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【G】との遭遇

今から20数年前に、宮城県の高校を卒業後直ぐに上京

夢で描いたプロボクシングの世界チャンピオンを目指す為に
東京のボクシングジムからの仕事斡旋で池袋で新聞配達しながらボクシングジムに通う生活をする
新聞販売店の寮に住み込で働きながら


寮は当時で既に築30年は経っていただろうと思える程の建物[ボロい]
◯◯◯◯荘
部屋には四畳半一間と0.5畳程の流し台、トイレは共同、風呂は無し

流し台に有る水道水の蛇口から最初に出て来る水は必ず茶色の水(水道管の錆びが出てくる)
なので数分流してからでないと使えない
(最初は知らずに飲んだら鉄の味が)


4週間程で何とか配達を覚えて独り立ちして、4月末からようやくボクシングジムに通えるようになりました
(配達を覚えるまではジムに通えないルール有り)

ようやく、仕事、ボクシングの生活にも少し慣れてきた6月の中旬頃、夕刊の配達、夜の営業を終えてコンビニで弁当購入して寮で食べて、自転車で銭湯まで行き

[自分が上京した当時は近所(池袋本町)に数えるだけで銭湯が3箇所も有った。風呂無し無し四畳半や6畳一間の◯◯荘という物件がまだ多数有った時代でした]

寮に戻って、四畳半一間の部屋でくつろいでテレビでも見ようと座り、テレビを見る前に何気なく部屋の壁をぼーっと見渡していたら白い壁に黒い物体が視界に入って、目を凝らしてみたら何か黒い物体が見えた

カブトムシのメスの様な虫(大きさが)が
壁に付いている

私は何で?カブトムシのメスが部屋の中にいるのだろうと思い、近づいて間近で見てみたら

大きさはカブトムシのメス位の大きさ程だが

妙に薄ぺらく、異様に触覚が長い ・・・・

私はようやく理解した

『これが、ゴキブリか!?』  


生まれて初めて見た
(宮城県にいる時は見た事が無かった)

ゴキブリ初体験

思っていたより大きくて、更に黒光りしいて堂々と壁に張り付いて主張している
【ここにいますと】


私は生まれて初めて遭遇したゴキブリに
とてつもない恐怖を感じてしまい

私には為すすべは無かった


虫は子供の頃から余り好きでは無く

虫を触る事も苦手で🦗

更にその時は、奴を退治出来る武器⚔️を持っていなかった

打撃系の新聞紙や捕獲系のゴキブリホイホイ

奴らにとってピストルに匹敵するであろう

殺虫剤スプレーを

私はまだ持っていなかった

正直、あのサイズのゴキブリをティッシュで掴める度胸も無く
(ボクシングの世界チャンピオン目指しているのに😢)

私は生まれて初めて〈祈る〉という行為に出ました
(藁にもすがる思いで)

〈祈りとは=本当に為すすべが無く困った時に行う人間の本能なのかと感じました〉

私は目を瞑り

〈あなたに(ゴキブリ)に一切、私は危害を加えるつもりはありません、なので早急にこの部屋から早く出て行ってください
早く居なくなってください、姿を見せないでください〉

私は、それまで18年間生きて来て生まれて初めて心より祈りを捧げました

そうして、しばらくしたら奴【G】は視界から姿を消してくれました

しかし、その後も私は怯え続けました

また、奴が再び姿を現したらどうしよう?
(まだこの部屋の何処かに隠れているのないか?)

明日になったら、必ず朝イチ薬局に武器(殺虫スプレー)と罠(ゴキブリホイホイ)を購入しに行き、お店(新聞販売店)から配達後に打撃系武器(新聞紙)を持って帰ろうようと頭で考えながら四畳半一間に布団を敷き横になり、眠りにつこうとするが視界に入る天井や壁に目が行き中々眠りにつけないのでありました


翌日は昨日の出来事のせいで、若干寝不足気味でした

それでも何とか翌日も午前3時に起床して、自転車で数分の距離の新聞販売店に向かい新聞に折り込みチラシを件数分(260件)挟み込み、中継(積みきれない分の)を出して
午前4時前にお店を出発して
朝6時50分頃には配達を終えて、新聞を一部持って寮に戻って
朝食を取り、いつもは朝8時から昼12時まで仮眠をとるのだがその日は昨夜のトラウマで薬局が開く午前10時まで起きていて開店時間直ぐに買いに向かい、殺虫スプレーとゴキブリホイホイを数個購入して
部屋に戻り、ゴキブリホイホイを四畳半の部屋の角と流し場の下に仕掛けた
殺虫剤スプレーもラベルとフィルムを剥がして直ぐに使えるように(奴がいつ現れてもいいよう)に臨戦体制を整えました
お店から持ってきた新聞紙も丸めてガムテープで巻いてガチガチに固めて

『次、現れたら必ず叩き潰してやる』

奴を迎え撃つ準備が整い、とても強い気持ちになりました
〈フル装備完了〉

そして、奴は数日後に案の定、私の前にまた再びノコノコと現れやがりました

見た目に今回も少し怯えるも

『俺はお前【ゴキブリ】を倒す武器を今日は揃えてある』

『人間を舐めるな』

私は以前は無かった強い気持ちと打撃系と放射系の2つの武器を持っていたので前回犯した 失態
(為すすべが無く見逃した)は犯さずに
以前より強気で奴を部屋の角に追い詰めました

角にいたので打撃は難しいので

【くたばれ】

と頭の中で発しながら

殺虫剤スプレーを「シューーーー」噴射したら、
なんと奴は私に反撃をしてきたのです

突然「ブォーン」という不快な音をたてながら

私に向かって、私が放った殺虫剤のスプレー(毒ガス)をかわしながら奴は突然羽を開き飛んだ

そして、私の顔面目掛けて飛び掛かってきたのです

まさかの反撃に驚きながらも

私もボクシングで培ったディフェンスの
ダッキング(膝を屈めて頭を下げる)

スゥエイ(上体を後ろに反らす)
を組み合わせた超高難度のディフェンスを駆使してギリギリで奴を交わした

まるで映画『マトリックス』で弾丸をかわすシーンのようにスローモーションに感じながら  

しかし、ダッキングで膝を屈め過ぎたせいで 私は膝を畳についてしまった 

『ワン、ツウ、スリー』

〈頭の中でレフリーにカウントを取られている気分に    [  試合なら採点も 10対8に]〉

一瞬の出来事だった

『はっ』(今は試合中では無い)

と我に返りの立ち上がり振り返ったが奴の姿はすでに見当たらなかった。
またも奴に逃げられてしまうという

失態を私は犯しました

【奴は確実に私の顔を目掛けて飛んできたので、もしあの時に顔に直撃したらと思うと   とても『ゾッと』し奴に更なる恐怖を抱くのでありました】

それから、数日怯えながら四畳半一間で生活するも奴は姿を現さなかった

きっと、あのときの私の反撃に恐れをなしたのだろう(勝手に思い込み)

それから、数週間程経ってから流し台の下に設置した
『ゴキブリホイホイ』
設置した事を忘れており、ふと思い出して

目の高さにホイホイを持ち上げて見たら

なんと‼️
【満員御礼】

ホイホイ内に隙間無く、ぎっしりと真っ黒なデカイ奴ら【G】がお捕まりに
まじまじに(気持ち悪りー)と見ていたら、手前でお捕まりになっていた【G】の長い触覚がピクピクと動いた
(「まだ生きていますよ」と主張するように)

『うわっ』と慌てて気持ち悪さに
私も元の位置流し台の下に投げ戻した

そして、再び見る事は出来なかった
ホイホイに気持ち悪くて触る事も出来ず放置せざるをえなかった
(あんなに大量のGを目の当たりにして鳥肌が立ち恐怖を感じた為に)

しばらく、ホイホイをそのまま3ヶ月は
放置(気持ち悪く見る気になれず)
してしまった
しかし意を決していい加減に片付けようと
自分に気合いを入れて、片手にビニール袋を持ちながら(直ぐに入れらる様に)流し台の下に手を伸ばしてホイホイを掴んで、また
覗きこんだら

『あれ、いない』

満員御礼(一面真っ黒)だったはずの、ホイホイがスカスカに 
良く見たら、ホイホイ内に
黒い破片(脚や羽の一部)が着いていた
何故か?疑問に思い
ゴキブリについて調べてみたら
ゴキブリは何でも食べるらしい
髪の毛やホコリ
死んだ仲間も食べるとの事だった
〈ガビョーン😨〉

その後も◯◯◯◯荘に3年住みましたが
奴【G】(キングサイズ)は度々現れ、私を怯え続けさせました
何度【G】見ても慣れる事は無く・・・・・
引っ越し先でも突如忍びの様に現れる奴【G】

プロボクサーとしては夢に描いた世界チャンピオンに成る事は出来ませんでしたが
25歳までプロボクサーを続け
日本ランキング1位、
東洋太平洋ランキング6位までいき
日本タイトルマッチも2度挑戦しました
その私に東京で最初にダウンさせたのは
なんと【G】ゴキブリです
今まで秘密にしてました

ゴキブリが地球上に出現したのは、およそ3億年前の古生代石炭紀らしい
 人類の直接的祖先である新人類が現れたのが約20万年前といわれていますので、ゴキブリの歴史は人間のそれの1500倍以上
さらに恐竜が絶滅した時代も生き抜いた
 つまり、ゴキブリは人間のはるか上の大先輩で有る(敵わない)
という事実を知りました

それで私は【G】ゴキブリに対して恐怖から畏敬の念へと変わるので有りました

              【G】ゴキブリの別称
                      森の分解屋さん
        今ではリスペクトしています


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