エモーショナルなフランス人
フランス人は、感性豊かで、素敵なひとたちですが、感情の量がとても多いひとたちです。感情を表に出すことにあまり躊躇がないし、感じたことはどんどん表現することが自然と考えているようです。また相手が上司でも、ビジネスの交渉相手でもそれはあまり関係がないように思います。
あるフランス企業を相手にM&Aの交渉をしていたときのことです。M&A交渉は、ときに深夜まで及びますが、夜中の3時ごろに先方の弁護士さん(フランス人・女性)が泣き始めたのです。一般に弁護士は、冷静沈着で、クライアントが怒ったりしてもそれをなだめるのが仕事なのですが、彼女は当方の雇っていた弁護士さんがかなり奔放、わがままな人でそれについていけなくて、「こんなに一生懸命やっているのになんでわかってくれないの?」と泣きながら怒り始めました。周りはとくに気にせずにいたのでまあこういうことはままあるのかなと思いそのまま交渉は淡々と続きました。
また別のフランス企業との交渉時には、相手方の社長さんが顔を真っ赤にして怒り出し、「不愉快だ!」と言って部屋を出て行ってしまいその日はそれで終わってしまいました。ただ2週間後くらいにまた何もなかったように交渉は再開しましたし、その社長はちょっと怒ったことを反省したみたいで、次の会には照れくさそうにしていました。
英国人と比べた場合に、フランス人の感情量の多さはかなり顕著かなと思います。交渉ごとなどで英国人はめったに感情を表しません。むしろ何を考えているかわからない不気味さを感じます。たいていどこまでも紳士的で、丁寧で、でも論理的にはっきりものをいう人たちです。一方フランス人は、たいてい正直に自分の気持ちを出して交渉をし、いらだちや不満を顔に出します。ときに非論理的になったり、時間に遅れたり交渉上面倒なことはありますが、個人的にはフランス人との交渉は嫌いでないです。むしろそういった感情のぶつかり合いを経て先に進めることで、信頼関係をきづきやすいと感じましたし、正直なので信頼できる場合が多く、最終的に気持ちのいいパートナーであることが多かったです。
私の部下にもフランス人がいましたが、怒鳴りあいの口論を何度もしたことがあります。そのときは頭に来ますが、時間がたつと元に戻ってあとくされが全くありませんでした。
そういう正直で、エモーショナルな、フランス人を、とても懐かしくおもうときが、日本にいると結構よくあります。