海外アクセラレーター全集
What's up! Yコンビネーターオタクでお馴染みHAKOBUNEインターンの有村です。
先日、「Yコンビネーターを語る会」を開催させていただいたのですが、スピーカーの方々とお話しする中で、Yコンビネーター以外の選択肢もあるということに気づかされました。例えばAlchemistのようなB2Bに特化したアクセラレーターもあり、スタートアップの取り組んでいる領域によっては別のアクセラレーターの方が適していたりもします。
ということで今回は、海外で著名なアクセラレーターを7つ取り上げ、それぞれのアクセラレーターから出た著名なスタートアップを紹介させていただきます。Yコンビネーターに偏ってしまっている私ですが、今回はバイアスなく紹介できればと思います。
これから海外進出を考えている起業家の方々のご参考になれば嬉しいです!
Y Combinator : 原点にして頂点、最強のアクセラレーター
「Make Something People Want」(人々が欲しがるものを作れ)
Y Combinatorは、ハーバード大学院のコンピューター・サイエンティストであり起業家でもあるポール・グラハムにより設立されました。大学生のハッカーたちが夏の間に起業するのを助けるといったコンセプトで始まりましたが、今ではバッチごとに、200以上のスタートアップを支援しています。
最新のS23バッチでは、24,000もの応募のうち229社が採択され、通過率は0.95%と非常に狭き門となっています。採択するスタートアップの領域に特に指定はありませんが、全体的に見ると時代の流れに合った領域(今ならGenerative AI)に投資しており、ソフトウェアのスタートアップが多いです。
輩出したユニコーンの数は110と群を抜いて多く、著名なスタートアップのシード期を見ると度々Yコンビネーターの名前が載っていたりします。そうした輝かしい卒業生のネットワークに加え、何度でも使えるオフィスアワー(メンタリング)、1500以上の投資家・メディアが集まるクローズドなDemo Dayによって文字通りスタートアップはトラクションや資金調達を爆速で加速させることができます。
成功への登竜門となる至高のアクセラレーターです。
Y Combinator出身の著名スタートアップ
OpenAI:AGI開発を目指す、生成AI時代の基盤
「ChatGPT」を開発しているOpenAIは、今では誰もが知るスタートアップですが、実はY CombinatorのW16バッチに採択されています。AIチャットボットである「ChatGPT」の他にも、画像生成AIである「DALLE•2」、そしてそれらの基盤となるLLM(大規模言語モデル)や画像モデル、音声モデル(Whisper)などをAPIとして提供しています。
これによりLLMを用いたアプリケーションの開発が進み、様々な生成AIスタートアップが生まれることになりました。スマホアプリ開発の基盤を築いたAppleのように、テクノロジーの社会実装の基盤となる重要なスタートアップです。
ご存知の方も多いかもしれませんが、CEOのサムアルトマンはY Combinatorの最初のバッチにも参加していて(ゴールドマンサックスの内定を蹴って参加したそうです)、Y Combinatorのプレジデントも務めていました。
OpenSea:NFTの普及を牽引するマーケットプレイス
OpenSeaは、世界最大のNFT(Non-Fungible Token)のオンラインマーケットプレイスです。NFTとは、固有のIDを付与することで、デジタルデータの所有権を証明できるようにする技術です。OpenSea上では実に8000万以上ものNFTが、合計200億ドル以上で取引されています。Y CombinatorにはW18バッチのタイミングで参加しています。
OpenSeaの登場によって、クリエイターやアーティストはスムーズに自身のデジタルアセットを販売し、オンラインでコミュニティを構築できるようになりました。Web3.0の火付け役ともいえるスタートアップです。
Faire:小売の未来を支える、新しい取引プラットフォーム
Faireは、ローカルな小売業者が持続可能なビジネスを構築できるように、小売業者とブランド・メーカーを結びつけ、小売店舗が一流のアート、工芸品、ホームグッズなどを直接購入できるプラットフォームを提供しています。AIが自動で小売店舗の雰囲気や特徴を捉え、適切な商品をレコメンドしたり、ビジネスモデル上、小売業者は料金が発生しないなど、小売業者ファーストな設計がされています。
Faireのプラットフォーム上では現在、10万ものブランドが商品を掲載しており、70万の小売業者が購入をしています。ローカルなセレクトショップがAmazonや大規模店舗に負けないよう支援する、ミッションドリブンなサービスです。Y CombinatorにはW17バッチに参加していました。
Techstars : バラエティ豊かな老舗アクセラレーター
「No Talk, All Action」(語るな、行動せよ)
Techstarsは、起業家でエンジェル投資家でもあったデビッド・コーエンやFoundry Groupでベンチャーキャピタリストをしているブラッド・フェルドらによって設立されました。初めはTechstars設立の地でもあるコロラド州ボールダーにおける起業家のエコシステムを支援するために創られましたが、今では14ヶ国で54ものプログラムを提供しています。
プログラムに関しても、マイアミやシリコンバレー、ラゴスやロンドンなど各地で開催され、Web3.0やヘルステックなど領域に特化したプログラムも各種揃っており、その種類の多さはハーゲンダッツを想起させます。TechstarsもYコンビネーターと同様に、1%ほどの通過率であると言われています。
今までの参加スタートアップ数、そしてExit数もYコンビネーターに劣らず多く、アクセラレーターの古株のひとつです。Yコンビネーター同様、メンターシップ、広大なネットワーク、そしてDemo Dayといったベネフィットを享受することができます。
多くの選択肢の中から、自身に合ったプログラムを見つけやすいため、ぜひ一度チェックしてみてください。
Techstars出身の著名スタートアップ
Uber:都市の交通を変えたライドシェアサービス
Uberは、乗客と運転手を繋ぐことで、リアルタイムで車を呼び出し移動できるようにするプラットフォームです。また移動に加え、Uber Eatsというフードデリバリーのプラットフォームも提供しています。もはや知らない人はいないほどのビッグネームですが、2009年にTechstars Venturesがエンジェル投資を行っています。アクセラレーションプログラムには参加していないみたいですが、Techstarsの歴史の中でも一番成功したスタートアップでしょう。
日本ではまだ普及していないUberですが、車社会であるアメリカでは移動のあり方を根本から変え、シェアリングエコノミー(共有経済)の発展を促しました。現在は物流における運送のためのプラットフォームである「Uber Freight」の提供を始めたり、Googleの親会社であるAlphabetの「Waymo」と協力し、Uber上での自動運転車両の利用を進めたりしています。
DataRobot:企業のデータ武装のためのAll-in-oneプラットフォーム
DataRobotは、専門家でなくてもデータを活用して予測分析ができるようにするための、企業向けのAIプラットフォームを提供しています。Datarobotでは、データの前処理、モデルの構築、評価、デプロイメントなど、機械学習に必要なプロセス全体をサポートし、ビジネス戦略の強化、リスク管理、業務効率化など幅広い分野に活用できます。
直近では企業が生成AIを開発するためのプラットフォームの提供もはじめ、MicrosoftやNvidiaのように、広いプロダクトラインを持つB向けサービスを目指しているようです。
Chainalysis:不正からユーザーを守る、仮想通貨取引のプロテクター
Chainalysisは、ブロックチェーン上の仮想通貨のトランザクションを解析することで、不正行為の検出や分析を可能にするプラットフォームです。Chainalysisによって、ブロックチェーンエコシステム内でのトランザクションの透明性とセキュリティが向上します。
仮想通貨産業の最大の弱みは、詐欺、盗難、マネーロンダリングといった不正行為や詐欺が横行していることでした。創設者であるマイケル・グロンジャーは、この課題を解決するためにChainalysisを立ち上げました。Web3.0の社会浸透の促進に欠かせないスタートアップです。
Alchemist Accelerator : B2Bスタートアップの錬金術師
「World's Best Accelerator for Early-Stage Startups that Monetize from Enterprise」(エンタープライズからマネタイズするスタートアップ向けの、最高のアクセラレーター)
Alchemist Acceleratorhaは、スタンフォードの講師であったラヴィ・ベラニによって設立された、エンタープライズ向けのシードスタートアップのためのアクセラレーターです。B2B向けのみといった制限に加え、1回のバッチでは25社しか受け付けないという少数精鋭のアクセラレーターといえます。
またプログラムは基本オンラインで進みますが、対面の活動やネットワーキングは、サンフランシスコ(アメリカ)、メンフィス(エジプト)、ミュンヘン(ドイツ)の拠点にて行われます。
6ヶ月のプログラム中は、実績のある講師陣が体系化された講義を提供し、さらに膨大なパートナーネットワークから、自分で2人専属のメンターを選ぶことができます。
Yコンビネーターは基本的には放置(オンデマンド)スタイルですが、それとは対照的に非常に積極的にサポートしてくれます。これはバッチ毎のスタートアップ数が限られているからこそできることです。
サポートが非常にしっかりしている分、選考通過率も非常に低いと推測できますが、エンタープライズ向けスタートアップの方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
Alchemist Accelerator出身の著名スタートアップ
LaunchDarkly:リリース前にこっそりチェックできる、開発者のための魔法のスイッチ
LaunchDarklyは、ソフトウェア開発者がアプリケーションの新しい機能をリリースする際の、管理プラットフォームを提供しています。LaunchDarklyでは、新しく導入する機能を特定のユーザにだけこっそりリリースすることで、正式に公表する前にフィードバックや反応を分析することができます。
LaunchDarklyによって企業はソフトウェア開発プロセスを効率化でき、ユーザーエクスペリエンスの向上とバグの早期発見が可能となります。
Kyte:レンタカーのデリバリーサービス
Kyteは、レンタカーを好きな場所までデリバリーしてくれるサービスです。ユーザーが近くの利用可能な車を検索し予約すると、レンタカーが指定した場所まで届けられます。そしてレンタカーを借り終わった際には、指定した場所までピックアップに来てくれます。Alchemistでは珍しい、B2B2Cサービスです。
レンタカー版Uberだと思った人も多いと思いますが、実際に創設者のニコラス・フォルクはUberでソフトウェアエンジアをしていたため、おそらくUberでの経験から着想してKyteの設立に至ったのだと考えられます。特にアメリカだとレンタカー店舗が遠いことが多いため、Uberと同じく車社会に刺さるスタートアップです。
MoEngage:企業向けの、マーケティング分析プラットフォーム
MoEngageは、企業向けに、データ駆動型のマーケティングオートメーションプラットフォームを提供しています。AIを活用したカスタマージャーニーの管理、パーソナライズ機能、チャネルやタッチポイントに応じた分析機能など、企業がユーザーとの関係を強化するためのあらゆる機能を提供しています。
データに基づいたマーケティングは企業にとってますます重要性が増しており、HubSpot、Mailchimp、Semrushなど成功したスタートアップも多い中、未だマーケティングの分野からは様々なスタートアップが出てきています。競合は激しいながらも市場規模は安定しているB2Bサービスを好む、Alchemisらしいスタートアップといえます。
500 Global : アクセラレーターのローカライゼーション
「Innovation Lives Everywhere」(イノベーションは各地に宿る)
500 Globalは、起業家やエンジェル投資家として活動するデイブ・マクルーアが設立した、ベンチャーキャピタル兼アクセラレーターです。メインであるFlagship Accelerator Program(シリコンバレー)に加え、世界10ヶ国にてローカライズされたアクセラレーションプログラムも提供しています。
サンフランシスコでのメインプログラムの通過率はおよそ2%ですが、それ以外にも各国でプログラムを展開しています。そのうち日本は愛知県にて3種類のプログラムを提供しており、日本のスタートアップ向けのSeed Bootcampはエクイティーフリーの5日間のブートキャンプ+7ヶ月間のサポートを提供するプログラムです。
またベンチャーキャピタルとしても活動しており、これら全てのユニコーン数を合わせると、Yコンビネーターにも負けない程です。サンフランシスコのメインプログラムでなくても、ぜひ愛知県のブートキャンプに挑戦してみてください。
500 Global出身の著名スタートアップ
Talkdesk:カスタマーサポートを変えたクラウドソリューション
Talkdeskはポルトガル発のスタートアップで、コールセンター向けのプラットフォームを提供しています。Talkdeskを使うと、リアルタイムで顧客情報を確認できる他、音声自動応答システムの構築、オペレーター最適化など、企業はデータに基づいたカスタマーコミュニケーションができるようになります。
500 Globalのアクセラレーションプログラム参加時はスモールビジネスをメインにサービス提供していましたが、今では多くの大企業に使われるようになっています。長くストレスの多い顧客対応の時間を短縮化できるため、ニーズの絶えない分野です。
Shippo:Eコマースビジネスのための、革新的な物流プラットフォーム
Shippoは、Eコマースビジネス向けの物流プラットフォームを提供しており、パッケージの出荷、追跡、配送を効率化することができます。Eコマースショップは、注文情報をShippoにインポートすることで、手動での入力なしにラベルを作成したり、最安の運送業者を選んだり、追跡番号を顧客にeメールしたりすることができます。
Eコマースショップを開く上で、非常にストレスで時間のかかる運送のプロセスですが、Shippoにより迅速に済ませることができます。既に年間1億以上の運送が、Shippoを通して行われているようです。
Plug and Play : オープン・イノベーション・プラットフォーム
「Make Innovation Open to Anyone, Anywhere」(どこにいても、誰にでもイノベーションの扉を開く)
Plug and Playは、サイード・アミディによって創設された、イノベーション・プラットフォームです。創設者であるサイード・アミディは、イランからアメリカへ移住して1999年にオフィスを設立した際に、Logitech、Paypal、Googleが入居したことがきっかけで投資を始め、この3社が大きな成功を治めたことでPlug and Playを設立しました。
Plug and Playは自身を単なるアクセラレーターではなく、オープンイノベーションのためのプラットフォームだと宣言しており、スタートアップと大企業を繋げることでリソースをフルに活用したイノベーションの創出を目指しています。
こうした特徴もあるため、アクセラレーションプログラムもシード期に限らず全ステージのスタートアップに提供しており、製造業、アグリテック、クリプト、エネルギー、フィンテックetc…といった様々なバーティカル(業界特化)のプログラムを提供しています。
特にB向けのスタートアップはその大企業とのネットワークを活用できるため、ぜひ応募してみてください。
Plug and Play出身の著名スタートアップ
Honey:オンラインショッピングで節約できる、クーポン検索Chromプラグイン
Honeyは、オンラインショッピング時に自動的にクーポンコードを適用してくれるChromプラグインです。ユーザーがウェブサイト上でショッピングカートにアイテムを追加すると、Honeyは即座に利用可能なクーポンを提案します。
プラグインでありながらも、Paypalに40億ドル(約4300億円)の大型イグジットをしています。買収後も成長を続け、PayPalと連携することでより多くの消費者の節約に貢献しています。
Rappi:何でも宅配できる、ラテンアメリカ版Uber Eats
Rappiは、ラテンアメリカを拠点とする宅配プラットフォームです。基本的にはUber Eatsと瓜二つなのですが、様々なものを宅配できます。食事をはじめとし、薬品、電気製品、犬の散歩といったサービス、そして現金をも宅配してくれます。
ラテンアメリカという新興市場に特化し、競合大手より広い範囲を取り扱うことでその市場でのシェアを伸ばし、市場の発展と同時に売上を伸ばしている戦略的なスタートアップです。
Blockdaemon:ブロックチェーンの未来をシンプルにするための開発基盤
Blockdaemonは、機関向けにブロックチェーンネットワークにアクセスするための統合インフラを提供しています。一時は盛り上がりを見せながらも、今は冷え渡っているWeb3.0領域ですが、問題のひとつとしてインフラ基盤がまだ整っていないことが挙げられいます。
BlockdaemonはよりシームレスなUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供し、Web3.0の普及を後押しするために、より安全でより使いやすい開発基盤に取り組んでいます。これからのWeb3.0を支える重要なスタートアップです。
SOSV : ディープテック界の巨匠
「Deep Tech for Human and Planetary Health」(人類と地球のために、ディープテックを)
SOSVは、MapInfo Corporationを創業したショーン・オサリバンが1995年に設立した、マルチステージベンチャーキャピタルです。SOSVはアメリカの他に中国にもフォーカスしており、Chinaccelerator(現Orbit Startups)という中国のスタートアップを支援するプログラムも提供しています。
SOSVは現在、人類および地球環境に深いインパクトを与えるディープテックの起業家を支援する目的で、現在は3つのアクセラレーションプログラムを提供しています。
HAX:ハードテックスタートアップに焦点を当てたプレシードプログラム。6ヶ月の共同の居住プログラム、実務のエンジニアリングサポート、そして初期投資を提供し、SOSVのフォローオンファンドも利用できる。
Indie Bio:科学者起業家のためのプレシードプログラム。4ヶ月間にわたり、設備の整ったラボスペースで、科学者、エンジニアから1対1のメンタリングを受けることができる。
Orbit Startups:新興・フロンティア市場のテクノロジースタートアップのためのプログラム。アジア、中東、アフリカなどの国に焦点を当て、数百万人の生活に影響を与えることができるスタートアップを採択。
SOSVは住友商事、SCSKのとパートナーシップを結び、HAX Tokyoという日本のスタートアップ向けのアクセラレーションプログラムも提供しているので確認してみてください。
SOSV出身の著名スタートアップ
Upside Foods:食品業界の未来に取り組む、培養肉スタートアップ
Upside Foodsは、動物から採取した細胞を培養、成長させて培養肉を生産するスタートアップです。Upside Foodsは、世界で初めて人工鶏肉の生産に成功したファーストムーバーでもあり、2023年6月にはアメリカ当局から培養肉の販売許可を取得しました。SOSVには、Indie Bioのプログラムの方に参加していました。
Upside Foodsが開発しているような培養肉が普及することで、環境に対する負荷は低減し、人々は動物福祉に配慮しながらも美味しい肉を食べられるようになります。また食料問題の解決にもつながる、食品業界の未来に取り組むスタートアップです。
NotCo:風味を科学とデータで創り出す、代替食品開発のスタートアップ
NotCoは、AIを駆使して植物由来の代替食品を開発するスタートアップです。NotCoの核ともなる独自AIプラットフォーム「Giuseppe」により、動物性たんぱく質の風味などを、様々な植物性成分の組み合わせで再現することができます。イチゴとトマトを使うとチキンの風味になるといった具合で、植物性成分の風味や機能性、組成に関する膨大なデータを活用して、適切な組み合わせをAIが割り出してくれます。
まさに味覚のGenerative AIともいえるようなサービスで、Amazon創業者のジェフ・ベゾスも投資している注目スタートアップです。こちらもIndie Bioの方に参加していました。
Opentrons:科学研究を加速させる自動分注ロボット
Opentronsは、生物学者のための廉価な液体処理ロボットとオープンソースの管理ソフトウェアを提供しています。現在はあらゆるラボの手作業を自動を目指し、遺伝子、医学、薬学分野など範囲を広げています。
MIT、オックスフォード大学、スタンフォード大学など世界トップの大学含む、45カ国の1000軒以上のラボが使っており、これからも研究室の効率化に貢献するスタートアップです。こちらはHAXの方に参加をしていました。
MassChallenge : 社会課題に取り組むNPA(ノン・プロフィット・アクセラレーター)
「Come Solve with Us」(共に解決をしよう)
MassChallengeはジョン・ハーソーンとアキール・ニガムによって設立された、ゼロエクイティ型のアクセラレーターです。創設者の2人はベイン・アンド・カンパニーにて戦略コンサルタントとして働いており、世界金融危機が起きた2008年に、名前の通り巨大な課題の解決を目指し、MassChallengeの設立を決めました。
アーリーステージのアクセラレーションプログラムは、現在アメリカ、イスラエル、メキシコ、スイスの4拠点にて提供しています。また領域特化のプログラムも提供しており、クライメートテック、デュアルユース(軍民両用技術)、フィンテック、ヘルステックといったソーシャルインパクト領域がメインです。
採択されたスタートアップは、エクイティなしであるにも関わらず、他のアクセラレーター同様、3〜4ヶ月の間にメンタリングやデモデイといった徹底したサポートがされ、さらにプログラム期間中に上位の成績を残したスタートアップには賞金も与えられます。
時にCIC Tokyoや経済産業省と共同でプログラムやセッションをすることもあるので、興味があれば参加してみてください。
MassChallenge出身の著名スタートアップ
Ginkgo Bioworks:合成生物学分野におけるAWS
Ginkgo Bioworksは、合成生物学分野のあらゆる側面を支援するプラットフォームを提供しています。医療分野から農業・食品分野まで幅広い業界に対し、DNA編集やスマートセル技術などのツールを提供し、新たな医薬品や持続可能な農業プラクティスの開発支援をしています。
合成生物学分野におけるAWSともいえる、バイオテクノロジーの進化において中心的な役割を果たしている上場企業です。その取り組んでいる課題の規模の大きさはまさに「MassChallenge」です。
Ginger:メンタルヘルスをサポートするデジタルコンパニオン
Gingerは、元々はスマートフォンの使用状況などのデータを使い、潜在的なメンタルヘルス課題を分析・解決するサービスでした。現在は更にサービスの範囲を広め、24時間365日、テキストベースでカウンセラーと話せるサービスも提供しています。
MIT Media Labからスピンアウトしたスタートアップですが、Headspaceという大手メンタルヘルス企業に買収されました。コロナ禍で顕在化したメンタルヘルスの問題ですが、これからも様々なスタートアップが取り組みそうです。
Bitso:ラテンアメリカの金融変革を目指す、暗号通貨取引所
Bitsoは、メキシコから始まり、ラテンアメリカへの展開を目指す暗号通貨取引所です。ラテンアメリカで初めて国際的な規制に準拠した仮想通貨交換所として認可を得ており、伝統的な金融機関に代わる新しい選択肢を提供しようとしています。
Rappiを紹介する際も触れましたが、ラテンアメリカという新興市場は経済成長が進みながらも、まだインフラの部分が発展途中であるため、スタートアップにとっては新しい文化を浸透させやすい魅力的なマーケットであるといえます。
日本の起業家にとって、海外アクセラレーターとは
海外進出を考えている起業家や、日本から海外へ行ったスタートアップに多数投資している投資家の方々とお話ししている中で、日本の起業家が海外で成功する際の様々な障壁が明らかになってきました。主に以下の4つが大きな障壁となっています。
言語・文化的なバリアがある
海外の市場や潜在顧客の理解が難しい
コネクションがない
既存の投資家やVisaの問題
逆にいえば、これらの他に日本の起業家が海外と比べてとりわけ劣っている部分というのはあまりなく、能力の面でもより優秀な人は日本に多くいます。こうした際に、海外アクセラレーターに採択されることで、上記4つの障壁に有利に取り組むことができます。
周りに日本人がいないため、言語・文化適合が自然と進む
アクセラレーターが様々な顧客を紹介してくれ、インタビューがしやすい
イベントや内部ネットワークで繋げてくれる
場合によってはサポートしてくれる
今回紹介したアクセラレーターのほとんどは、通過率が2-5%と難関ではありますが、日本の起業家がグローバルマーケットを見据えた際、海外アクセラに参加することはPMF達成の近道となります。
HAKOBUNEは海外アクセラレーター応募を考えている起業家への支援もいたしますので、お気軽にご相談ください。
最後に
次回の記事では、今回取り上げたアクセラレーターに採択された日本のスタートアップについて紹介していきたいと思います。
またHAKOBUNEはこれからの日本の将来をリードする"変化"に積極的に投資していきます!
HAKOBUNEの出資先であるDatagustoも、Alchemistに採択され、海外市場への進出を見据えています。
これからの社会を担う起業家や、アイデア段階にいる方々ともぜひお話をしたいと考えていますので、お気軽にご連絡ください!
参考資料
Y Combinator, https://www.ycombinator.com/
Techstars, https://www.techstars.com/
Alchemist Accelerator, https://www.alchemistaccelerator.com/
500 Global, https://500.co/
Plug and Play, https://www.plugandplaytechcenter.com/
SOSV, https://sosv.com/
Masschallenge, https://masschallenge.org/
a16z "State of Crypto", https://a16zcrypto.com/posts/article/state-of-crypto-report-2023/
Crunchbase, https://www.crunchbase.com/home