学歴コンプ・リターンズ
この冬、学歴コンプがアツい!
☆☆☆学歴厨の全てを大公開スペシャル☆☆☆
前置き
私は前期日程で第一志望に落ち、後期で受かった大学に進学しました。そのあとストレートで卒業し新卒で就職した会社で勤務し続けています。会社は中小企業ですが、進捗が良ければほぼノー残業の超絶ホワイト企業です。リモートワークが導入されているのでほぼ家で働いているし、業務内容は個人の裁量が大きく、休みたい日は簡単に有給が取れます。土日祝完全週休二日制です。大学で出会った友達とも卒業後良好な関係を築けています。今の暮らし・環境・状況に何一つ不自由はなく不満もありません。
学歴厨による大学序列
田舎出身なので国公立こそ至高です。田舎には頂点たる地方駅弁と、地方駅弁落ちや低学力キャッチアップ用のFラン私立しかないからです。
また、金岡千広がMARCH関関同立レベルと言われているのが解せません。関関同立とか勉強しなくても受かるし、MARCHは受けたことないから知らんけど、勉強すりゃ誰でも受かるだろと思っています。私はクソ田舎の自称進学校特進クラス出身ですが、普通クラスの子が明治受かってたのでそのレベルだと思います。早慶のこともナメています。私立なんて親の金があって専願で勉強すりゃ誰でも受かるからです。
私立をナメている理由
私立大学は基本的に得意分野3教科で受験できるからです。文系なら国英社、理系なら数英社の3教科が課せられると思います。
私は典型的な文系人間で、センター試験本番では国語・英語・社会の得点率は全て9割を超えました。普段の模試でも、国英社の全国偏差値は60〜70くらいだったと記憶しています。
その代わり、理科と数学が苦手でした。化学はmolが理解出来ず挫折し、物理はニュートン力学から意味がわからず、数学は常に赤点スレスレで補講常習犯でした。
国公立大学を受験するためには、当時はセンター試験を受ける必要がありました。センター試験とは国数英理社の5教科9科目で受験するものです。それゆえ、文系人間は不得意な理系科目を、理系人間は不得意な文系科目を用いて勝負に出る必要があります。
志望大学のレベルによっては、苦手な教科を得意な教科でカバーすることで凌げます。しかし、上位国公立大学を狙う層は苦手教科が足を引っ張る状態になります。旧帝大は得点率8割がボーダーと言われています。国数英理社全ての得点をならして、900点満点中720点以上取るのが出願の条件なのです。
国英社で9割=540/600点とれると仮定して、理数合わせて180/300点とる必要があります。すなわち6割です。数学赤点常習犯の私が、苦手な理系科目で合わせて6割取るためには、理科(基礎科目×2で計100点)で満点を取っても怪しいです。
加えて、旧帝大以上の場合、社会の受験科目に倫政を求められます。倫政とは、「倫理」「政治・経済」という2科目を1つに悪魔合体させた違法科目です。倫政の勉強は「倫理」「政治・経済」の出題範囲を全て勉強することに等しいです。そのため、社会の受験科目は実質3科目です。5教科10科目で勝負させられます。私は政治・経済に出てくる意味不明国際機関の横文字が本当に苦手だったので、こちらにも苦労させられました。
皆さんお忘れかもしれませんが、これはあくまで出願条件です。国公立志望の場合はこれに加えて二次試験があります。つまり、センター試験の勉強と二次試験の勉強を上手い具合にこなす必要があります。センター試験はマークですが、二次試験は筆記です。こちらは私立大学の試験と同じく、大学によって教科数や出題傾向が定められているので、それに合わせた勉強をすることになります。
??「でも、私立大学の試験内容の方が難しいよね?」
一般的に標題のようなことが言われています。曰く、「私立大学は高校の学習範囲外から問題を出してくる」「キリスト教系の大学は英文が難しい」等です。確かに、私が某関関同立の世界史の試験を受けたとき、教科書にない単語が出題されました。私立大学は得意な3教科での試験となるため、その中でも特に差をつけられるようにハイレベルな問題を出してくるらしいです。
しかし、これは市井に出版されている問題集や単語帳、過去問で対策できます。さらに、センター試験での足切りもありません。国公立大学志望の場合、センター試験の点数が芳しくなければ志望大学を変更する場合もありますが、私立大学はそういうこともなく、専願であれば3年間ひたすらその大学に特化した勉強ができるわけです。
さらに、国公立大学は前期中期後期の3回しか受験機会がありません。国立の場合は中期をやっているところはほぼないため2回です。加えて、重複受験は認められていないため第一志望は実質前期1回勝負です。私立は全学部?とか個別?とかよく分からないけど金さえ出せば複数回受けられますし、センター利用や推薦入試なども充実しています。また、滑り止め勢を考慮して定員よりも多く合格させるとも聞きました。実際、私は私立の受験対策はしていませんが同立、自己採点確認用センター利用、全て受かりました。
??「でも、MARCHと金岡千広って同じ偏差値帯だよね?」
皆さんご存知ないかと思いますが、私立大学と国公立大学はそれぞれで偏差値が出されます。受験形態が異なるためです。
国公立大学は数える程しかないけど、私立大学は鬼のようにあります。無名私立はアホのように定員割れしているのでボーダーフリーになってます。偏差値とは、平均を50としたときに母集団に対する自らの位置を表すものという理解です。数多の無名私立が有名私立の偏差値を押し上げているだけではないでしょうか。知らんけど。
国公立大学と私立大学の偏差値は比較できるものではないですが、ネットサーフィンをしていると国公立大学の偏差値に+5をすると私立大学の偏差値帯に変換できるという意見を見ました。
??「でも地方駅弁よりはMARCHの方が頭いいよね?」
センター試験受けてない奴に言われたくなさすぎる。確かに、得意な3教科では地方駅弁勢よりも勉強ができるのかもしれないけど、他の2教科はどうなん?君は5教科9科目で5割以上取ったことはある?あるなら賢いんじゃないですか……
「早慶は東大落ちの滑り止めだから賢い」とよくいうけど、それって「東大落ちの早慶」が賢いのであってセンター利用以外は別に賢くないだろ。また、都会のお受験戦争を勝ち抜いてきた附属からのエスカレーター組も賢いんだろうけど「大学受験」の話で言えばそいつらは無関係だと思うので論点ずらしやめてください!偏差値って大学入試にしか使われないんだからあくまで「入試難易度」として見るべきだと思うのですがどうですか?日本の大学は入るのは難しいけど卒業するのは簡単なんだし、試験によって変わる「偏差値」とかいうしょうもない値を誇示して生きてる奴ってキモいし……
??「地方駅弁行くくらいならMARCH行った方がコスパいいよね?」
地方駅弁は田舎にあるので一人暮らしをしても家賃が安くて物価も安い。加えて授業料も年間50万強である。MARCHは首都圏にありランチは1000円を超え年間100万以上の授業料を払う。
地方駅弁は地方では頂点なので、就活でちやほやされる。地元の有名企業に入りやすい。地元の有名企業では東京に営業所があるかもしれない。地元の有名企業に入って東京に単身赴任することで会社の金でタダ同然で都内に住むことが可能である。
学生の方に伝えたいが、有名企業=ホワイト企業という訳では無い。前置きにも書いた通り、私は中小企業に務めているが超ホワイト企業で悠々自適の生活をしている。取引先の大企業では、福利厚生わネームバリューは良いんだろうが、かなりの頻度で人が飛んだりいなくなったり鬱になって休職したり辞めたり担当が変わったりしている。自分に合う企業で働くことが一番コスパいい。
文化資本の観点で言えば、美術館や博物館が豊富な都内で学生生活を送った方が有意義なのかもしれないが、どうせコスパがどうとか言う奴は博物館にも美術館にも行かず学生街の居酒屋で飲み放題つけて酒飲んで路上にゲボ吐く生活しかしないんだから関係ない。どうでもいいですが、キャベツ500円って見た事なさスギィ!こっちでは300円ですよ^^
学歴厨大解剖!〜膨れ上がった自意識とルサンチマン〜
学歴厨、それはルッキズムと並ぶコンプ二大巨頭である。人間は学歴では判断できない。学歴とはあくまで「自分は学生時代このくらい勉強ができましたよ」という指標であって、学歴が良い=頭がいいではない。
それにも関わらず、なぜ人は学歴に拘ってしまうのか。本章ではAさん(仮名)の実例をもとに学歴厨を紐解いて見ようと思う。
Aさん(仮名)のプロフィール
地方の平凡な家庭出身。父は会社員、母は専業主婦。両親の仲が悪い。小さい頃から「家を出たいなら旧帝大以上の大学に進学しろ」と言われて育つ。妹が2人いる。
父から植え付けられた学歴の概念
(A、以下省略)私は小さい頃から勉強が得意でした。父からは小学生ですでに大学の話をされていました。絶対大学に行け、うちはお金が無いから私立大学には行かせられない、行くなら県内の××大学(国立)。奨学金を借りていけ。もしどうしても県外に出たいのであれば旧帝大(※筆者注: 旧帝国大学)以上であれば良いと……。
──それで、Aさんは学歴という概念が植え付けられたのですね。
はい、そのため、私は全ての人間はどこかしらの大学に通うのが普通だと思っていました。大卒でない人間は、商業高校や農業高校などの普通科以外に行った人間しかいないんだと。
学歴厨の目覚め
──なるほど。それでは、Aさんが学歴厨になったきっかけについてお聞かせいただけますか。
はい、私が学歴厨になったのは学歴コンプを抱いたときです。つまり、第一志望の大学に落ち、不本意な大学に進学したときですね。
私が受験生の頃、両親の仲が険悪になり家を出たいという思いが強くなっていました。また、成績も良かったので地元の国立大学では役不足で、より高みを目指したいという思いでいました。
実は私はセンター試験(※筆者注: 今でいう共通テストのこと)の本番で初めて8割超えたんです。マーク模試では最高7割ちょっとしか取れなくて、本番でいきなり8.5割取れて舞い上がりました。校内1位だと言われて舞い上がりました。第1志望もA判定で、ちょろいな、楽勝だなと慢心していて……。
──慢心していたら前期に落ちた訳ですね。
……はい。しかも、後で成績開示したら合格最低点まで数点だったんです!あと1問正解していたら私も旧帝大以上の高学歴の仲間入りだったのにって、悔しかったです。
──そのあとはどうされたんですか。
滑り止めで受けていた私立大学と後期の大学で迷い、結局後期の大学に入りました。後期は適当に受けたら受かりました。自分の実力よりワンランク下の大学に入るのは屈辱でした。入学当時は、自分は周りよりも賢いんだと人のことを見下していました。今思うと最低ですが……(笑)
──なぜ後期の大学を選んだんですか?
うち、貧乏ですし……妹も2人いるじゃないですか。経済的なことを考えると私立に行きたいとは言いづらいです。私立の方がネームバリューがあるので本当は行きたかったんですがね。まあ、大学卒業して奨学金の額とか見ると国立選んで正解だったなと思います。私立行ってたら授業料免除とかないだろうし、奨学金600万くらい背負ってそうですしね(笑)
──貧乏人は私立になんて行けませんよね(笑)……つまり、Aさんが学歴厨になったのは自身の不本意な受験結果に起因する、ということですね。
はい。私が第1志望に受かっていたら恐らく学歴コンプを抱くことなくエリートとして自信満々に生きていけたと思いますね。
肥大化した自己意識
──話は変わりますが、Aさんはやけに自己評価が高い印象を受けますが、どうでしょうか?
えっ。そうですか?だって、私がセンター本番で(得点率)8.5割取って、旧帝大以上の大学にあと数点で落ちたのは事実ですよ?もちろん、学歴がいいからと言って自分のことを頭がいいなんて思ってないですが、私が勉強を頑張って結果を出したのは事実です。
──しかし、あなたはおっしゃいましたよね?「センター試験本番まで7割しかとったことなかった」。あなたの出身大学はちょうどセンター7割が出願基準です。どうでしょう、それがあなたの真の実力なんじゃないですか?
は?侮辱してるんですか?たしかに、私の年のセンター試験では周りがコケているなか私だけが高得点を出せました。それは、選択しなかった化学基礎が難化した一方、選択した地学基礎が簡単でたまたま満点取れたり、国語の漢文が難化していたにも関わらずいつも通りの点が取れたり、苦手な古文が簡単で満点取れたりと、運が良かったのは認めます。しかし、それは私の日頃の努力が実を為したものです。
──そうなんですね。周りはコケたということは、皆さん志望校のランクを落としたんじゃないですか?
そうですね、確かに周りはランクを落としている人が多かったです。私の志望校の実際の受験生も、恐らくランクを落としてきた……東大志望だった人達なのではないかと考えています。だから落ちたんです。
──あれ?東大ってたしかセンターが1/10になる傾斜配点ですよね。二次試験の比率が圧倒的に大きいので、センター試験が芳しくなくても逆転を狙えるはずです。また、昨今東大は足切りをしてませんし、あなたの志望校レベルであれば足切りには引っかかりませんよね?
……。
──認めたらどうですか?あなたは、たまたまセンター試験本番で運良く8.5割が取れただけで、普段は7割の人間なんですよ。あなたの真の実力は7割だった、そう認めた方が楽になれるのではないですか?
……。
(以降、Aさんは無言を貫いたため取材中止)
学歴厨は悲劇である
Aさんへの取材により、学歴厨とは下記2点の条件が出揃ったときに形成されることがわかった。
・大卒が当たり前であるという意識
・自分の実力以下だと感じる大学に、不本意に進学したとき
実際、Aさんは大学では授業をサボり落単を重ね、GPAも底辺、卒業単位ギリギリで卒業した。あんなに見下していた出身大学の、前期で入学した生徒以下の成績である。
大学後期入試合格勢の入学後の成績が芳しくないことについては事実多くの大学が問題視しており、昨今の上位国立大学では後期日程が廃止されている。
学歴厨は自らの学歴コンプにより出身大学すら見下し、自らの学業成績の悪さを棚に上げる下劣な存在である。しかし、彼らの学歴コンプとは競争社会及び貧困によって形成されたものなのかもしれない。
この国の高等教育支援制度を拡充し、全ての子どもたちが親の所得に関わらず、彼らの実力のみで志望校に行けるようにすることこそが、国の発展のために必要不可欠であると感じた。
執筆者プロフィール
F山H男
KO義塾大学法学部出身。大学卒業後、父親の事業の手伝いでNYに渡り3年間スラム街の炊き出しを行なう。貧しい人々と触れ合う中で、貧困による社会システムの悪化に懸念を抱き、SNS等で貧困家庭支援活動を発信している。