小嶋陽菜と仕事とわたし
「楽しく仕事ができるちょうどいい努力。」
これは今から10年程前、私の職場の休憩室のドアに貼られたポスターに書いてあった言葉だ。
「成長戦略でチャレンジ!日本」
政府広報からリリースされたそのポスターには、当時のAKB48から選抜されたメンバー一人ひとりが、思い思いの言葉を書いたホワイトボードを持ち、笑顔で写っていた。
もしかしたら、それらはどこかの広告会社のおじさんが考え出した言葉だったかもしれないが、その中の一つに私は心奪われた。
誰もいない時にこっそり撮ったそのポスターの画像は、今でもお守りのように私のiPhoneに大切に保存されている。
小嶋 陽菜
通称:こじはる、にゃんにゃん
今は、小嶋さん、小嶋社長、と呼ぶ女の子も多いかもしれない。
子どもの頃から男女問わずアイドルにこっそり憧れを抱いていた私は、もれなくAKB48も好きであった。
その中でもこじはるは、歌唱力も高く、スラッと長い手足を活かしたダンスも素敵で、綺麗なロングヘアに大人っぽく美人な顔立ちから、ドラマ出演やモデル業をこなしながらも、それとは正反対にバラエティ番組や深夜の競馬番組でも活躍していた。
色々な場面で求められたことに応えるのが上手な人なんだ、と思っていた。
そんな彼女も2016年にAKB48の卒業を発表。
そこからの彼女は、アイドルをやりながらこんなことも考えていたの?と思うほどのサプライズをたくさん届けてくれた。
個人のオフィシャルサイトをオープンしたり、22;marketでアパレルやグッズを販売したり、卒業コンサートの際に原宿がこじはるでジャックされた時は圧巻であった。
私はもうすっかり彼女から目が離せなくなっていた。
その頃彼女が出演した歌番組や旅番組、職場の先輩に頼み込んで録画してもらったスカパー!の卒業コンサート、その卒業コンサートの裏側に密着した番組、DVDに残したそれらを今でもたまに見返す程である。
卒業後の活躍はここに記すまでもないが、ライフスタイルブランド Her lip to を始めれば、お洋服はどれも即完売。YouTube HARUNA KOJIMA's cat nap を始めれば、最初こそは、YouTuberデビュー?!なんて言われていたが、今ではすっかり一般的となったvlogを彼女は早くから始めており、とにかくトレンドを読みそれを発信するセンスが抜群なのである。
ふんわりと柔らかい雰囲気でありながら、しっかりとした芯を持ち、求められている自分を理解しつつ、確かな実行力で周りを巻き込んでいく、私はそんな彼女に惹かれ、憧れを持ち、尊敬するようになった。
それはもうアイドルのこじはるとしてではなく、ビジネスパーソンの小嶋陽菜としてだ。
2018年に彼女が始めたHer lip toは6周年を迎え、代表取締役CCOを務める 株式会社heart relation は先日株式会社yutoriとの資本提携を発表した。
「楽しく仕事ができるちょうどいい努力。」
彼女は10年前のこの言葉を覚えているだろうか。
そんなことを考えながら、私は今日もHer lip toの洋服に身を包み、フレグランスとハンドクリームで良い匂いを纏わせながら、仕事に向かう。