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金融所得増税は時代に逆行している件
こんにちは!
ハマネコです!
前回のnoteで「自民党総裁選は最高の生きた勉強材料」とお伝えしましたが、さっそく面白い話題が出てきましたね。
そう、「金融所得増税」です。
実は前回2021年の自民党総裁選でも話題になった論点ですが、改めておさらいしていきたいと思います!
ちなみに私ハマネコは、金融所得増税については
絶対反対!
です。
金融所得増税とは
そもそも、金融所得増税とはいったいどんな論点なのでしょうか?
まず一般的な所得税は、お金をたくさん稼げば稼ぐほど税率が高くなっていきます。
スポーツ選手や芸能人などは「稼いだお金の半分は税金として持っていかれる」と噂されますが、まさにその通りです(実際は節税対策をしているのでしょうが(笑))
税金の目的は「ブルジョワから多く取って、平民に分け与える」という富の再分配を行うことですから、稼ぎが大きいほど税率が上がることはある意味当たり前です。
しかし「金融所得」、すなわち株や投資信託の売買で稼いだお金に関しては、税率が一律約20%と決まっています。
1万円の利益が出たら2千円が、1億の利益が出たら2千万円が、税金になるのです。
「これはおかしいから、金融所得についても他の所得税目と同じように税率を上げよう!」、というのが金融所得増税です。
金融所得増税は格差を助長?
金融所得増税が注目される理由として、現在の「一律20%」という税制が格差を助長しているという意見があります。
まず一般的な傾向として、富裕層ほど総資産に占める金融資産(株・投資信託・不動産など)の割合は高くなります。
一方で通常の所得税率は、最高で55%。
すなわち所得を労働で得た人と、株で得た人とでは、最大35%もの税率の差が生じてしまうのです(厳密には控除額の影響も受けますが)。
特にメディアで取り上げられるのが、下図のようないわゆる「一億円の壁」を示したグラフ。
![](https://assets.st-note.com/img/1725691820-sdFfSK45pilwgnWmkMQANhER.png?width=1200)
所得が1億円を超えると税負担が下がる、というものです。
1億円までは税負担が右肩上がりなのですが、1億円を超えたところでガクンと下がっていることが分かりますね。
金融所得増税で割れる自民党
さて、今回の自民党総裁選に話を戻します。
すでに何人が出馬を表明しておりますが、そのうちの一人である石破茂元幹事長が金融所得増税を主張したことで、一気に話が動き出しました。
一方で同じく出馬を表明している「コバホーク」こと小林鷹之元経済安保相や、おなじみ小泉進次郎元環境相は、反対を表明しています。
石破氏が主張するように金融所得増税を行えば、「ブルジョワから多く取る」という税金の本来の目的に見合っています。
とはいえ増税を主張しているわけですから、選挙には不利に働くことは否めません。
実際に岸田首相も就任当初は金融所得増税を掲げていましたが、すぐに旗を降ろした経緯があります。
金融所得増税がダメな理由
さてここからは、私ハマネコが思う金融所得増税がダメな理由をお伝えします。
なお(ありえない話ですが)前提条件として
①金融所得増税を行っても、政権の支持率や選挙結果には影響しない。
②金融所得増税によって得た税収は、適切に分配される。
とします!
すなわち、金融所得増税の施策そのものの是非についてです。
理由①:「貯蓄から投資へ」の流れに逆行
日本人は世界的に見ても、貯蓄好き・投資嫌いな傾向があります。
貯蓄好きなのは一見良いことのように見えますが、それは経済を動かしていないお金が多いということも意味します。
日本経済活性化のためには、個人がため込んでいる貯蓄を投資に回し、間接的に経済活動へ使わせることが大切なのです。
そのため「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、政府もNISAの整備や拡充、iDeCoの導入、金融教育の義務化(家庭科)など、様々な施策を試みてきました!
しかし、肝心な投資で得られる利益への税金が重くなるとなると、当然投資には二の足を踏みますよね。
どうせ儲かってもたくさん税金で取られる…
しかも給与所得と違って、マイナスになることもあり得る…
そんな制度の下で、一体誰が投資を行うのでしょうか。
尤もこれには、「超高額所得のみ税率を変える」と言う方法もあります(実際に石破氏も、富裕層のみをターゲットにしているようですし)。
例えば「金融所得1億円以下は今まで通り税率20%にし、1億円を超えると30%にする」といった具合です。
一般庶民にとって金融所得で1億円以上得ることはほとんどないでしょうから、税率をいじればこの問題は回避できるような気がします。
しかし、次に述べる理由はこれでも回避できません。
理由②:日本の資産の海外流出が進む
税率が高くなれば、当然富裕層はより税率の低い国に移住することが考えられます。
すなわち、日本の富の流出です。
ただですら高額の税金を納める富裕層ですから、それが海外流出となると損失は計り知れません。
また富裕層の卵ともいえる日本人起業家も、日本ではなくシンガポールなど税率の低い国での起業を選ぶかもしれません。
金銭だけでなく、人材という試算も海外に流出することになってしまいます。
当然、税収も落ち込みますよね。
税収を増やすはずの政策が、逆に減らすことになっているのです。
番外編:「海外では当たり前」が日本に適さない理由
実は金融所得に対して複数の税率を課している国は、いくつかあります。
下図は、財務省が公表している日本と主要欧米国の株式譲渡益課税(≒金融所得税)の概要です。
![](https://assets.st-note.com/img/1725759410-ojshWZRbr4VSeMBu5ypTF73H.png?width=1200)
これを見ると
日本・ドイツ→一律課税
米国・英国→段階的課税
であることが分かりますね(フランスは併用)。
すなわち米英は、富裕層ほど税率が高くなるというわけです。
偶然ですが、第二次世界大戦の戦勝国と敗戦国に分かれております…(笑)。
しかしこれを見て、「日本も米英に倣うべきだ!!」とするのはお門違いです。
この2か国は国民の金融リテラシーも高く、自らの資産を投資に向けることが当たり前になっている国々です。
日本とは、投資に対するスタンスがすでに異なるのです。
日本も投資が当たり前になったのであれば、金融所得増税をしてもいいのかもしれませんが(個人的には嫌ですが(笑))、今の環境では適しません。
幸いなことに(?)、この記事執筆時点で金融所得増税を訴えている自民党候補者は石破氏のみです。
これから出馬を表明する候補者が金融所得増税に対してどういったスタンスなのか、これからも注目していきたいですね。
では!
ハマネコ