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一生物
今日は何を着ようかと箪笥の引き出しを覗く。
同じようなサイズ感にまとめられ重ねられた布たちは様々な柄模様をしていて、いつも心をくすぐる。
そういえば、お直しをしたアレは昨日受け取ったばかりだっけ。
せっかくだしそれにしよう。
引き出しの向かいにある押入れからきれいな畳紙をひっぱりだす。
麻の葉模様の白い大島紬を私は手に取った。
この着物に似合う半衿はどれだろう。
でもまあ時間がないから半衿は長襦袢についていた縮緬の豹柄で、帯揚げも同布でまとめて。
自動的に長襦袢は髑髏ダンスになるな。
帯は黒のレオパード柄の半幅帯で、着物が麻の葉だから帯留は蜘蛛の巣。
足袋は白ですっきりと、草履は自分で組み合わせたお気に入りのカレンブロッソ……
パズルのようにひとつひとつを組み合わせていく作業はとてつもなく楽しく、いつだってワクワクする。
決まった組み合わせを、順番ずつ身体に乗せていく。
紐をキュッと締めるたびに背筋も少しずつまっすぐになっていく。
全てを纏い鏡を見ればそこには楽しそうに全身を見渡す私がうつる。
今日のコーディネートも、大満足である。
着物をはじめてもう11年が経とうとしている。
洋服を着るよりも遥かに面倒で、動きづらいかもしれないし、少なくはないルールもある。
それでもその”面倒さ”全てが楽しく愛おしい。
あのときなんとなくでこの世界に飛び込もうとした11年前の自分よ、今の私は心の底から満喫していて、この趣味を全うしとても大満足である。
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