サッカーのポジション、縦で切るか、横で切るか?
5レーン理論?
「5レーン理論」という単語を初めて目にしたのは、確か西部謙司さんのコラムだったと思う。それから、西部さんの『戦術リストランテ』を読んでみて、こういう考え方があるのか、と驚いた。
普通、サッカーのフォーメーションは4-2-3-1とか4-4-2と呼ばれたりするが、これは一番左の数字が最終ラインに横に並ぶ選手の数、次の数字が守備的MFの数、最後の数字がFWの数になる。つまり、(Jリーグの場合)縦105m、横68mとルール上決まっているサッカーフィールドを「横」に区切ってフォーメーションを考えるというのが普通の考え方になる。
例えば、いまJリーグでも、世界的にも標準的な4-2-3-1を表記するとこんな形になる。
けれど、「5レーン理論」というのは、これを縦に切ってポジションを考える考え方だ。最初にこれを聞いたとき、「縦方向にポジションを考えるってことは、縦方向の100mを絶えず上下しなければならない、ということになる。そんなことできるのか?」と疑問を持った。
現代サッカーの「コンパクト」さ
しかし、「5レーン理論」を知ってから観戦したある試合で、はたと気づいた。現代サッカーというのは、最終ラインは高い位置を保つ。特に中盤での攻防においては、両方とも最終ラインをできるだけ上げようとする。なので、両チームの最終ラインの距離は結構近い。そうなると、実は最終ライン同士の距離は、グラウンドの横幅よりもずっと短くなる。
それに気づいたのは2019年ルヴァンカップの川崎フロンターレ対鹿島アントラーズの試合だった。さすがにこのレベルのチームの対戦になると、中盤のコンパクトさがハンパない。こうなると、最終ラインの間の距離は両幅よりもずっと短い。
この長さでものを考えるならば、確かに縦方向にエリアを切る「レーン」という考え方には意味がある。何しろこのコンパクトなゾーンに両軍20人の選手が入る。例えばお互いに4-2-3-1だった場合はこんな感じになる。
こうなると、縦方向のポジショニングを上手く使わないとボールを意図通りに動かすのは難しい。原則、人間は縦方向に動き、ボールは横方向でレーンシフトをさせながら前に進めていく、そういう考えなのだと理解した。
川崎フロンターレと5レーン理論
自分は川崎フロンターレのサポーターなのだけれど、そういう理解でフロンターレのサッカーを見てみると実に面白い。これから、フロンターレのサッカーと5レーン理論を元にしたサッカー分析を書いていきたいと思う。
これは昨日の試合、トリニータ戦でのレアンドロ・ダミアンの2点目のゴール。