「4-1-2-3の優位」:対柏レイソル戦(7月11日)
長谷川ーダミアンー家長の脅威
フロンターレもレイソルも表記上は4-3-3。ただしレイソルは細かく書くと4-1-4-1。フロンターレは4-1-2-3。ドリブル突破力の高い選手を多数擁するフロンターレにとって、4-1-2-3は非常に理にかなったポジショニングといえる。
長谷川、ダミアン、家長が幅を取って一列に並んだフロンターレの攻撃陣に対する4バックでのディフェンスはすごく難しい。
長谷川も家長も縦へのドリブル突破力があるから、サイドバックはきちんと近い距離でマークしなければならない。そしてダミアンにはセンターバックの2枚が付くが、ダミアンは上手くその2人の中間、心持ち下がったところにポジションを取る。こうなると2人のセンターバックはハーフスペースのケアができず、そこに広大なスペースができる。
ハーフスペースを埋めるか?サイドを埋めるか?
この写真は、レイソルのサイドバックがハーフスペースを埋めて、その代わりに家長にマークが付いていない状態。なので、サイドのレーンに家長がドリブルで使えるスペースができている。
ここでボールを持っているのは最終ラインだが、この瞬間、正面の同じレーンにいるインサイドハーフにショートパスを出すか、家長にスルーパスを出してスピードに乗せて突破させるか、あるいはダミアンに強いパスを当てるかの3つの選択がある。
こういうスペースを家長に(長谷川にも)与えないためにはディフェンスは2人必要だから、ウイングが戻ってサイドバックと2人で対応しなければならない。
3トップが作り出すポジション上の優位
つまり、3トップの3人で6人が拘束されることになる上、フロンターレのサイドバックは高いポジションが取れる。
両サイドバックとも、空いたハーフスペースに侵入すると、アタッキングサードにサイドを起点とするトライアングルをいくつも作ることができ、ディフェンスの対応が難しくなる。
アンカーを潰すにはFWの守備が必要
4-3-3の泣き所はアンカーを潰されるとボールが回りにくくなることだが、レイソルのワントップはオルンガ。それほど守備をするタイプではない。
そのためアンカーの守田もほとんどプレッシャーを受けることなく攻撃に参加することができた。
まあ、元々オルンガは点を取るのが仕事だから、守備をやらせるべきかというとそれはそれで難しい問題だ。
ただ、この試合ではオルンガは前半で交代となる。爆発的にゴールを上げ出すのはフロンターレ戦より後のことだ。
この試合、フロンターレが得点した3点のうち2本はセットプレイだが、ポゼッションは58.7%対41.3%、シュート数は15本対5本。フロンターレ側からすれば、ゲームプラン通りの試合だったといえる。
それを実現させたのが、ダミアンゼロトップのフォーメーションだった。
ダミアンのキープ力と長谷川、家長の突破力を考えると、国内の通常の4バックで抑え込めるチームはほとんどないだろう。
この時現地観戦したいと思ったのが5バックで守るチームとのマッチアップ。それは意外に早くやってくる。湘南ベルマーレ戦だった。