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MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは?
マーケティング担当者にとって、広告やプロモーションが実際にどれだけ効果をもたらしているのかを知ることは、最も重要かつ難しい課題の一つです。「このテレビCMで売上は本当に伸びたのか?」「SNS広告の効果はどれくらい?」そんな疑問に答えるのが マーケティング・ミックス・モデリング(Marketing Mix Modeling、以下「MMM」)です。
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MMMと聞くと少し難しく感じてしまいますが、その本質は「既存データと世の中の動きを元に、広告費用の最適分配を行う」ことにあります。本記事では、MMMの基本を、具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。
MMMとは何か?押さえておくべきポイント
MMMの目的
MMM(マーケティングミックスモデリング)の目的は、売上や CVに影響を与える複数の要因を分解し、それぞれの寄与度を数値化することです。具体的には、広告、価格、季節要因、競合の影響などを分析し、どの要因が成果を生み出しているかを明確化します。この情報をもとに、マーケティング戦略や予算配分を最適化することができます。
MMMの仕組み
MMMは、以下の流れで進められます:
データ収集
広告費、売上、季節要因、競合データなどを収集。モデル構築
データを統計的手法(回帰分析)で解析し、売上に影響を与える各要因を分解。結果の解釈
広告費のROI(費用対効果)や季節要因の影響を数値で示し、次のアクションを決定。
MMMのメリット
MMMを活用することで得られる主なメリットは以下の通りです:
広告効果の「見える化」
広告が売上にどれだけ寄与したかを数値で明確に。無駄なコスト削減
効果の低い施策を見つけ、予算をより効率的なチャネルに集中。戦略的な意思決定
短期の売上増加だけでなく、長期的なマーケティング戦略を構築。
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MMMの特徴
MMMの特徴は、過去データに基づく分析である点です。広告やキャンペーンの成果を統計的に解明し、売上に対する効果を可視化します。
また、価格や季節要因、競合状況など、多角的な視点でマーケティング効果を評価できる点も大きな特徴です。
MMM手法について
MMMも基本的には、下の『データ分析の手順10ステップ』に則って進めていきます。
具体的には、
データ分析(MMM)のゴールを決める
過去に実施したマーケティング施策と
成果に影響を与える外部要因を洗い出す消費者の購買行動の各段階に洗い出した施策を振り分ける
データの収集・整形
データの分析
分析精度を向上させる
といった流れで進めていきます。
より厳密に数学的に何をやっているのかについては、
以下の記事で紹介しております。
また、Metaが無料MMMツール『Robyn』というものを公開しておりそれの使い方をまとめた記事も載せておきます。
MMMの活用事例
MMMは売上やCVなどの社内での機密情報を扱うので、基本的には会社での活用事例等は検索しても出てきません。しかしおおよそ以下のようなことを行なっています。
広告効果の検証
テレビCMやSNS広告のROIを比較し、次のキャンペーン戦略を決定。季節需要の影響分離
クリスマス商戦の売上増加を「広告効果」と「季節要因」に分解。価格戦略の最適化
値引きが売上に与える影響を測定し、適切な割引率を算出。
注意点:MMMは万能ではない?
また、MMMは非常に強力なツールですがいくつかの注意点があります。
大量のデータが必要
正確で信頼できるデータがなければ結果の精度も低下します。実装プロセスに時間がかかる
無料でMMMを行えるツールもありますが、実装に時間がかかります。担当者の専門性に左右される
担当者の専門性がそれほど高くない場合は、解釈の方法を間違えてしまうこともあります。過去データに依存する
あくまでも過去のデータを用いて分析を行うので、過去データに依存してしまいます。リアルタイム性が欠ける
分析に時間がかかるので、リアルタイムでの反映は難しいのが現状です。ただ週1回アウトプットを行う程度であれば問題なく行えます。クロスチャネルの影響を考慮するのが難しい
複数の広告を回したことによる相乗効果を考慮することが難しいのが現状です。
MMMの限界に関しては押さえておくべき点が他にもいくつかあるので、また改めて記事にしたいと思います。
まとめ
偏愛とマーケティング研究所のMMMソリューションは、
モデル設計におけるお客様との協働プロセスを通じて情報を開示し、詳細な報告書と実行可能なインサイトを提供することで、貴社のマーケターが自信を持って意思決定することを支援しています。
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