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五臓六腑に染み渡り、腑に落ちる!?

●風英堂長月記=五臓六腑に染み渡り、腑に落ちる!?

寒い寒い晩夏が続いた。風邪気味で頭痛もする。もっとも痛みは長い長い自粛生活から来る体調不良かも知れない。9月は長月と呼ばれるが、由来は長い月夜「夜長月(よながつき)」であるとする説が有力だ。<寝覚月=ねざめづき><彩月=いろどりづき><青女月=せいじょづき><竹酔月=ちくすいづき>など情緒豊かな言葉が並ぶ。庭石を歩きながら、ゴミ捨ての日々だ。。

「残暑厳しき折」と書くことも出来ない陽気だ。過日秋刀魚を買いに行ったら今日は入荷していないとの事だった。海外生活から戻ってみると、サンマやイワシやイカなどは「旬の魚」の時期がズレているようだ。さらに「旬の魚」の意味も変わり、鮮度と買いやすさ、水揚げが多く、価格の安い魚のことのようで、「今しか食べられない」ものでは無いようだ。

新鮮な魚は臭くないというが、年寄りになったせいか、魚の油臭さがきつく感じられるようになった。魚の油は不飽和脂肪酸と呼ばれ、抗炎症作用、血液サラサラ作用、血中コレステロール低下作用のほか、脂肪燃焼効果もあると言われている。都会はスーパーの魚売り場でしか買えない。魚の骨は気にならないし、内臓など調理の手間も気にならないが、何か「腹立たしい気持ち」になる。

怒りをおさめられない時に「腹に据えかねる」と表現する。反対に「腑に落ちる」は<納得がいく、合点がいく、理解できる>という意味の慣用句だが、「件の禍」の世の中、世情はあれこれ考えても、理解の糸口が見つからず、心の底から納得するということが少なくなった。飲食が不自由になり、「五臓六腑に染み渡る」などと深い感情を、身体に落とし込む表現が出来なくなった。

一方、「腸は第二の脳」とも言われ、思考も腸が吸収消化し理解、脳に運ばれて頭で再度理解するようだ。モヤモヤと彷徨っている思考は、頭だけでなくお腹にも溜まってくる。深い呼吸を意識して、グルグル回る思考の執着を捨てると。「思考の腑」に落ちていき潜在意識が理解する。心の底に落ちたら、頭だけでなく身体全体で深く納得できたという感情になる。


肩の力を抜いて呼吸を深めれば、身体が変わり、心(思考)が変わるようだが、さてさて、彷徨いの日々は続く。

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