憧れの二人 / #青ブラ文学部
（ #ショートショート 、本文：808文字）
わたしが卓球を始めたのは、石川佳純ちゃんみたいになりたかったから。
テレビで卓球の試合を観たときにビビッてきちゃった。サーブを打つときの真剣な顔、スマッシュを決めてガッツポーズをしているときの姿、試合後のインタビューのときの笑顔、かっこよくて、かわいくて、素敵だった。
去年、引退するって聞いたときはショックだった。もうあの雄姿が見られないのかって。でもその後、テレビで観た佳純ちゃんは、これまで以上にニコニコと笑っていた。プレッシャーが大きかったんだろうな。お疲れさま。
わたしの部活での戦績は、県大会団体3位が最高。だけど、中学で始めたにしてはよくやったね、と自分を褒めたい。だって、小学校までは運動が苦手だったから。身体は固いし、走るのもめちゃめちゃ遅かったもん。よく頑張ったよ、わたし。
ラケットは佳純ちゃんと同じシェイクハンド。あまりエースは獲れなかったけど、サーブもいっぱい練習した。佳純ちゃんみたいにラリーが続けばかっこよかったけど、なかなか続かない。練習が足りなかったかなぁ。
高校に入っても、卓球、続けるかは考え中。だって、佳純ちゃん、引退しちゃったもん。目標を失った感じ。
佳純ちゃんは、わたしの憧れのお姉さん。ありがとう、佳純ちゃん。
そうそう。わたしにはもう一人、憧れのお姉さんがいる。忘れてないよ。いつもいっしょにいるから、あらたまって書くの、照れくさいだけだよ。
いつも優しくて、お料理が上手、いろんなことを知っていて勉強を教えてくれる。危ないことや人として間違っていることをすると、真剣に𠮟ってくれる。正しいことをしたときは「えらいぞ」とたくさん褒めてくれる。わたしが悲しいときはいっしょになって泣いてくれる。
このお姉さんはたぶん引退しない。わたしがおとなになっても、ずっと現役でいると思う。わたしが結婚して子どもができても……。
お母さん、いつもありがとう。
あ、言っちゃった。わたしの憧れのお姉さん。
はれるや( ´ ▽ ` )ﾉ。です。
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企画： #青ブラ文学部
お題： #憧れのお姉さん
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ﾉ。
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