三笘を抑えろ!突破されても。。。(10月7日フロンターレ対FC東京戦<4>)
最強のインパクトプレイヤー、三笘薫。これまでも何回も苦しいところを救ってくれた。三笘のドリブル突破が、今年のフロンターレの後半の仕掛けの鍵だ。
となるとフロンターレの相手としては三笘をどう止めるか、が重要になってくる。FC東京の長谷川健太監督は、三笘に対して大学時代から何度も対決しているという中村帆高を当てると試合前からは公言していて、実際に後半10分に中村帆高が投入された。
さて。三笘は封じられたのか。
ドリブル突破の成功率は?
印象論で語るよりも、数字を見てみよう。ここでも数えてみた。三笘のドリブルの数をまず数え、それがシュートやクロスで終わったなら大成功。味方へのパスなら成功。ボールロストを失敗とカウントしてみる。
そうすると、
大成功=2回
成功 =9回
失敗 =5回
となった。こう見ると、16回中11回、ほぼ三分の二は成功といえるので、「封じられた」と言うほどではない。
ただ、シュートに結びついたのは2回だけ、さらに5回止められたということで、「万能の切り札」でもないし、「封じ込められた」わけでもないというあたりが公正な評価だろう。これまでの猛威を考えればFC東京のディフェンスは効果があったと評価すべきだろうか。ただし、FC東京の三笘対策は中村を当てるということだけではなかった。三笘に突破されることは織り込んだ上で、それによって生じるリスクを管理するアプローチを取っていた。
「大島アンカー」「三笘インサイドハーフ」
なお、後半32分以降、大島がアンカーに下がったことで、旗手が左ウイング、三笘が左インサイドハーフに入った(時々入れ替わっている)。
終盤になって三笘のポジションが内側になったのはそういう玉突きになったからだ。ただ、旗手が外側なので旗手のミドルシュートというオプションが難しくなった。
にもかかわらずなぜこのようなポジショニングをさせたのだろう?
答えとして考えられるのは、ペナルティエリア内に多くのディフェンダーがいたので、ミドルシュートは誰かに引っかかる可能性が高かった、ということ、そして、三笘をハーフスペースに動かすことで、「誰が三笘のマークに行くか」を曖昧にさせるためということだろうか。
トータルディフェンスとしての三笘対策
FC東京の三笘対策で特徴的な点を一つ挙げるなら、「三笘を止める」と言うよりも「三笘に突破されてもトータルのディフェンスを破綻させない」ことをきちんと準備していたことだと思う。そうすることで、三笘に突破されても、それによって生じるリスクを管理することができていてた。
まとめるとこんな感じになる。
三笘がドリブルで仕掛けると、中村帆高がチェックに行き、フォローも入る。
そして同時に、ゴールエリアとペナルティエリアの間のシューティングゾーンにディフェンダーが下がってきて、そのスペースを埋めてしまう。言ってみれば、三笘のポジションを基準にブロックのポジショニングを決めるというような形だ。
中村帆高が三笘を止められればそれでいいし、突破されても、シュートコースも、クロスのコースも塞いでしまう。そんなディフェンスプランだったようだ。
大島の縦パスも、三笘のドリブルも封じられると、フロンターレの攻め手は著しく限られる。
家長昭博のイマジネーションという打開策もあるが、この試合はペナルティエリア内のスペースが著しく少なかったので、ロビングパスを含めた家長の3次元的技巧も、FC東京を決定的に崩すには至らなかった。
さらに、FC東京には鋭いカウンターという武器があった。