卵巣茎捻転で緊急手術になった話

はじめに


本記事は私が体験した『卵巣腫瘍』についての記載があります。病気の詳細については主治医から説明を受けた上で改めてインターネット等で調べ、私なりの言葉で書き連ねたものになります。

医学的知識のない一般ピーポーによる記事ですので、この病気に罹った方が全員このような症状・経過を辿るものではない事をまずご理解いただいた上でお読みいただけると幸いです。

それでは、はじまりはじまり。


ご挨拶

こんにちは、こんばんは。
はこにわです。

今回私はたった4日間に、【救急車での緊急搬送+突然の病気発覚+(ほぼ)即日入院+手術】を経験したわけですが、あまりにも人生初経験が多すぎたので「これは記録しなければ!!!」と思い立ちました。

また私自身、病名を宣告された時、
・病気の詳細や、生存率
・他の人はどのような症状、経緯で判明したのか
・これからどのような手術が行われるのか
・入院中、退院後の生活はどのようになるのか
など様々な不安があり、同じ病を患った人のブログや体験記を読み漁っていました。

退院して日常に戻った今、「今回の私の経験が、似たような症状・同じ病に罹って不安を抱えてる人の役に立てばいいな」と感じたので、症状発現から治療終了までの経過を書き記すことに決めました。

まず初めに、私が罹ってしまった病気の説明を。
私が罹ったのは「卵巣腫瘍(嚢腫〈のうしゅ〉)による卵巣茎捻転」です。

皆さん、卵巣ってどこにあるかご存じですか?
卵巣とは卵のような形をしていて、子宮の横っちょにぶら下がっているような器官です。その卵巣内に何かの原因で腫瘍ができてしまい(嚢腫)、肥大化した卵巣が根元から捻じれてしまうのが「卵巣茎捻転」です。

この病気が判明してから知り合いに話をすると、
「近親者が同じ病気に罹ったことがある」
「検診で卵巣嚢腫を指摘されたことがある」
という人が数人いました。

卵巣は腫瘍ができやすい器官らしいのですが、初期段階では自覚症状がほとんどないため気づきにくく、定期的な検診で指摘されるか、かなり大きくなって痛みを伴うようになってから気づく場合が多いようです。

また大きさが小さいうちは経過観察となる事もあるそうですが、嚢腫が5、6センチを超えてくると茎捻転を起こす可能性が高くなるため、手術によって嚢腫(もしくは卵巣ごと)を切除する必要がでてきます。

私の卵巣嚢腫は一番大きいもので17cm×13cm。
スマホを余裕ですっぽり包めるくらいの大きさになるまで全く気づかず、茎捻転による激痛で救急搬送&入院手術することになったわけです。

というわけで緊急搬送される経緯から手術・入院の流れまでをまとめてみます。同じ病気を指摘されてこれから手術を控える方に、少しでも参考になれば幸いです。


救急搬送以前

今思い返せば1年前から、3か月に1度程「これも自覚症状の一部だったのかな・・・?」という異変は多々ありました。

症状としては
①下腹部に、ひどい便秘の時のような『詰まってる』感
  →単なる便秘だと思っていた

②動いた時に下腹部にズキズキとした痛み
(マラソン走ってる最中に内臓が揺れて痛む、あの感覚です)
  →ひどい便秘だと思っていた

③便秘
  →そもそも、慢性的な便秘

④下腹部の膨れ
  →そもそも、お腹がポンポコリン _(┐「ε:)_ズコー

ということで様々な「これっておかしいかも?」という症状がありつつも、「あ~、ひどい便秘してんな~」と自己完結してしまいましたとさ。

みんなー!
なんかおかしいと思ったら病院に行きましょうねー!!!


救急搬送2日前(5月19日金曜日)

この日から下腹部(腸のあたり)に詰まっているような違和感があり、就寝直前にはキュッと締まるような痛みも加わりました。ストレッチしたり、身体をねじったりするとキュッと痛む、みたいな。

旦那にも「便秘がひどくなってて腸のあたりが痛いんだよね」と相談すると、「休みの日に病院行ったら?」と回答が。

確かに慢性的な便秘体質とはいえ、痛みが出てくるのはおかしい。
ただ20日~25日までほぼ毎日、バイトをびっっっっっしり入れてしまっていた私は「今週乗り切ったら病院行くわ~、めんどくさいけど」と気のない返事。

どこまでもケツの重たい(物理)私でした。

救急搬送1日前(5月20日土曜日)

起床時は何の痛みもありませんでしたが、起床して30分経ったあたりから、下腹部に強い違和感が出てきました。前述したような、ひどい便秘のような『詰まってる感』。場所としては腰のくぼみの少し左下、ちょうど腸のあたりです。

そういえばこの病気、人によっては「しこり」に気づいて病院に罹るというケースもあるようです。私は全く気づきませんでした。むしろ便秘だと信じて疑わなかったので、腸活マッサージよろしく揉んだり叩いたりほぐしてみたりしていました。

そしてこの日は生まれて初めて、泣きわめくような痛みに襲われました。

話は変わりますが、痛みの擬音ってあるじゃないですか。
お医者さんに罹ると「どんな感じで痛い?」って聞かれますよね。
例えばズキズキ、シクシク、ピリピリみたいな。

この日からの痛みは臓器を両手でグッと掴まれて、雑巾絞りをされているような痛みでした。音に表すとしたら「ギューーーッ」かな?病気を知った今から思うと、確かに身体の内部で何かが捻じれているような痛みです。

ただこの時は体験したことのない痛みに「なに?なに?めっちゃ痛いーーー!!」とプチパニック。ただの便秘だと思っているから余計に。

もうね、何しても痛い。
立っても痛いし寝ても痛い。
息を吸っても吐いても痛い。
痛すぎて、最終的には叫んで気を紛らわせよう作戦。
(ちなみに失敗に終わりました)

気を紛らわそうとYouTubeで動画見てみるけど、全然紛れない。
むしろ、呑気に笑ってる配信者さんの声を聞いていて「こっちは痛くて大変なんだよ!!!!」と八つ当たり(理不尽)。

痛みが強すぎて吐き気がしたのも人生初でした。
とりあえずベッドに横になって、いつでも吐けるようにエチケット袋を抱えながら脳内コマンド展開。

 ①病院へ行く
 ②救急車を呼ぶ
 ③薬を飲む
 ④耐える

ここで私が選択したのは

 ①病院へ行く
 ②救急車を呼ぶ
 ③薬を飲む
→④耐える  

問答無用の耐え一択!!!!!

バカ!!!!今考えると本当にバカ!!!
そんなに痛い便秘があるか!!!!!

ただ当時の私は必死で、
この一週間だけ耐えられれば来週ゆっくり病院行ける。
内科にでも行って下剤をもらおう・・・。
と、気合で「耐える」を選択。

痛すぎて叫んで、胃液を吐き出して、それでもじっと横になって耐えて・・・たっぷり1時間そうしていたら、不意に痛みがサーッと引いて、吐き気も何もかもどこかへ消えてしまいました。

耐えたーーーーーーー!!!!(耐えてない)

治ったーーーーーーー!!!!(治ってない)

ということで、それからはいつも通りに過ごしました。
立っても座っても痛みがぶり返すことはなく。
ただ本格的に「こりゃ病院行かなきゃな・・・(下剤貰いに)」と思ってはいました。


救急搬送当日(5月21日日曜日)

この日は昼からアルバイトへ。
夜まで(予定)立ち仕事、グッズ販売のアルバイトでした。
起床~通勤までは何事もありませんでしたが、アルバイトが始まった頃からまた前日と同じ痛みが・・・。ただ早退ができないバイトなのでこの日も『耐える』作戦決行。

この日は結局約6時間の勤務でしたが、本当に辛かった。
前日と変わらない雑巾絞りのような痛みが、動き回らないといけない仕事の分、体感3倍増しに。まっすぐ立てないし、お腹に力が入らないから声も張れない。

休憩中はトイレに立て籠もって必死に腸のあたりをマッサージ。
それでも全く起こらない便意に半泣き状態。
ただ、しばらくすると痛みが左下腹部から恥骨のあたりに移動したので、「やっぱり便秘だ!!!!!あと少しで出る!!!!」と私の中の便秘説が確固たるものに。

相変わらずギューーッとしぼられるような痛みですが、じわじわと痛みの範囲が広がっていくような感覚もありました。もう、お腹のどこもかしこも痛い!みたいな。痛いのは1か所のはずなのに、波紋状に痛みが広がっていく感覚さえありました。あと呼吸をする度に痛かった。

もう無理!!!!!今日病院行く!!!!!(遅い)
と決意しつつ、痛みで脂汗をかきながらなんとか勤務を終えました。

が、時刻は日曜日の夕方。
心当たりのある内科に電話したら

「あと5分で診察受付終了です・・・」

と申し訳なさそうに断られ、更に涙目。
なんとか自力で帰ろうと歩き出そうとしても、痛みでうずくまる始末。

たまたま1年前に住んでいた地域だったので、①近隣に遅くまで診察している内科がないこと、②夜間診療所があと2時間強経たないと開かないこと、を知っていた私に残された選択肢は、『救急車を呼ぶ』のみでした。

便秘ごときで救急車呼ぶなんて情けなさすぎる!
と別の意味で涙目になりながら、救急車の到着を待つこと5分。
まずはストレッチャーに乗せられて、色々と質問をされました。

・氏名・生年月日・住所
・家族の情報・病院へ来られそうか
・どのような痛みが、いつからあるのか
・コロナの症状はあるか(発熱の履歴・濃厚接触したかなど)
・直近の生理はいつ来たか、生理痛とは違う痛みなのか

女性かつ下腹部痛ということもあり「生理痛ではないのか」を繰り返し聞かれたような覚えがあります。ちなみにこの時は症状が始まった金曜日に生理が終わっていたので、生理痛ではないし痛みの種類が明らかに異なることを伝えました。

この時から『体制を変えると強く痛みが出る』ということに気づきました。
実は救急車を待つ5分間道端に膝をついて座っていたんですが、じっとしているとしだいに痛みが治まってきたんですよね。

まずい、正直救急車呼ぶまでもなかったんじゃないかと焦りました。
救急車へも自力で歩きましたし。

ですがストレッチャーに寝かされて質問を答えているうちに、再びしぼられる痛みが。場所も再び左下腹部へ移りました。

ところで痛がっている最中にお腹を指でトントンと叩かれて「響くような感じはありますか?」と聞かれました。

叩かれた振動で痛いということなのか・・・?
それとも別の種類の痛みのことだったんでしょうか。
これについては、ただ「振動が伝わると痛いです」と答えました。

そんなこんなで痛みに耐えてるうちに病院へ到着。
ベッドを移り様々なモニターやパルスオキシメーターを付けられ、再度症状の経緯やどのあたりが痛むのかを看護師さんやお医者さんに聞かれました。

ただの便秘なのに大変なことになったなと恐縮しつつ、一応便秘気味だという旨も伝えましたが、

「まあ、検査してみましょう(にっこり)」
の一言。

検査を待ってる間も呻くくらいには痛みが続いていたので、「早く検査終わって浣腸か下剤ちょうだいー!」と心の中で叫んでいました。あと検査待ちの間に大嫌いな採血、人生初の点滴注射も経験しました。

病院嫌いな私は、この時点で再度半泣き。

ベッドに寝かされたままCT、レントゲンの撮影。
終わる頃には病院に到着して30分くらい経っていたので痛みはかなり落ち着き、点滴に痛み止めが入っていたのかと錯覚するほど元気ピンピンの状態に。(実際にはただの生理食塩水だったみたいです)

しばらくすると先生がやってきて話しかけられました。

「検査の結果なんですけど、卵巣の方にちょっと気になるところがあって」

「(え、便秘じゃないの?)」

「あ、私、消化器内科医なんですけど」

「(便秘じゃない・・・!)」

「専門医ではないので断定はできないんですが、卵巣が腫れています。もうちょっと詳しい検査したいので造影剤入れてもう一回CT撮りますね」

便秘だと確信していたのに、消化器内科のお医者さんからそう告げられて唖然としました。

卵巣が腫れてる????????
頭の中こんな感じです。

それから「婦人科の定期健診は受けたことがあるか」「以前に卵巣に何らかの問題が指摘されたことはないか」と重ねて聞かれました。

そう問われてやっと思い出したのですが、実は2年程前、生理不順の症状で婦人科に罹ったことがあり、その際に「多嚢胞性卵巣症候群」の疑いがあると診断を受けていました。

ただその時の診断は「生理不順になる明らかな原因が見つからないので、消去法的にこの症候群の疑いがあります。まずは生活習慣や食事の改善で様子を見ましょう」という感じの、やんわりと、痩せようね~と言われただけの診断でした。

当時社畜真っ只中だった私は以後の定期検診はスルー。
直近の子宮がん検診も、忙しさを理由にスルーしてしまっていました。

ということで、救急病院でお医者さんに尋ねられるまでは、婦人科で卵巣について言及されたことすらスポッと忘れていた始末。(むしろ実母の方が覚えていました)

本当に今振り返ると、あまりにも自分の身体について無頓着だったなあと反省しています。

みんなー!
定期的な検診は必ず行きましょうねーーー!!!

というわけですぐに2回目のCT撮影。
今回は造影剤を入れての撮影でした。
事前に説明を受け同意書を書き、別室へ移動。造影剤は点滴のルートから入れると説明されました。

「造影剤の影響で喉のあたりが痒くなったり、身体が熱くなります。また排尿感が現れて気持ち悪いかもしれませんが、検査が終わる頃には自然に消えますから安心してください」

看護師さんからこんな声をかけられました。

造影剤を用いてのCT撮影は、なんというか、すごく奇妙な体験でした。

看護師さんの掛け声にあわせて液体が入った瞬間、血管の中が煮えたぎるような感覚が身体中に広がります。まず左腕から胴体へ伝わり、更に上下に分かれて喉元・足先まで。ものの5秒程度で50℃くらいの液体が全身に広がります。それが膀胱にまで届いた時には、看護師さんに言われた排尿感も強く感じました。

「寝たきりでお漏らししてしまったような感覚だな・・・」と思っていると、今度は喉元がカッと熱くなりました。喉の水分が一瞬で蒸発したかのような熱さ。

それが5秒程続いている間に検査が始まり、終わる頃にはスッと波が引くように身体の熱さや排尿感は消えてなくなりました。

人によってはアレルギーのような症状も出ると説明されましたが、私にはそういった症状はなく無事終了。ですがもう一度やるよ!と言われると尻込みしてしまうくらいには、なんともいえない不快感が残りました。

そんなこんなで病院に運ばれて1時間。
仕事中の旦那が病院に着く頃には2回目のCT撮影の結果が判明していました。

「卵巣に腫瘍らしきものが見受けられます」

「腫瘍は複数。大きいもので15センチ×10センチ大」

「恐らくそれが原因で卵巣が捻じれて、茎捻転を起こしていると思います」

CT画像を見ることはできませんでしたが、お医者さんが手で示すサイズはスマホのすっぽりと包めるくらいの大きさでした。

「現時点でも強い痛みが出ているなら緊急手術になりますが、あいにく当院では本日中の手術ができません。紹介状を書くので、明日改めて別の病院に行ってください。ただし夜間のうちに再度痛みが出てきたら、また迷わず救急車を呼んでください」

そうお医者さんに言われたのを最後に、身支度を整え、支払いを済ませて病院を後にしました。待ち時間に「卵巣茎捻転」について調べると、『基本的に5~6cm超のものから手術で摘出する』との記述を発見。

手術・・・まじ・・・?

渡された紹介状には自宅近くの国立病院の名前がありました。
1年前に引っ越してきて、大きな病院がどの辺にあるのかイマイチ把握できていなかったので、これには非常に助かりました。

というわけで、緊急搬送編はこれにて終了です。

続きも頑張って書きます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
まだもう少し続きますので、是非そちらもよろしくお願いします。

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