冬木市=大分説に関する補足的考察
※この投稿は4年ほど前、2018年9月にpawooにこっそり上げていたものを加筆の上再利用している。https://pawoo.net/@hmmr03/100733810061967032
ざっくり言うと:
FGO公式漫画版2種やApoアニメ版オープニング等で冬木の位置が大分市付近に充てられてるのは事実だよ
とはいえFateシリーズゲーム内の冬木光景にかかるロケハンには大分市要素が一切含まれないよ
そもそも冬木市内地図はFGOの遥か以前、hollow ataraxiaの時点で公開されてて、『南から北に流れる川』『南方・西方の丘陵地』などの地勢は当時から変わってないよ
この地勢、現・大分市というよりは旧・大分市(の中心部)と合致するのではないか
だとするとFate/stay nightのアレやコレは大分市に置き換えるとどのあたりになるんだぜ?
【事の起こり】
冬木市というのはゲーム『Fate/stay night』で設定され、以降Fateシリーズ各種で言及される架空の地方都市である。
ゲーム『Fate/Grand Order』が公開されるや、冬木市に相当する『特異点F』の位置が九州北部を指している、という事実が、(古くからのファンには意外性を持って:後述)知られるようになった。それに相当する表現はアニメ版『Fate/Apocrypha』第一オープニングに引き継がれ、このとき画面の中央にあったのが別府湾付近であったことから一部で『冬木市=大分市』説が囁かれるようになったようだ。
その後、2017年後期に『Fate/Grand Order』の公式コミカライズが二種類連載開始されたところ『特異点F』の位置がそのいずれでも大分市付近を指していたというので、確定的に言われるようになる。
……というあたりの話はぶっちゃけnoteにまとまった記事が四年前からあるわけだが! ありがとうGuest氏!
大分市言うても広いんやが?
で、それが既にあることを踏まえてなお何を言おうとしているのかというと、リアル大分人であった我が身からの補足的考察である。具体的には『冬木市が概ね大分市だとして、大分市と言っても広うございますがどの辺りなんですか』という話なのである。
このことを考えるにあたって、ゲーム内の景色描写はほぼ当てにならない。何故なら、「聖地巡礼」によって古くからよく知られる通り『Fate/stay night』『Fate/hollow ataraxia』作中の景色・建物は神戸市などから取られており、大分市からロケハンされた事物は皆無であるからだ。
大分市が採用されているのは、あくまで『海が北にあり川は南から北行する』『基本的には冬は温暖である』『最寄りの国際空港は移動に数時間を要する「F空港」(Fate/zero)』『築城基地の防空圏内(同前)』といった地理・地勢的条件(それも言われないとそれと分からない程度の)に留まるのである。
故に、参考としなければならないのはゲーム内描写ではなく、公式(に近いソース)の地図だ。
『冬木市の地勢として、北に海があり南に丘陵地がある。市街地を二分するように川は北向きに流れる』
これはFGOからのプレイヤーにも了解頂けることと思うが、この地勢設定自体は古くからあるものである。
上の画像はTECH GIAN2005年9月号付録『Fate/side material ±α』所収の冬木市地図である。この時点で『北が海』云々の地勢が、方角記号入りで描写されていることがお分かりいただけると思う。
なお、出典自体はTECH GIAN編集部の関与を否定できない出版物であるが、この地図に記載された諸施設の位置関係は、アインツベルン城周辺(『郊外』エリア)の位置を除いて、その後の『Fate/hollow ataraxia』における冬木市街図(及びFGOのそれ)にも踏襲されており、公式な設定と考えて問題ないものである。
問題は、(『Fate/hollow ataraxia』及びFGO におけるものと同様に)この地図には川が一本しか流れていないことだ。
大分市全体では(冬木の未遠川程度に大きな)一級河川は二本流れている。大分川と大野川である。そして勿論橋の本数は一本ではないw。『橋どころか川の本数が違うレベルの差違!? それは既にモデルでも何でもないのでは!?』と言いたくなる気持ちはよく分かる。最初俺もそう思った。
しかし現実の大分市と比べるとき、『Fate/hollow ataraxia』や『Fate/Grand Order』作中の冬木市街図には余りに『埋立地』の形跡が無い。新産業都市開発とそれに伴う海岸・港湾整備、丘陵地団地開発の形跡が無い(ざっくり言うと日本製鉄と明野団地と40m道路を欠く)。
しかし、そのことは逆に一つの可能性を示唆する。
『冬木市街図のベースになってるのは、新産業都市指定以前=六市町村合併以前の「旧・大分市」なのでは?』
大分市民では無い方向けに、少し説明を挟む。今の大分市域は平成の大合併により佐賀関町・野津原町を吸収合併したものであるが、その吸収合併より以前、1963年に『大分市・鶴崎市・大分町(※ややこしいが大分市とは異なる。今で言う稙田地区のことである)・大南町・大在村の六市町村』が合併している。この昭和の大合併以前の大分市域のことを『旧・大分市』と呼ぶことがあるのだ。
旧・大分市に限局することにより、大野川は無視でき(それは鶴崎市や大南町の領分である)、概ね『大分川』のみになる。また、40m道路や1960以降完成の橋を無視すれば『大分川の橋は二本となる』のだ。
試みに、旧・大分市の中心部にあたる、現・大分市街地を中心に西大分から高城あたりまでを切り抜いたMapを下に掲げる。ここで『明野団地(※東側丘陵地帯の南側の団地)の開発を無視』し『埋立地を無視』したらだいぶ冬木市の地勢に似通わないだろうか?
要するに、未遠川を大分川に比定するとき、冬木大橋は舞鶴橋ないし滝尾橋に相当する(埋立地が無い=新産都開発が無い以上この世界には40m道路も宗麟大橋も無い)。
また、右岸・新都側の南部丘陵地は明野~明治~猪野丘陵に比定でき、左岸・深山町側の南部~西部丘陵地は上野~大道~西の台丘陵に比定できる(Google Map上では国道210号付近で西部丘陵が途切れているように見えるが、実際にはこの国道はトンネルで丘陵を潜っており、丘陵が途切れているわけでも切り通しになっているわけでもない)。
このように、『旧・大分市にフォーカスする限りにおいては』冬木市の地勢と旧・大分市の地勢は概ね合致するのだ。
具体的に冬木市のアレやコレは大分市のどの辺になるわけ?
ここからは上の地勢考察を元に妄想を重ねて、大胆に冬木の事物を大分市に重ねていくのだが、大分市の小地名や事物はここからは一々解説しないので、分からなかったら随時ググってくれ。
まず大前提として『未遠川』が大分川にあたるのだから、その西岸・冬木旧市街『深山町』は大分市中心部、東岸・新市街『新都』は舞鶴~高城~牧あたりにあたる。はいそこ牧にそんな高層ホテルが聳え立っててたまるかとか言わないーそもそも冬木と大分では線路の走り方がかなり違うー。
『マウント深山商店街』は冬木大橋から少し外れた、平地の商店街として描写される。さしずめ府内五番街か竹町商店街あたりだろうか。深山町の中でも坂の上にあると描写される『遠坂邸』は上野丘にあるのだろう。『間桐邸』はやや坂の下にあたるようなので上野町あたりかも知れない。それよりやや西側の『穂群原学園』は大分西高校あたりだろうか。『柳洞寺』は深山町西部丘陵の西奥にあるようなので、さしずめ柞原八幡宮だろうか。霊山寺では旧大分市から外れてしまう。
で、『衛宮邸』とそのそばの藤村組、深山町側ではあるんですが以上のランドマークとはどれとも絶妙に離れた平野部にあるんですな。春日町あたり? うわーさすが藤村組えげつねえ場所に地所持ってやがるー。
『アインツベルン城』は少しややこしい。『Fate/hollow ataraxia』以降の地図では柳洞寺の更に南西くらいに押し込められているのだが、これは上掲地図の通り本来の設定ではない。画面的に『深山町北西の郊外の森』を地図内に入れられなかったために便宜的にそのように配置したものが踏襲されたものと思しい。本来の設定、即ち深山町北西郊外の森の奥ということなら、大分市で言えばずばり高崎山である。
『冬木中央公園』は新都側平野部にあるまとまった規模の公園なのだから、平和市民公園に充てるのがいいだろう。ムッちゃん涙目である。
そして言峰の根城こと『冬木教会』は、新都側丘陵地帯の新都に面した坂の上にあるのだから、ズバリ大分県護国神社だ。つまり、護国神社の参道でやっちゃえバーサーカーしたりアーチャーが格好いいポーズしたりしてたという勘定になる。
さあ君も大分市でFate聖地巡礼の妄想をしよう! ロケハン事物は何一つ無いけどな!!
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