【愛の不時着 を観て】間違えた電車に乗り継ぎすぎて目的地にたどり着いたはいいけれど。
『ドイツにはこんな言葉がある。「間違えた列車が目的地まで連れて行ってくれる」』5話の平壌へ向かう途中、火を囲みながらの景色での一コマ。私が、セリがジョンヒョクに言うセリフで上位に好きな言葉です。
そんな節々の好きなセリフを思い浮かべながらの在宅ワーク。……捗りすぎてしまう。
このコロナ禍の騒ぎになってから早2ヶ月ぐらい在宅ワークを余儀なくされていますが(それでも結構夜のいい時間までダラダラと仕事をしてしまっている)、私のおうち時間の隣にはいつも「愛の不時着」がありました。
そう、なんてったって私
「愛の不時着」好きすぎて10周は観てしまっている。
…こんなに、飽きずに何度も繰り返し見られるなんて。
さすが、生来のオタクである。と言わざるを得ない。
なぜハマったの?と言われれば全くきっかけを覚えていない。恋は落ちるものなので、きっかけなんてないのは当たり前だけど、なんか論理的に説明したくなってみたので感想文を書いてみようと思う。
全部がいいのは承知の上!私的に上記ネタバレも含めた愛の不時着のどこがいいのか、何でこんなにハマってるのか、を熱量と私の親指が許す限りとくとご覧ください。(ハードル上げといてなんだけどオタクなので以下めっちゃ気持ち悪いと思うごめんな。)
①シーンひとつひとつがよくて、、、
多分映画とかドラマとか好きな人はめっちゃ怒るんだろうけど、私、最後まで見れないタイプ。映像を。字幕とかついてるとより早々に次の場面に飛ばしがち。
あと、単純に1回観れば大体覚えちゃう。(同じ理由で好きな本も見返さないタチ。)なので、一度理解したらもういいかなあなんて作品を繰り返し観ることができないんですよね。
7話でク・スンジュンが「人がときめくのは結末を知らないからだ。」と言っていたように私もずっとそう考えていたのですが、愛の不時着だけは違ったようです。
体現しています。11周目も充分楽しいので。価値観が覆されてしまうんです。
まあそれはシーンひとつひとつが、遠い未来の伏線回収や全出演者の演技力、景色の綺麗さなど、「良い」ケミストリーが生まれているから。だと思います。
②教科書にしたくなるほどの恋愛
私は生まれてこの方、恋愛には疎いといいますか。
頭がよろしくないものですから、99%の勘と1%の知識の上で生きています。(エジソン風に言うな)
恋愛にのめり込んでも、基本は本やエッセイ、コラムなどで相手の心情などを理解しようとは思いません。というか大体こんなん当てはまらんやろって思って参考にしたことはありません。(あ、でも一応記事は書いてみようとしたことは、あるよ)
でも、このふたりの恋愛模様はいつか大人になった私が経験してみたいなと思う恋ばかりでした。
調べたら出てくる相関図には、2人の設定は32歳なんですが、主演おふたりの年齢は38歳と37歳。え……まって。
38歳??37歳???
時空歪みすぎて、びっくりした。
少なくとも私の周りにはこんなにお顔が天才的な38歳と37歳は居ませんので、これから自分磨き頑張ろうと思います。
まあ、そんな顔が天才みたいな当たり前の反応は置いておいて、恋愛模様を語る上でふたりの演技がいいのは本当にミソ。仕事ができすぎである。
私が特に好きなのは10話終わりから11話にかけての雪のシーン。
ジョンヒョクが北朝鮮からセリの元へ駆けつける。あの有名なワンシーンですね。
○不眠症のセリが眠れず、睡眠薬が切れていたようで外に出て散歩していると目の前にいるはずのないジョンヒョクが現れるシーン。
ジョンヒョク「随分探した。」
セリ(見つめてる)
ジョンヒョク「ソウル市江南区清潭までしか教えてくれなかったから。」
セリ「私はこの類の夢が好きじゃないの。目が覚めたらすごく虚しいから。そんな目で見られるのもちっとも嬉しくない」
ジョンヒョク「夢じゃない」
セリ「保証できる?」
ジョンヒョク「保証するよ」
セリ(ジョンヒョクに抱きつく)
良、、、、。よくない?まあセリフの良さとか何番煎じかと思うのであえて触れませんが、ここの何がいいって、セリ役のソン・イェジンさん、この間ほぼ瞬きしてません。(ずっと見つめてる時は瞬きしてるけどね。)
一生会えないと思っていた好きな人に会う時、夢かと思って瞬きできない。そうだよね。そうーーーー!わかるそうなの!ってなって4周目ぐらいからこのシーンはリピートの常連になりました。
しかも、ここのシーンの撮影時、人工雪がイェジンさんの口に入ってしまうハプニングが何度とあったのに(詳しくはYouTubeに落ちているメイキング見てみてね)、この惹きつけられるような演技、プロでしたね、、。好きです。
あとここも。全話を通して私は12話が最高だと声を大にして言いたいのですが、なぜ12話かというと、あの伝説の2人でお酒を飲むシーン。
○ローテーブルに触れないぐらいの距離に座り焼酎を飲むふたり。
セリ「酔った、」
ジョンヒョク「酔ってる?」
セリ「すっかり。」
ジョンヒョク「よかった」
セリ「よかった?」
ジョンヒョク「酔ってるなら…言いたいんだ。」
セリ「何が言いたいの?"きれい"って?」
ジョンヒョク「違う」
セリ「…否定しなくてもいいのに。…じゃあ何?」
ジョンヒョク「北に…帰りたくない」
セリ(…)
ジョンヒョク「帰るのがイヤだ。君と…ここにいたい。」
セリ「酔いが覚めそう。」
ジョンヒョク「それは困る」
セリ「(お酒を口にして)覚めてない。つづけて。…すごく酔ってるから、聞いてもきっと忘れちゃうと思う。だから…続きを全部言ってみて」
ジョンヒョク「ここで、君と結婚をして、君に似た子どもも欲しい」
セリ「娘がいい」
ジョンヒョク「僕は双子がいい」
セリ「双子?…また酔いが覚めそう」
ジョンヒョク「覚めないで」
セリ「分かった。覚めてない。…他にやりたいことは?」
ジョンヒョク「またやる。……ピアノを」
セリ「そうよ。私がコンサートを開いてあげる。その実力なら大きな劇場でも………
いっそ劇場ごと買っちゃおうかしら。買えるかも。」
ジョンヒョク「だいぶ酔ってるな」
セリ「酔っぱらったわ。永遠に覚めないかも。」
ジョンヒョク「見てみたい。君に白髪が生えて、シワもできて、老いてゆく姿を。……綺麗だろうな。」
セリ「当然でしょ。ゆっくり歳をとるつもりよ。見たければずっと私のそばにいてくれないと。」
ジョンヒョク「そうだな」
セリ「ところでリさん、そばにいて欲しいけど、外では飲まないで。」
ジョンヒョク「?」
セリ「酔うと余計に魅力的。他の女に見られていると思うと不安で夜も眠れないわ。だから、家で飲んで」
ジョンヒョク「分かった」
セリ「約束だからね」
ジョンヒョク(頷く)
セリ「指切り。」
きれいだ、なんて言葉で最初は褒めず、老いてゆく姿をきれいだと思うジョンヒョクの心のきれいさとサランクン(一途)さよ……。好きな女は今もこれからもきれいだって、未来を約束できるようになってくれて、私はとってもとっても嬉しかったのです。(保護者目線)(なんならふたりより私の方が一回りくらい年下)
それに、当然許されない結婚だってジョンヒョクの心のうちではセリとしか考えられないってこととか、大変だろうと思うけれどキミに似た双子が欲しいなんて言うところとか、、、、
ああ。この男、本当にこの女との未来まで愛しちゃってるわけだわ……と、思うわけです。(最高)
明るい未来を描くと、違った未来に行ってしまった。そんな過去を責めて閉ざしていたジョンヒョクがセリに酔った時にしか話せないこの本音。それを涙をこらえて聞くセリ。
尊………(拝)
あとさ、言っておきたいんだけれどシーン関係なく全体通してだけど、ヒョンビンさんおめめで演技するの上手すぎん?
多分、観てる女全員ヒョンビンさんの視線でユン・セリになった気分になった。少なくとも私は計20回はユン・セリかと錯覚しました。
ジョンヒョクのあの暖かい愛の眼差しは、きっとセリに届き続けたと思う。
あの目を見る限り、愛は温かいものだと思うよね。うんうん。家族愛に恵まれなかったセリに愛が届き続けちゃう。それも魅力でした。
この物語の中で愛を叫ぶことは数えるくらいしかないけれど(まあそれでも「怪我してないか」「大丈夫なのか」=「好き」が同意語であるならたくさん言ってるけど。笑)愛してるの言葉じゃ足りないくらいにお互いのことを思いやっているから、目で、手で、行動で細かく表現しているんだろうなぁ。
さらに自分の恋愛観にすごくピッタリハマったのが、邪魔が入りすぎる恋愛でないところ。
そこそこ大人になってしまったので、
邪魔が入りすぎる恋愛には辟易してしまうのですが、
このドラマでは邪魔者は2番目の兄夫婦とチョ・チョルガン国境だけでしたね、。そこが本当によかった。
浮気とか不倫とか友達の好きな人が彼氏になるとか、確かにあり得るけど疲れる。疲れる恋愛なんて見たくないんですよ。普通にそんなの手元の恋愛で十分すぎるんですよ。それを徹底的に排除し、2人の深い愛を観られたのが本当に私の中では評価高すぎます。
こんな素敵な関係ばかり観ていると、愛を言葉で伝えてよって思っている私の恋愛観なんて幼稚なんだろうなと思えるけど、伝えて欲しいなあ。いやでも、言葉にしなくてもいい愛情表現がここにはあるので、ぜひ世のみなさん教科書にしてみてください。
③運命って信じていいの?
私、これでも運命なんて信じないほう。
夢みがちなリアリスト(え?それ頭おかしいな。って思うってのはあなたと私の秘密)なので、「え?運命とか恥ずかし」とか思っちゃう。実際自分の恋愛に置き換えてそういうシチュエーションになっても、「うわあ、ドラマみたい。演技しちゃお」みたいな変な気持ち悪さが出てきちゃうわけです。(最低)
でも、愛の不時着ではセリとジョンヒョクは運命だったと言い切りたいぐらい素晴らしいんですよ。
2人は物語が始まる7年前にスイスですれ違っていて、その時死にそうになっていたセリはジョンヒョクに2度助けられる。そんな回想シーンが入ります。これ、いろんな人が言っているので、参考になるかと思うのですが韓国ドラマにありがちな運命的出会いなんだそうです。
通常なら、「そんな上手い設定ある?」と思いますが、そこはプロです。考え込まれた構成でうまくピースをはめられていきます。故に従順なオタクに成り下がった私は「あーそうそう。2人はね、出会う運命なんですよ。必然」と思ってしまいます。
視聴者に納得させる運命って、恐らく制作側と役者側みんなの意思統一がないと無理だと思うのです。
それが、この作品ではできている。それも、1話約90分×16話分も。それってすごいことです。
最後まで視聴者の構想の上を行ける。それは理論的に考え込まれた運命だからこそ。だと、思うのです。
④結局ご想像にお任せしますって勝ち。
この物語は今できる最高のハッピーエンドで幕を閉じます。そう、南北統一なんて難しいことは言わずに、中立国で、出逢いのあったスイスで、ふたりは織姫と彦星のように(ここの伏線回収屋さん、ゾッとしましたよね)1年に2週間だけ同じ時間を過ごします。
私は、比較的遠距離恋愛を続けられるタイプなので、1年に2週間だけとかでも幸せならそれでよかった。と思うわけです。
でも、このふたり相手を守るために撃たれたりとか、相手が仇に殺められてしまわないか不安で脱北したりとか、するような人たちじゃないですか。
え、毎日隣にいて幸せ感じていてほしくない?
って感情になりますよね。(少なくとも私はなった)
そこで、調べるわけです。韓国と北朝鮮の生い立ちからこいう終わりにしなければならない理由まで。
この、「調べる」という行為。お分かりだろうか。
沼に!!ハマる!!!!第一歩!!!!(大声)
まあこれだけが理由ではないにしろ、このドラマの続きを作るのはほぼ不可能に近い(まあ作れたとしてもスペシャル版1本かなって感じ)のは、もはや勝ちですよ。だって視聴者の妄想によって如何様にも広げられるので。
ハッピーエンドもバッドエンドもご想像にお任せします、ずっと2人が幸せならいいですね。なんて、
もはや勝ちである。
そんな勝ちみたいな「愛の不時着」というドラマを観て一緒に目的地まで不時着しちゃいましょう。
おしまい(強制)