【TOKUSHIMA特集第二弾】Winter School 2020に参加していただいた牟岐町民が語る牟岐の魅力とは?
HLABが2020年12月末に開催したWinter School。オンラインではありながらも、牟岐(むぎ)町の皆様の手厚いご協力を受けながら、牟岐の魅力で溢れたHLAB TOKUSHIMAを開催することができました。ご協力下さった牟岐町の方々にWinter Schoolの裏話を伺ったインタビューを、2回に分けてお届けします。第二弾となる今回は、実際のHLAB TOKUSHIMA Winter School 2020で参加者に送付されたもち麦の商品開発の秘話と牟岐町民が語るそれぞれの町の魅力についてお伝えしていこうと思います。
※Winter School:例年HLABが夏に開催しているサマースクールを、コロナウイルス感染拡大の影響で冬にオンラインで開催したものです。多様なバックグラウンドを持った高校生と学生メンターそして社会人が、互いの夢や将来、正解のない問いについて真剣にオンラインで語り合う、HLABで初めての挑戦となりました。HLAB TOKUSHIMAでは、徳島県牟岐町に実際には集まることができなかったものの、牟岐町の方々の全面協力のお陰でオンラインにも関わらず、牟岐町の魅力満載のWinter Schoolを創り上げることができました。
※牟岐のご飯ワークショップ:牟岐町の全面協力のもと、地元特産品であるもち麦を使った料理や、郷土料理であるまぜくりご飯などの料理を牟岐町と各参加者の家庭をオンラインで繋ぎながら一緒に調理をした企画です。参加者の元には事前に牟岐町の特産品などが送付されました。牟岐の魅力である、自然の豊かさはその場に行ってみないと伝わりづらいかもしれませんが、牟岐の豊かな食文化や人の良さは送っていただいた特産品を調理したり、実際に話したりしたことでより強く伝わったのではないかと思います。COVID-19の影響により人と繋がりづらい、人と食を共にする機会が少ないからこそ意味のある企画でした。
今回のインタビューにご協力いただいた方々です。
石本さん:牟岐町民。2014年のHLAB TOKUSHIMA開催初年度から昼食の準備や徳島でのサマースクールが立ち上がってからHLAB TOKUSHIMAのお母さん的存在として、ずっとお世話になっていただいています。
富田さん:牟岐町観光協会の担当者。今回のWinter Schoolでは行燈制作企画に携わっていただきました。
井上さん:もちっとむぎゅっとの会、農業を守る会の会長。牟岐町の専業農家。今回は、もち麦開発についてお聞かせいただきます。
青木さん:2019年度まで牟岐町教育委員会でHLAB担当者。2020年度からは産業課地方創生室(関係人口関連)で関わり続けている。
家中さん:教育委員会。青木さんの後任として、2020年度よりHLAB担当者。
左上:石本さん、左下:富田さん、右上:井上さん、右下:青木さん、下画像:家中さん
もち麦とは何ですか?簡単に紹介をお願いします。
井上さん:もち麦は大麦の種類の一つです。このうちもち麦は食用のもち性の大麦の種類になります。現在育てているもち麦はダイシモチという品種になります。元々は香川県善通寺市の弘法大師に由来する大師餅(弘法大師の名前より由来)がルーツです。4年ほど前に種を分けていただきました。通常、麦の色は白や黄色が多いですが、大師餅の特徴は紫色です。ポリフェノールなどに含まれるアントシアニンがこの紫色になっており、他の大麦よりも栄養価が高いんですよ。
牟岐のもち麦紹介画像
もち麦の商品開発は徳島文理大学と行ったとお聞きしました。共同開発に至った経緯を教えていただけますか?
井上さん:3年程前に、南部総合県民局の農業担当からもち麦を紹介していただいたところ、同時期に徳島文理大学からもち麦についての紹介がありました。農家では栄養成分の分析はできない為、もち麦の栄養成分を研究している徳島文理大学に協力をお願いしました。
実際の商品販売では、栄養成分など数字を示した方がお客様にその良さが理解してもらえやすいです。しかし、農家だけでは難しい為、徳島文理大学教授の紹介を通して、もち麦の興味のある生徒を集めたのが始まりです。最初は生徒11人、教授2人でスタートして、現在は、大学生サークルと協働しています。協働開始から4年が経ち、初期の生徒さん達は卒業式を迎えました。
商品化までの道のりで特にこだわった部分があればお聞かせください。
井上さん:商品を売る時にはパッケージが大切だと感じています。私(井上会長)が46歳で牟岐町では一番若い専業農家として活動しています。他の農家さんは自分の親世代に近い高齢であるため、パッケージを作るのが厳しいと感じました。そこで、大学生にお願いをして1年目から商品開発に関わってもらいました。
もち麦開発にあたり、苦労したことはありましたか?エピソードもお聞かせください。
井上さん:初めは、大学生との距離の縮め方に苦労しました。徳島文理大学の食物栄養学科には管理栄養士を目指す学生も多く、自分たちは生徒さん達のお父さん世代に近いです。最初は少し時間がかかりましたが、一度距離を近づいてしまえば案外大丈夫でした。苦労としては、大人の都合に振り回されることの方が多かった。(笑)自分たちとは違う発想を持つ大学生と関わることに対しては楽しみでしかなかったです。
これからもち麦の商品をどのようにPRしていく予定でしょうか?
井上さん:もち麦の商品は主に地元徳島のスーパーで販売しています。大学生には商品が出来上がってからすぐにスーパーで直接売り込みをしてもらいました。パッケージの見た目が可愛く、町の女性に対して人気が高かったです。元々から健康に気を配る女性をターゲットにしていたため、生徒さんもどこに行っても良い感触を得られて、時には完売することができました。卒業した4年生に関しては、商品を最初から作り上げたものでもあるので、思い入れがあると思います。
また、ネット販売は東京のバイヤーさんを介して販売しています。あとは、HLABのターンテーブルの広報や観光協会でも配ったりしています!
もち麦ネット販売→https://foodoor.jp/smm001/
井上会長にとって牟岐町の魅力とは一体なんでしょうか?
井上さん:農業として牟岐のお米はぜひ紹介したいです。また今は、牟岐のもち麦や実生ゆずをブランド化していこうとしています。「ターンテーブル」では実生柚子の果汁瓶が1本1500円(数量限定)で販売中です、みんなもぜひ買ってください!!あとは、よくも悪くも町の人が近いから、お金や時間に捉われず、損得関係なく関係を持てます。これは都会ではなかなか経験できないことだと思います。また、海が近くサーフィンや釣りもできるので、趣味がある人には最高だと感じます。
牟岐町の名所や名産品の紹介
最後に、皆さまにとって牟岐町にはどういう魅力がありますか?また、牟岐町の名産品もご紹介ください。
富田さん:私は「魅力がない」ことが魅力だと思っています。特別な観光地ではないですが、歩き回るおばあちゃん、走り回る子供たちが牟岐の魅力です。ですが、それぞれ違う時間が流れていて、都会では感じられないことが魅力をより強くしています。
青木さん:長い間住んでいたら中々気づかないです。私もこれといった特別な魅力はないと思います。もっといい自然がある場所もあるけど、様々な社会人や大学生が町に来ることによって周りに刺激を波及しています。例えば、大学がない町なのに、中学校の授業(総合的な学習の時間)に色んな大学生が入るのは、全国を探しても滅多にないと思います。HLABの大学生などが町に来てくれることで町民の意識にも変化が生まれています。2021年夏、モラスコむぎにコワーキングスペースやコミュニティスペースが完成しワーケーションができます。コロナが落ち着いたら遊びに来てくださいね!
※モラスコむぎ:世界中から集めた貝や化石の標本を所蔵する「貝の資料館」を含む観光施設。例年サマースクールの会場として施設をお借りしています。
他には、磯釣りのメッカである牟岐大島もあります。釣りの大会が行われるほど人が集まる時もあります。海から山まで車で5分ほどしかかからず、町には牟岐川も流れています。釣りが好きだったり、山に登るなどのアウトドアの趣味を持つ人には最適だと思います。
家中さん:私は元々大阪出身で牟岐に5年前に移り住みました。大阪と牟岐を比べながら思うのは、人の魅力です。例えば、前日に声をかけても翌日すぐに集まってきてくれます。忙しい中でも間を縫ってきてくださる協力的な人はとても多いです。また、HLABの大学生がしたいことに対しても真剣に向き合ってくれます。話し合うだけでなく、自分自身の経験を持って大事に接してくれます。今まで事務作業などで人と触れ合うことが少なく牟岐町民の魅力に気づけなかったですが、今年度は町の人と関わることが多くなり「人の優しさ」を魅力として強く感じるようになりました。
今回インタビューを快く受けてくださった皆さま本当にありがとうございました。今回のインタビュー企画でHLAB TOKUSHIMAでの活動と牟岐町の魅力が伝わると幸いです。今後ともご支援よろしくお願いいたします。また、毎年HLABを温かく迎え入れてくださる牟岐町の方々にも改めて感謝を申し上げたいと思います。
詳しい活動内容は→https://h-lab.co/ まで、
その他問い合わせは→info@h-lab.coまでお願いします。
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