とある命のはなし 1
件のウイルスの勢いは止まらないようだ。
家で過ごすことを我慢して、我慢できなくなって、最終的に諦め、無感情で時間を過ごすところまで来ている人も少なくないだろう。鬱になんてならないと息巻いていた自分も、表面上は前進しない現状にげんなりしている。
最近よく考えることがある。色々な命のはなし。そんなはなしをこれからしていきたいと思う。
わたしの祖母は6年前に亡くなった。暖かい雰囲気でいつもにこやかによく話す素敵な祖母であった。そんな祖母は最後に「父を見習って立派な人になって欲しい」という言葉を遺した。当時高校生だったわたしは、その言葉をお守りに大学受験し、なんとか医学部に合格することができた。そして、今年度卒業を迎える。
そして思う、わたしは立派だろうか?
このような情勢で自分は誰かの命を救うことはできたのか?これから先に救うことはできるのだろうか?誰かの命のために自分の人生をかけられるのだろうか?
不安と罪悪感の狭間で堂々巡りになるが、答えはもう出ているのだ。わたしは立派ではないし、立派にもなれない。目の前の波に抗うことしかできない。だけど、その中でもしかしたら誰かがわたしのことを立派と呼んでくれるかもしれない。そんな日を迎えられることが唯一の楽しみである。ひとつの命からおおくの命をつなげられるように。
今日の一曲 : ハルカトミユキ「種を蒔く人」