ほくとの部屋 第4回 デスタク回 前編
0.イントロ
みなさんこんにちは
ほくとの部屋の神原北斗です。
この企画は関西版のぶおの部屋ということで、レガシーの各アーキタイプに関して関西圏のプレイヤーの中から達人をお呼びして、デッキについて掘り下げるというものです。
基本的にKMC(月1で開催されている関西最大規模のレガシー草の根大会)直後にインタビューをおこなっています。
1.ゲスト紹介
デスタクで抜群の安定感を見せるKMCの番人
ー今回は第4回目デスタク回ということで、ゲストとして土井 五月さんをお呼びしました
ー土井さんはデスタク使いでありながら、イラストレーターとしても有名です
ー自身が使っているはずのサリアちゃんが、いじめれているイラストがたくさん。。なんて屈折した愛情表現
ー一方デスタクを使って直近のKMC8回(途中のInvitational含む)中6回TOP8入賞と抜群の安定感を出しています。
ー毎回KMCのバブルマッチで立ちはだかって相手のTOP8を阻む姿は、まさにKMCの番人
ーさっそく話を聞いてみましょう
1.1デスタクを使うきっかけ
土井「きっかけは、サイドイベントと物販のために寄ったBIG MAGICのイベントのBIG MAGIC Openですね」
土井「本戦レガシーやっていまして、そのときはレガシーそんなにしていなかったのですけど、はたから見て動きがすごいきれいだったので」
ーなるほど
土井「その場でトレードブースがあったので、パッとトレードしてパーツ集めて。。」
ーめちゃめちゃ早いですね(笑)
1.2つかっている期間
ー6、7年前から使っていることになります?
土井「そうですね、リスト漁っても2017年ごろから」
ーそうなんですね
ーそのときのデスタクは現在の護衛募集員の形だったんですか?
土井「多分入っていると思いますね」
ーセラの報復者の後くらい?
土井「セラの報復者は使っていた記憶があります」
ー現在の形になりつつあるタイミングから使用されているんですね
2.デッキの動き
ーまずデスタクというデッキはどんな感じのデッキなんでしょう?
土井「分類でいうと、フェアのコントロールデッキです」
ーやはりビートダウンというよりかはコントロールなんですね
土井「そうですね。一般的にはクリーチャーが多くて、白ウィニーのように見えるかもしれないのですけど、デスタクは相手のやりたいことを阻害しながら、ゲームを進めていくという形でコントロールというのが一番適切かなと思います」
ーなるほど!
ー一般的なフェアデッキは、序盤をなんとか意志の力でごまかして、自分の土俵にひきこむイメージがあるのですが、白単色のデスタクはレガシー環境でやっていけるものなんでしょうか?
土井「実はデスタク、最大の弱点が一つありまして、2マナからしか干渉ができないということがあります」
土井「アンフェアデッキって、最速1ターン、2ターンで決めてくる」
ーうんうん
土井「そこを本来青いデッキは意志の力でしのいでいるところを、このデッキはしのげないですね」
ー確かにそうなりますね
土井「でもリアニメイト、スニークショウ等に関しては、出てきてしまったファッティとかには対処法がいっぱいあるんです」
土井「スペル経由のコンボでなければ、後からまくり返すことができるので芽はありますね」
ー例えばカラカスとか?
土井「そうですね、平地相当の白マナがでるアンタップインの土地でありながら、ゲームに勝つ可能性がある土地でこれが4枚取れることがデスタクの強みの一つです」
デスタクは相手のやりたいことを阻害しながら、ゲームを進めていく白単色のコントロール。
ロングゲームが得意で、2マナからしか干渉ができない弱点を持っている。
生物系のコンボに対しては後からまくれる性能がある。
2.1デッキパーツの紹介
■クリーチャー
土井「大別すると2種類に分けられます」
土井「1つ目は相手の戦略を否定するためのカード、サリアであったり迷宮の霊魂、封じ込める僧侶、聖域の僧院長であったりが該当します」
ーどれも出されて嫌なカードばかりです
土井「2つ目はミッドレンジ戦略を推進する、つまり自分が勝つためのカード、石鍛冶の神秘家だったりスカイクレイブの亡霊、孤独であったり、これらは相手の戦略否定もする場合があります」
土井「ルーンの母、護衛募集員やちらつき鬼火は2種類のどちらにも傾きうるユーティリティカードですが、各マッチでどちらが重要なのかを認識していれば適正なプレイがしやすくなります。」
ーマッチアップによって変動する枠なんですね
相手の戦略を否定するためのクリーチャーと自分が勝つためのクリーチャーの2種類が存在。
各マッチアップでどのクリーチャーが有効なのか把握しよう。
■アーティファクト
・霊気の薬瓶
土井「まず外せないところが霊気の薬瓶ですね。デスタクにとっては太陽の指輪なんですよね」
ー太陽の指輪!そう来ましたか
土井「そうですね、アクション数に大幅なブーストが掛かります。インスタントタイミングでクリーチャーを出せることによるアドバンテージも多いです」
土井「太陽の指輪は言うても2マナしか増えないですが、霊気の薬瓶は3ターン目を過ぎたらそれ以上にマナが出ますから」
ーそのうえでカウンターされない?
土井「そうですね、カウンターされなくて、ちらつき鬼火等をインスタントタイミングで出せるのに価値がある」
土井「このデッキこれがあるときとないときで強さが全然違います」
ーこれはもうデスタクを代表するカードと言う感じ?
土井「そうです」
■装備品
・殴打頭蓋、カルドラの完成体
土井「真っ先にあがるのが殴打頭蓋とカルドラの完成体です。攻めのカルドラと守りの殴打頭蓋、とにかくロングゲームをするにあたってこちらがライフを先に詰められることがないようなマッチアップは、すべてカルドラの完成体をサーチしています」
土井「逆にダメージレースをしてこちらの方が先に詰められる可能性が高い場合に殴打頭蓋をサーチします」
ーなるほど先に相手にライフを詰められる場合殴打頭蓋、こちらが詰める方が早い場合にはカルドラの完成体ですね?
土井「そうですね、昔は殴打頭蓋が両方の役目を兼任していたのですが、カルドラの完成体の方がクロックがすごいので」
ークロック早すぎますよね(笑)新参ながら良いカードですね
・梅澤の十手
土井「そうですね最近手に入りました。最古参がこの梅澤の十手」
土井「これだけちょっと特殊な仕事がありまして、クリーチャーの除去ができるんですね」
ーそうですね
土井「一回カウンターを置くごとに-1を二回使えるので、例えばミラーマッチとかエルフとかで有効です」
ーたしかにカウンター1度置けてしまえばそれだけで勝ててしまいそうです
土井「けれどもやっぱり今装備品が全部生体武器になっていっている中で、いまだ出して装備しているというテンポの悪さがあって、うかつには出せないかな」
ー前使っていたのは赤青剣でした?
土井「そうですね、赤青剣は同様の理由で抜けていきました(笑)」
ー黒緑剣はどうでしょうか?
土井「あまり見ないですね。次点で赤白剣や白黒剣はたまにみますね、ミラーマッチでちょっと強くて」
ーたしかに白黒はカラーの除去耐性がつよそうですね
・獅子の飾緒
土井「そして最後の装備品が、クリーチャー枠にもなっている獅子の飾緒ですね」
土井「これは非常に良いカードで、石鍛冶の神秘家でも護衛募集員でも探すことのできるメインから入る墓地対策です」
ーこのカードめっちゃ嫌です(笑)
土井「けっこう石鍛冶の神秘家のサーチで難しいと言われるところが、石鍛冶の神秘家が除去されるとしたら何を持って来ればいいかなんですよね」
ーそれめちゃくちゃ分かります、毎回悩みますもん
土井「昔は梅澤の十手と火と氷の剣と殴打頭蓋でしたから、十手と赤青剣のどちらかを持ってきておく」
ー素で一番軽いやつにしておくのですね
土井「そうですね、結局石鍛冶の神秘家が除去されてそれらを出してというのはテンポが悪いので、現代では基本この獅子の飾緒を持ってきます」
土井「デルバー戦とかは特に多いです。」
ーなるほどそういうときに獅子の飾緒なんですね!
土井「石鍛冶の神秘家が除去されたとしても、漁る軟泥というカード一枚分の仕事をするんですよ」
ー確かにそうです
土井「孤独のコストとして持ってくるとか含めて、そういうプレイの選択肢の幅がすごい広がったんですね」
ーなるほど、あと普通に霊気の薬瓶から出ますしね
土井「それもありますね。」
ーこれ例えば、完全に相手がわからない場合に石鍛冶の神秘家から持ってくるとしたら何になりますか?
土井「2ターン目に先出しして相手がわからない前提なら、殴打頭蓋だと思いますね」
土井「というのも別に攻めの選択は殴打頭蓋でもとれるんです」
土井「ちょっとカルドラを見ていると麻痺してしまうんですけど、殴打頭蓋のクロックも普通に強いですから」
ー確かにそうですね
土井「カルドラを持ってきたときに、デルバーとかだったときに行けるかって言われると、微妙で濁浪の執政でどつかれる可能性があるんですけど、」
土井「殴打頭蓋の場合にはデルバーのときに問題ない上で、コンボ相手でも小さくないクロックは立てられるので、何もわからない前提なら殴打頭蓋の方が安定すると思います」
ー攻めに守りにも使えるから選択肢として丸いということですね
・先駆者の松明
ー最近出るとイニシアチブを得られる4マナの装備品、先駆者の松明がたまに採用されているのですが、どう思いますか?
土井「あまり好みではなかったんですよね、出してから守るのがけっこうそんなに楽ではなくて。アクション数が相手より劣ることがおおいんですよね」
ー確かに1ターンに一回とかですね
土井「そういうのがあってあまり使っていなかったんですけど、今日ちょうどミラーマッチありまして、」
ーありましたね、6回戦目?
土井「そうですね。対戦相手の方が松明を出してきて、すったもんだの末に、僕がイニシアチブを獲得して勝ってしまいました」
ー(笑)
土井「だからあまり安定しない、たぶんロングゲームよりのカード、対コントロールとかなんですけれど、その役割であればカルドラの完成体がすでにあるんですよね」
土井「ですので、使ってみたら変わるかもしれませんが、今はあまり枠を取る価値を感じていません」
殴打頭蓋とカルドラの完成体は石鍛冶の神秘家でサーチできる最有力候補。
唯一の除去枠は梅澤の十手。
石鍛冶の神秘家が生きて帰ってきそうにない場合は、獅子の飾緒をサーチ!
■その他のスペル
・剣を鍬に
ー剣を鍬にはとりあえず4枚と言う感じ?
土井「そうですね、ソープロが抜けることはないと思います」
ー近いところで、クリーチャー枠にもなっている孤独、剣を鍬にに近い枠だと思うのですが、これも剣を鍬にと同じくらい優先度が高い?
・孤独
土井「そうですね、基本的には同数の4枚でやっています。」
土井「あまり減らしたくない理由で後述するかと思うのですが、デスタクで1つ重要なことがあって、このデッキはカードアドバンテージ、手札の枚数より、このゲーム中自分がプレイできる枚数の方が重要なんですよ」
土井「さっき話したみたいに1ターン目2ターン目とかにコンボしかけられてしまったとき、手札が7枚だろうが4枚だろうがプレイできたカードは1、2枚しかない」
ーたしかにそうなりますね
土井「その中で、孤独はプレイできる回数を、ハンドのアドバンテージを犠牲にすることで疑似的に増やしてくれるカードなんですよ」
土井「だからどういうマッチでも安定感がある、80枚のデスタクでは非常に相性が良いですね、後半になってもアドバンテージを取り返して勝つことができる」
ーそういう意味では前半切って後半普通に支払える、意志の力に近いですね
土井「そうですそうです、純粋なパワーカードと言えます」
土井「今80枚になって普通に5マナまで伸ばすゲームレンジになっているのもあって」
ーヨーリオンのおかげですね
土井「そうですね」
・精霊界の接触
土井「けっこうユーティリティカードで、さっき話題に出てきた孤独をブリンクしたり、攻めているときにブリンクする対象がいっぱいこちらにあるときに後押しできるカード」
土井「それでいて、これ自体が除去というところと、もう一つ重要な役割がありまして、最近サイドボードで入ってくる倦怠の宝珠に触れる数少ないカードなんです」
ー倦怠の宝珠をみているんですね!
土井「倦怠の宝珠をとってくるのはカーンを使うデッキがけっこう多いので、そうなるとエンチャントに触れるカードが非常に少ないです、
すると除去としてもかなり信頼がおけるという感じです」
ーなるほど
土井「そして基本はブリンクで使います、石鍛冶とか薬瓶だしてそのまま構えるとか、結構おおいですね」
ーカウンターできない動きなので、相手からしたらなかなか防げない
土井「そうなんですよ」
剣を鍬には安定の除去枠。
序盤ピッチでしのいで後半アドバンテージを取り返す孤独はさながら白い意志の力。
攻めにも守りにも使える精霊界の接触は超ユーティリティカード!
■土地
土井「基本的には土地33枚がおおいです」
・カラカス
土井「まずオーソドックスなところでカラカスですね」
土井「さっきもちょっと話したのですが、アドバンテージを得られる、それでありながら凶悪な伝説のクリーチャーを手札に戻すことができる」
土井「サリアやロラン、ヨーリオンを除去耐性付与にしたり使いまわしたりできる、これはちょっと4枚から減らすことはあまりしたくないですね、かさばることもありますがその分リターンが大きい」
ー役割が多いですね、確かにそう聞くと強そうです!
・不毛の大地
土井「その次になると不毛の大地ですね」
土井「不毛の大地は基本的には相手の土地を破壊するカードで、このデッキに置ける妨害手段のひとつです」
土井「特に昔の60枚デスタクでは、サリアと合わせてマナ拘束をがっちり決めるカードだったんですけど、ちょっと80枚になってから扱いが難しいです、自分もけっこう伸ばさないといけない」
ーヨーリオンがいるから?
土井「そうですね、ヨーリオンを使わないと80枚にしている理由がないので、不毛の大地を使うタイミングが前より難しくなったと言えます」
・リシャーダの港
ーその代わりリシャーダの港が使いやすくなった?
土井「そうですね、リシャーダの港の方が使いやすいですね。リシャーダの港はただこれ、2マナ使って相手の土地1枚を縛るという、実はけっこう難しいカードです」
土井「このリシャーダの港については、ちょっと早口になってしまうんですけど、すごく好きなんですよ」
土井「昔友達にマーベリックとデスタクの違いはなにかって聞かれたことがあって、けっこうパーツが似ててやりたいゲームが近いのですが、一番区別できるカードがリシャーダの港だと思っています」
ーそう言われてみればマーベリックはリシャーダの港は採りませんもんね
土井「リシャーダの港が入っているかいないかによって、マーベリックは基本的に自分のやりたいゲームを優先して展開していく、デスタクは自分のやりたいゲームを展開するか相手の展開を拘束するかで選ぶことができるんです」
土井「それを象徴するカードがリシャーダの港だとおもっていて、今80枚になって使いやすくなったリシャーダの港でしばっているときが一番楽しいです」
ー楽しそうですね(笑)
・平地、冠雪の平地
ー平地は、通常の平地と冠雪の平地これは予報対策?
土井「一応予報が環境に少し帰ってきたので散らしています、」
ー確かに(笑)
土井「けっこう長い人生の中で、予報で指定されたことが2回しかないです、でその2回とも当てられてしまっているので」
ー僕外したことしかないのに(笑)
土井「しかもそのうちの1回はちゃんと散らしてたんですよ」
ー散らしたうえで当たられてしまったんですね
■その他の土地
・皇国の地、永岩城
土井「人によっては皇国の地、永岩城を2枚にしている人もいますね。
これも基本アンタップインする土地であまりデメリットないんですけども、けっこうこの土地扱いが難しいところがあって。
さっきも言ったように基本的に土地は伸ばさなきゃいけないので、平地とは使い勝手が違うんですよね」
土井「もうひとつ使ってて嫌なところがあって、置いてしまうと手札に土地がないことがバレてしまう、これ優先しておくことがほぼないので」
土井「その情報を与えてしまうと、下手するとカラカスや魂の洞窟以上に不毛の大地に弱い土地になってしまうかもしれない。相手はここで不毛を切ればいいとわかってしまうんです」
ーそういうことなんですね!相手からすると不毛のきりどころがわかるんですね
土井「あとはデスタクの起動のために3マナを構えるというのがあまりできないというのがあります」
・魂の洞窟
土井「魂の洞窟は今すごく強いカードです」
土井「先ほど、『このデッキはカードアドバンテージ、手札の枚数よりゲーム中自分がプレイできる枚数の方が重要』と言いましたが、
魂の洞窟はそのカードのプレイ回数を保証してくれるカードなんですよ」
土井「例えばその1ターンから2ターンにかけて、こちらのアクションを妨害してくるデッキ、今なら青黒リアニとか最後の審判とか。
こちらは2ターン目にサリアか迷宮の霊魂を通したいけれども、相手は意志の力や目くらましを持っている場合アクション数が実質的に減っちゃうんですよ」
ーたしかにそういう場面良くありますね
土井「それを無視して呪文をプレイできる回数を最低保証するのが魂の洞窟」
ーなるほど最低保証というのがしっくりくるカードですね
土井「そういうわけで土地の中で他に代替できない機能をもっています」
・廃墟の地
土井「廃墟の地も良いカードなのですが、土地の枚数自体を縛れるわけではない、使っていた時の感触でいうとウルザの物語を割るためのカードというイメージが強いです」
土井「ですからロランが入ってきて、この枠が魂の洞窟に変わってきたという感じです。ウルザの物語に触ろうと思ったらロランでも割れる。」
ーエンチャントなのでそうなりますね
土井「ちょっと現状3マナかけて土地1枚を割りたいシチュエーションがそんなにないかな」
カラカスはアドバンテージと凶悪な伝説のクリーチャーを手札に戻すことができるエースカード。
相棒ヨーリオンのため土地5枚まではもっておきたいので、不毛の大地を使うタイミングには要注意。
その分リシャーダの港の妨害をガンガン使っていこう。
(後編へ続く)