強制執行〚ノンフィクション〛パート2
強制執行とは········
裁判にて勝訴判決を得たり,相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず,相手方がお金を支払ってくれなかったり,建物等の明渡しをしてくれなかったりする場合に,判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて,相手方(債務者)に対する請求権を,裁判所が強制的に実現する手続き ◆連帯保証人◆
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
またまた,○〇〇商会の代表(おじいさん)から強制執行の依頼が入った。
今度の強制執行先は大きなお屋敷だという事なので前回行った時に使ったトラック(2t車)より、大きい車のほうが良いとの事で今回は4tトラックで向かう事に。
また、上司と私の二人で向かう事になった。
当日の朝、上司と私で4tトラックで現場まで向かった。
開始時刻は前回と同じ午前9時からとの事なので30分以上前には到着出来るように朝7時過ぎには会社から出発した。
開始時刻の8時10分頃(50分位前には)現地には到着出来た。
指定された住所にあった住宅は家(建物)自体は新しくは無いが、植木が植えられた立派なお庭に小さな池まであるちょっと広めな敷地がある俗に言う地主さんのようなお宅だったので、
この辺りの近くの家なのかな?と思っていたら、○〇〇商会の代表と前回と同じメンバーの作業員のおじさん方が現れた。
先に早く到着してたのでコンビニで時間をつぶしていたとの事だった。
会釈を交わし
『また仕事を紹介していただきありがとうございます、今日も1日お願いします』と
○〇〇商会の代表に挨拶して
作業員のおじさん方にも
『前回はありがとうございました、また今日もよろしくお願いします』
と挨拶。
前回1日一緒に作業していたので
気軽に会話が出来た。
私が
『ご無沙汰しています。今日の強制執行する家は、まさかここの住宅なんですか?』
確認したら
作業員のおじさんが
『そうだよ、この立派な御屋敷みたいだよ』
私が
『えー、そうなんですか?
こんなに立派なお庭が有るお家なのに』
と私が驚いていたら
作業員のおじさんの一人が
『ここの家のご主人が知り合いの連帯保証人になっていたみたいで、結局その知り合いがバックレてお金(数千万円の借金を)払わなかったから連帯保証人である、この家のご主人が払う羽目になったがその金額を払えなくて今日の強制執行へと至ったらしいよ』
と教えてくれた。
作業員のおじさん8人、私と上司の2名、鍵屋さんさらに今回は大学生のバイト(派遣で頼んだらしい)5名いて、総勢16名で大掛かりな作業になる模様だった。
朝8時45分位になり、執行官がこれからの作業の説明の為に先に一人でこの御屋敷内に入っていった。
しばらくしたら、叫び声が聞こえてきた。
『誰か救急車を呼んで!』
『はらをきった』
と聞こえてきた。
執行官が急いで私達の所に戻って来て、
私達に向かって
『中止、中止』
と叫び、○〇〇商会の代表が
『何かあったのですか?』
執行官に確認したら
『ご主人にこれからの作業の説明をしていたらご主人が突然刃物を出して自分の腹に刃物を刺した。
切腹をしたと』
と皆が聞き皆が動揺していた。
執行官が続けて
『今日は強制執行作業は中止になります』
と皆に伝えて作業は急遽中止になりました。
○〇〇商会の代表にも
『強制執行だから、希にこういう事が起きる事があるんだよ、今日は悪かったね』
と私達に伝えた。
その日は何も作業せずに私も上司もトラックに乗り会社に戻る事になりました。
【どうしてこうなってしまったのか?】
連帯保証人になってあげた、張本人(借金を作った)がバックレ(失踪)した為に借金を急遽肩代わりされ、お屋敷のご主人も払えずに追い込まれて執行直前に最期は自らの腹を切るという最悪の事態に
強制執行事態は急遽中止になりその後、その御屋敷がどうなったのか分からなかった。
それからは強制執行の作業の仕事の依頼の話も来なくなった(あの○〇〇商会の代表(おじいさん)も高齢だったので仕事自体も辞めてしまったのかもしれない
『どんなに親しい人だとしても絶対に連帯保証人にだけはなってはいけない』
と自分の親から聞かされた事があったことを思いだしました。