食文化を守るフランス人
フランス人は食べることにとても執着するひとたちです。いろいろなこだわりがありますが、まず「国産素材」にはとてもこだわります。スーパーに行って肉や野菜、魚、乳製品などの素材をみても、加工食品をみても、8割がたは国産品です。フランスは大きい国でいろいろな素材がとれます。海も山も川もあり、農業も牧畜も盛んです。ゆえに大抵のものはフランス産が手に入るということもありますし、品質も国産が安心という心理もあるのですが、理由はそれだけではどうもなさそうです。フランスの国産食品を食べることで、生産者やサプライヤーを保護し、貴重な誇るべき自分たちの食文化を残していこういう意思があると感じます。
同様に「アルチザン」へのこだわりがあります。「アルチザン」は職人という意味ですが、もう少し広い意味で使われます。「アルチザン」なレストランとか「アルチザン」な生産者というと、大企業のチェーン店や大量生産などではなく、個人や家族所有の少量でこだわりをもってものづくりをしているという意味になります。「アルチザン」なものの方が人気がありますし、品質のイメージもいいです。実際に、職人堅気でおいしいものを頑固に作り続けているものは確かにおいしいのですが、この「アルチザン」好きの背景には、もうひとつ、自分たちの食文化を残してゆくことへのこだわりがあると感じます。
自国の文化に誇りを持ちそれを残してゆくことに大きな情熱を持つフランス人。彼らは、食が文化のなかでもとても重要な要素であることを強く認識し、毎日の生活のなかで、一人一人がその守り手として貢献しようとしているように思えます。