表示から始まっていました。
このスターダストという言葉は、現地でいただいた資料で知りました。私に知識がなく、資料も目を通していなかったため(ああダメですね。反省しました)現物をよくみていませんでした。家に帰ってから資料を確認したところその言葉に気づき、調べてみました。
「スターダスト」というのは米航空宇宙局(NASA)が行った探査計画に用いた彗星探査機の名前なのだそうですね。そういえばイトカワの縮小レプリカなどもあったことを思い出します。
このイトカワのニュースも当時とても騒がれましたよね。でも私はこういう宇宙のことが正直よく理解できなくて(おはずかしいのですが・・)なにがすごいのかとかがわからないのでいままで興味を持たずにきました。今回こんなふうに「言葉を知った」というだけでも、ちょっとだけきっかけをいただき、宇宙のこと、隕石のことなど知りたくなってきました。
鉱石などの標本も見たことない石がたくさん展示されています。こんな色のこんな石があるんだああって驚きました。自然の中にこんな色が、こんな形があるなんて!
でも私にはそこまでの驚きしかありません。東京大学の人たちはこの標本のあらゆることを知り不思議さなども含めて興味深い物質ととらえているのだろうなあと考えると、もうその時点でみていることが違うんだなあとつくづく考えてしまいました。
海がきれいなのは珊瑚のおかげなのですよね?そして珊瑚って生きているんですよね。テレビで珊瑚の産卵の映像をみたことがあります。こんな石みたいなものから卵!なんだかみていてすごく不思議になってきました。珊瑚が死んじゃうって、それはどれだけ水がひどい状態になっているかってことですよね?海はすごーく広いのに、あんなに水があるのに、それでも水が汚くなっているなんて、どれだけの量が汚染されているんだろう。私たち人間はどれだけ地球を破壊しているのだろう。
標本の説明にはQRコードがついているものもあり、そちらをかざして開けると下記のように説明を読むことができます。
さて、こちらの蝶、どれも綺麗ですねえー!本当に飛んでるのみたらちょっと怖いかもしれませんが(美しすぎて怖い・・・)こちらもQRコードを読み取ると説明を読むことができます。
縄文時代や弥生時代の土器や土偶、石器などなど様々なものが展示されていました。
美術検定の勉強をしながら壁画の話を読み、そこから、オーストリアで出土した人類最古の芸術作品といわれているヴィレンドルフのヴィーナス像のことが最近ちょっと気になっています。日本でいえば土偶のような存在なのかなあと思ったら、そこから縄文時代や土偶の存在にも興味がわいてきました。
ヴィーナス像もヨーロッパの各地で出土しているのですが、この土偶もいろいろな場所でみつかり、しかも似たような特色を持ったデザインなんですよね。
興味津々でみさせていただきました。
弥生時代にすすんでいくと土器のデザインがツルンとしてくるというか、簡素になっていきますよね。
縄文時代のものは模様をつけたりデコボコと装飾してみたり、器にいろいろ遊びがあっておもしろいなあと思います。
中国の戦国時代である燕という時期に作られたようです。燕は中国の西周時代から戦国時代の強国の一つ。この土器には「廿二年正月左匋尹」との銘があります。燕の文公22年(前340年)と示すと考えられるとのこと。そんな時代のものが!とびっくりします。
会場を歩いていると突然現れる剥製たち。
馬や牛ってこんなに大きいんだ!とちょっとびっくりします。怖いくらい!
ここでは、動物園などで死んでしまった動物を解体して標本にすることなどをビデオでも説明していました。
さて、今回は室内の一番奥で特別展示がありました。
「骨が語る人の生と死」
人体の骨がずらりと並べられています。
それは縄文時代からのものでした。
正直、最初はあまり興味をもてませんでした。骨なのだから死に決まっているしなど、展示の意外性も感じられず、軽く見て終わりにしちゃおうかなと思ったぐらい。でも、ここでは無料で音声ガイドが聞けるようになっているとのこと。聞いてみようかなと思いました。
美術館でよく、有料ガイド設備を借りることができますが、今回は無料とのことなので気軽に試してみる気持ちになりました。
スマホでQRコードを読み取って聞きます。
イヤホンを持っていませんでしたが、それでも聞けますと書いてあり、電話をしているかのように耳にあてながら聞きました。
この音声ガイドがあったおかげでとてもおもしろいことがわかり、この展示のすばらしさがよくわかりました。
説明もとてもわかりやすくて、こんなおもしろい研究をしてくださって、そして教えてくださってありがとうございます!という気持ちになりました。
でも会場にいた他の方はこのガイドをききながら展示を観ている人が誰もいませんでした。お友達同士おしゃべりしながら、写真をとりながらと楽しそうですが、残念だなあと強く思いました。
音声ガイドオススメです!
さて、その展示のことを少し。
まず、江戸時代の人の骨と縄文時代の人の骨を比べています。あきらかに左のひとの骨がガッチリしていてたくましいですね。縄文人の中でもとりわけ頑丈な集団がいたのだろうとのこと。そしてそれはなぜかということを調べていくと、出土した場所などからもあわせて、骨から縄文時代の人々の生活がわかってくるのでした。
また、興味深かったのは縄文時代の人の歯並びはとても整っているということです。実際の頭蓋骨も展示されていてわかりやすくみせてくれています。
でも下の写真のように現代の人の歯よりも上の歯がひっこんでいるというか、上も下もぴったりとくっついているため(現代は上の歯が下の歯にかぶさるような状態が正常ですよね)そういう意味では少し受け口ぎみともいえますが、歯並びは写真でもわかるようにとても揃っています。
しかし、この下の写真のように、咬耗の進み方が凄まじいのです。歯の表面が平たんになっています。これは、その当時の食物の固さとか、かなりよくかんで食べていたからではないかなどが考えられるようです。
でもこの歯並びが時代とともに変わっていきます。
昔の西洋の映画などで日本人って出っ歯な人で表現されるものがよくありましたよね。(今ちょっと思い出すものではたしか「ティファニーで朝食を」ででてくる日本人はかなり出っ歯だったような・・・)そうやって食べ物などでも顔つきが変わってくることが骨の様子でわかるのです。
こちらは指をつめたあとではないかという骨で、これが当時の暴力だったのか、しきたりだったのかはわからないのですが、骨からそういうこともわかるのですね。
この綺麗な穴は、例えばピストルで撃たれたときなどの穴に似ているのだそうです。でもこれはもっと昔のものなので、そのピストルで撃った時みたいに強く激しく勢いよくとがったもので開けられたものではないかとのことでした。
このほかにも骨の展示から当時の埋葬のしかたや「死」に対する考え方などがいろいろわかるという展示で、とても興味深い内容でした。奈良、平安時代は人骨がないという事実も知り、「お墓」の歴史的なことも考えさせられました。
考えたこともなかったけれど、このようにわかりやすく興味深い内容で教えてくれると、こんなに人骨からわかることがたくさんあるんだなあと改めて感心してしまいました。これからもたくさんの研究結果を教えてほしいなあと思いました。
この特別展は会期を延長されて5月16日までとなっています。
偶然にも、この日は東京大学の入学式だったようで、東大に合格されて晴れがましいお姿のご家族の皆さんをたくさんお見掛けしました。
みんなすごいなあ!と私まで嬉しくなりながら皆さんの笑顔をちらちらみてしまいました。
おめでとうございます!
これからも学びたいことをより深めて充実した毎日をお過ごしくださいね!
この博物館にいらっしゃるボランティアの方がまたとても素敵な方でした。いろいろなことを教えてくださるし、とてもおもしろいのです。
楽しくてついたくさんおしゃべりしてしまいました。
是非皆様もご興味ありましたら、この博物館に行ってみてくださいね!
とってもおススメです!