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ZAZEN BOYS「らんど」の上陸を震えて待つ

「良いもの」というのはその名に反して良いばかりではない事が多い。
美味しいものでも沢山食べれば太るし、平和な休日も永遠ともなれば退屈だ。

つい数時間前、ZAZEN BOYSが新たにMVを公開した。
来年発売予定の新譜に収録される「永遠少女」という曲だ。

それはもう、大変な衝撃を受けた。
頭を鉄パイプでぶん殴られたかの如く脳内は乱れ、頭の中に湧くのは「格好良い」や「凄い」といった純粋な称賛ではなく「ヤバい」とか「どうしよう」だとかの焦燥、パニックだった。
ぐるぐるの頭を落ち着かせようと床に座り込み、先程ようやくこうして文章を書ける程度に回復した。

私はZAZEN BOYSの楽曲や演奏が好きなのは勿論だが、もらいゲロをしかねないほどの感情の吐露が一番好きだった。
中でも「Sabaku」や「破裂音の朝」などに表現されるカラッカラに乾燥した孤独感が大好きで、初めて聴いた時はまるで世界の終わりに臨んでいるかのような心境だった。

ピカソの「ゲルニカ」を見た時、多くの人は「美しい」ではなく「怖い」と感じると思う。
夢に見る人もいるかもしれないし、死ぬ間際まで忘れられない恐怖になる人もいるかもしれない。

心に残るほど凄いものを創るということは、言い換えれば消えない傷をつけるようなものだ。
ZAZEN BOYSは何度も何度も私の心をズタズタに傷つけてきたし、今回も脳を酸欠に至らせるほどに追い詰めてきた。

音楽好きなら誰でも新譜が出るとなれば嬉しいものだ。
私も来年ZAZEN BOYSの新譜が出ると聞いた時は舞い上がった。

しかしこの曲を聴いた今、楽しみであると同時に「恐ろしい」という気持ちを抱かずにはいられない。