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【アート思考】アーティストの創造性をビジネスに活かす方法

ビジネスパーソンがアートに興味を持ったり、アーティストの創造性を仕事に活かしたいという人が増えてきているそうです。確かに書店に行けばビジネスにアートを掛け合わせるような本が並んでいます。
今回紹介する本は『アート思考――ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法』(秋元雄史)です。

まずデザイン思考とアート思考の違いから理解しよう

実際私も去年そういう本を見かけましたが、論理性や合理性を求めるビジネスの世界にアートが入り込む余地があるのだろうかと思っただけでスルーしていました。しかし昨今は変革を迫られる時代です。このへんで私もアート思考も勉強しようと思って読みました。

早速ですが筆者は冒頭にビジネスとアートは全く別のものだと述べています。おいおい、やっぱり関係ないじゃないか。いやいや、そうではないんです。まずデザイン思考とアート思考の違いから理解する必要があるんです。私なんかはデザインもアートもだいたい同じでしょ?なんて思うのですが、全然違います。
以下に比較してみます。

デザイン思考:
顧客の抱える問題を解決に導くためのもの。「自分がどうしたいか」ではなく「顧客利益のためにはどうすればよいか」を考えるもの。

アート思考:
「そもそも何が課題なのか」という問題をつくり出し、「何が問題なのか」といった問いから始めるのが特徴。

こうやって比較されるとデザイン思考が今までのビジネスのやり方だって分かりますよね。
もっと簡単に言えば、1を10に伸ばすのがデザイン思考で、0から1を作るのがアート思考なんですね。別の本からなんですが、1から10に伸ばすことは今後AIに代替される可能性があるんだけど、0から1を生み出すことはAIにはできないって書かれていました。だからアート思考をビジネスに活かしたい人が増えているんだと思われます。

「現状を打開して息の長いビジネスを目指したい」という思い

アーティストは答えを示すわけでなくて、問いを発します。つまりは「社会に対する問題提起」がポイントで、そこから新しい価値を提案して、歴史に残るような価値を作れるかを追求しています。この志は「現状を打開して息の長いビジネスを目指したい」というビジネスパーソンが共鳴する部分があるのです。

じゃあどうやったらアート思考が身につくの?
まず最初にやることとして筆者は「あなたの曇った目を取り除くこと」と述べています。
え、目が曇っているの?と思うかもしれませんが、そうです、曇っているのです。
それは「当たり前のことを当たり前に見すぎている」ってことです。もうちょっと言えば、習慣化された文化に疑いを持っていないんです。例えば、昨今は強制的に在宅勤務に移行した方も多いと思います。今まで当たり前のように満員電車に乗っていませんでしたか。満員電車じゃなくても通勤が当たり前だと思っていませんでしたか。そこに疑問を持って「通勤しないことに価値を提案する」ことが曇った目を取り除く第一歩になります。

「理解できない」ことを「理解しようとするプロセス」が大事

ときにアーティストは常人には理解できないような作品を作ります。ここが論理性を重視するビジネスと相入れないところなんです。でも「理解できない」ことに価値があるんです。それは「理解できない」ことを「理解しようとするプロセス」が大事なんです。もしかしたら理解できるようになるかもしれない、理解できなくても自分に考えて意見を持てるかもしれない。
どうしてピカソは人間を奇怪に描くのか、どうしてゴッホは原色ばかり使うのか。彼らはやりたくて奇抜なことをやっていたわけではないです。その時代にそうしなければならなかった理由があったのです。その理由を考えて、アート思考を身につける訓練をしていくと現代社会にも新しい問いを能動的に見つけることができるようになって、ビジネスにアート思考を活かせるかもしれないよ、という話なのです。

またアーティストは「炭鉱のカナリア」と表現されます。炭鉱で作業をする坑夫はカナリアを鳥籠で連れて行くそうです。何でそんなことをするかというと、炭鉱は有毒なガスが漏れていることがあって、人間は気づかないんですが、カナリアは敏感なのですぐに気づき、急に静かになるんだそうです。だから坑夫が炭鉱内の危険に気付くことができる。
これと一緒で、アーティストも社会の異変に敏感に気づき、問いを発することが仕事なのです。そこから新しい価値を生み出して行くことにつなげていきたいので、この創造性はビジネスにも活かしたいですよね。

そういうわけで、ビジネスとアートの関係性がよく分かっていなかった私がまとめてみましたが、伝わりましたでしょうか。実は他にももうちょっとレベルの高いビジネスとアートの本も読んでいるので、新しいことが分かればまた共有したいと思います。

昨今はコロナショックで既存の価値観が新しい価値観へ置き換わりつつありますが、ウィルスがドライビングフォースになるのは、なんだか外圧に押されたみたいな気持ちもありつつ、強制的に移行できて良かった!と思う気持ちもありつつ、微妙なところです。自らのアート思考で新しい価値観を作っていきたいですね。

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