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愛と哀しみの「アメリカ」

アメリカ大統領就任式をニュースで見ている。
メラニア大統領夫人の装いが素敵だ。シックで落ち着いているのに存在感はばっちり。これぞ成熟した大人のスタイルってものだろう。

読書が趣味の私だけれど、好きなジャンルは海外文学、とりわけアメリカの作家が好きだ。手に取るのは純文学系の小説がほとんどで、ミステリーやSFはあまり読まない(筋を追うのに疲れてしまうのだ)。 

そういった小説で描かれるアメリカ人は、時にとても哀しい雰囲気をまとっている。自信たっぷりのヒーローや、自分らしく生きている若い女性ってのはあまりいない。どちらかといえば家族やお金、健康に関する問題を抱え、がんじがらめにもがいている人が多い。

ちなみにブルース・スプリングスティーンの曲で One Step Up という曲があるのだけれど、サビの歌詞は One Step Up, Two Step Back 。つまりジリ貧に陥った男の歌だ

中学生の頃にこの曲に出会い、今も折に触れて聞き直すのだけれど、低い声でドライに唄われる哀しさがいつも、アメリカ文学の主人公たちに重なって来る。

彼らは、あんまり自分の身の上を憂いて泣いたりはしない。明るく陽気に振る舞うのがマナーだから(かどうかは分からないけれど)、哀しみはいつも胸の内側に置いてある。それはきっとすごく苦しい事だと思う。でもそんな苦しさに立ち向かう人の姿が読みたくて、私はアメリカ文学を追いかけるのだ。

強く明るいスーパーヒーロー「アメリカ」大統領のニュースにも飽きて来たので、今日はスタインベックの「菊」を読みながら寝ようと思う。初めて読んだ時は主人公の主婦がなぜ気づかれないように泣くのかが分からなかったけれど、今はスッと腑に落ちる。

ちなみに大統領夫人のメラニアにはいつか、自分の手で自伝を綴って欲しいと思う。
あの佇まいにこそ、哀しみが満ちていると思うのは私だけ?かもしれないけれど。

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