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『そこのみにて光輝く』(2014/日本)

舞台は函館。希望のない底辺労働者の日常を綾野剛がじっとりねっとりした演技で魅せる。池脇千鶴もいい感じの悲壮感を重ねる。

しかしだ。綾野剛と池脇千鶴もいいが、弟役の菅田将輝が一番いい。主演は前者だが、菅田将暉の演技がすべてを凌駕する。もはや彼のための映画である。

綾野剛も池脇千鶴も顔面偏差値が高いため、それっぽい演技をしたところで地方の底辺労働者の顔には見えない、残念ながら見えないんだよ。
でもそれ以上に顔面偏差値の高い菅田将暉の方がナチュラルな底辺労働者に見える。なんなんだ、この圧倒的な演技力は!?

いっちばん最初の方に菅田将暉が、真っ黄色の歯を見せて笑うところがあるんですが、それが最後まで行くと、虚しさに胸が締め付けられる。
まあご想像の通り、最初から最後まで救いのない映画でして、正直しんどくなってくるのですが、最後はちょっとだけいい。  

ラストで池脇千鶴はだいぶ落ち込みます。
でも絶望してたら落ち込むことはないです。それは何も期待していないのだから、何があっても無感情のはず。でも落ち込めたのは、光を1つ見つけることができたから。諦めていたら光なんてない。エンドロールのあとにどんな人生が待ち受けているかは分かりませんが、ほんの少しは前に進めたはずなのです。

菅田将暉が一番いいのですけど、ちょい役で出てくる火野正平も良いです。「仕事のせいで俺は女も抱けなくなった」と凄みを利かせるシーンがあります。メタ的な台詞だなとちょっとほくそ笑みました。

(面白さ:★★★★★★☆☆☆☆)


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