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実は難しい問題はなかった?テレワーク解体新書

こんにちは。「これからの働き方研究所」です。
このマガジンは、株式会社働き方ファームが隔週でお届けする、
これからの日本の働き方について考察するマガジンです。

初回は、働き方改革で話題となっているテレワークについて取上げようと思います。
テレワークといえば、7月23日-27日の1週間政府主催で「テレワーク・デイズ」が開催されたのは、記憶に新しいかと思います。
SNSでも様々なハッシュタグを使い、その様子を投稿したテレワーカーの声が多く見受けられました。
ではここから平成30年版情報通信白書を基に、テレワークが企業へもたらす効果について見ていきましょう。

- 新しい働き方のいま

はじめに、皆さんはテレワークという言葉をご存知でしょうか。
テレワークとは「ICTを利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のこと。
はじまりは1970年代のアメリカのロサンゼルス周辺でオイルショックによるエネルギー問題やマイカー通勤がもたらす大気汚染への対応を目的として始まりました。

現在、日本のテレワークの導入率は13.9%(2017年時点)。
企業規模別にみると、301人以上の企業で20.4%、300人以下の企業での導入率は3.0%、と企業規模が大きい企業での導入が進んでいます。

 ( 出典:総務省 平成30年版情報通信白書「企業のテレワーク導入率」)

ですが、日本のテレワークの導入率は、先進諸国の中ではまだまだ低い水準にあるようです。
テレワーク発祥の地、アメリカではテレワークの導入率は85%に及びます。
現地で導入されているジョブディスクリプションという制度が、テレワークと相性が良く、テレワークの導入率の向上に寄与しているようです。(出典:みずほ総合研究所 2018年7月17日「テレワークの経済効果 テレワークの鍵は業務の見える化とテレワークの権利化」)

 (出典:平成30年4月17日総務省「テレワークの最新動向と今後の政策展開」)

-テレワークを阻害するのは懸念? 

それではなぜ、日本ではテレワークは普及しないのでしょうか。
企業がテレワークを導入する際に、課題と感じる項目をまとめました。(平成29年版情報通信白書)
1、適正な情報セキュリティの確保
2、適正な労務管理
3、適正な人事評価
4、メリットが感じられない
5、導入・運用コストの懸念
6、対象業務が限定されてしまう(不公平感がうまれる)

1・2・5についてはソリューションの低廉化や高度化に伴い、ある程度解決が可能です。また6については現状労働する場所に制限が生まれる職種があり、すぐの解決は厳しそうです。
では、残る3・4はどうでしょうか。

まず適正な人事評価への懸念。
これは日本の多くの企業で導入されている、労働時間をベースとした人事評価制度とテレワークの相性がよくないことが原因といえるでしょう。
先ほど、アメリカではジョブスクリプションが、テレワークの導入率に寄与しているとお伝えしましたが、このシステムは日本のそれとは逆の評価を行うものになります。
ジョブスクリプションをベースに評価を行うと、職務に対して評価を行うことになります。場所や時間に縛りのないテレワークと相性がいいといえます。

ですが、日本でもつい先日、同一労働同一賃金の法案が可決され、2020年には大企業で、2021年には中小企業で実施が定められていますので、少しずつテレワークなどにも対応可能な環境へと近づいていくでしょう。

そして最後に残った「メリットが感じられない」については、社員同士のコミュニケーションが減ることで生産性が落ちるという懸念からきているようです。(知的資産創造2017年7月号)
ですが、生産性については効果が得られたという調査結果が、いくつか出てきています。そちらをみていきましょう。

- 懸念材料「労働生産性」 

テレワークを導入している企業と、していない企業とで業績(左表)と労働生産性(右表)を比較したデータがあります。
テレワークを導入した企業とそうでない企業とでは、テレワークを導入している企業の方が、直近3年間に業績が増加傾向にある比率が高く、また労働生産性も高い傾向にあるという結果がでました。
売り上げよりも経常利益に大きく差が現れたのは、生産労働生産性が上がった結果と理解できますね。これで最後の「メリットが感じられない」は少なくても、前向きな意見へと変わったことと思います。

(出典:左 平成29年版 情報通信白書「テレワークの導入状況と従業員数の増減に関するDI」, 右平成30年 総務省「テレワークの最新動向と今後の政策展開」)

日本においてテレワークは、まだチャレンジの段階にあります。
まずは他企業の実践例に多く触れてみて、自社にはどんな新しい働き方が合うのか、見つけていくのが成功の近道と言えるのかもしれません。

ここまで日本でのテレワークという新しい働き方の現状と阻害要因、そして問題解決に近づけるようなヒントをみてきました。
今後も新しい働き方が多くの人に浸透するヒントとなるような情報を、
これからの働き方研究所はお伝えしていきますので、よろしくお願いします!

 


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