【高専OBOG Advent Calendar 2019】中堅大学に編入した話

■書いてる人のプロフィール
・鈴鹿高専卒(2012年卒)→大学編入→大学院(2016年修了)
・高専から大学院まで電気電子工学科 
・関西在住、現在社会人4年目
・業務は工場設備のデータ分析(いま流行りのAI/IoTとかいうやつ)

■なんでこの内容で書こうとおもったのか
大学への編入体験談に関しては、ZENPENさんのページにいけばよくまとめられています。説明会も開催されていますが、僕の勝手なイメージ、旧帝含めた上位の大学の話が多いのかなと(特に説明会)。中堅レベルへの大学の体験談が少ないのと、あと努力すれば須らく上位校にいけるわけではないので今回書こうと思いました。
あと編入体験談では、いつから勉強を始めたのか、使った参考書は何か、試験直前はどう過ごしたか、このような内容はたくさんありますが、編入後の授業料や生活費はどれくらいかかるのか、お金の面の話があまりなかったのでそこも交えて中堅大学に編入した話を書きたいなと。実際、自分が大学に編入したときは下宿でアパートを借りたので、敷金いくらや生活費いくらかかんねん、授業料はと親と揉めた覚えがあります。立地、学びたい内容でもちろん大学を選ぶべきですが、お金の制約がほんのちょっとだけ頭の中にはいってるといらぬトラブルに巻き込まれることもないと思います。
昔の記憶をたどりながら本編に移ります。

■高専時代
電気電子工学科に入学しました。席次は1年生~4年生まで10番あたり、クラスの上位二割をうろうろしていました。クラス47名のうち8割くらいが就職だったため、あまり勉学には全体的に関心のないクラスで、授業の進度も遅く、進学希望の人以外はあまり熱心ではなかったです。そのあまりよくない雰囲気がうつってしまったのか、編入実績は他学科や同学科の一個上、一個下と比べてもあまりよろしくなかったかと。あと高専の授業は選択科目含めて全て単位を取りました。
大学に編入しようと思った理由は、上記の通りのクラスだったので、こんな体たらくで社会に出てよいのかと当時、編入志望だった同級生と危機感を覚えたこと、単純にもっと勉強したいと感じた、インターンで大学で1週間いたときにすごく楽しくて、大学で研究したかったのが理由です。
編入試験の勉強は高専の数学を一通り解く、物理も先生が詳細な解答を付けた編入試験の過去問を解く、英語も長文問題を解く、単語を覚えるとあまり特別なことはしていませんでした。専門科目に関しても同様です。編入試験日が近づいてきたら、その大学の過去問を解くようなありきたりな勉強しかしてこなかったです。
そんなこんなして、静岡大学工学部電気電子工学科に合格しました。推薦入試だった(静大電電の編入試験は推薦のみ)ので、この事実だけ見ると編入試験用の勉強はあまり役に立たないように見えますが、滑り止めで専攻科と三重大学の一般を受けたので役にはたっています。
静岡大学にした理由ですが、当時、電気電子工学科はエネルギー・制御、情報、光・デバイスコースの3コースに分かれていました。そのときは半導体材料に興味があったのと、高専では回路、電磁気、重電よりの授業はあったのですが、光に関する授業がなかったので光に関する知識も付けたいと思いこの大学にしました(現在は学科改変が行われたことにより、電気電子には制御と情報コースが残り、光・デバイスは新設の電子物質工学科に吸収されました)。

■高専から大学に行くまでにやった諸手続き(だいたい時系列)
1.編入試験直後に大学に書類を提出する
これは受けた大学、一般/推薦により提出するものが違いますが、合格してから凡そ1~2週間以内に書類を郵送する必要があります。私の場合、
静岡大学:希望するコースを記入した書類
三重大学:合格辞退の書類(確かはがきに書いた)を郵送
の二つの書類を出しました(専攻科は出したかすら覚えてないです)。静岡大学の書類はもちろん送るべきですが、三重大学に送った書類ははやく送らないと繰上げ合格に影響が出る可能性があるのでなるべくはやく送りました。
2.大学の下宿先探しと下宿先の敷金/礼金を払う
下宿先は不動産屋さんに行って下見してが定番ですが、自分は親戚の知り合いで大学周りの学生向けアパートを扱っている不動産屋がいたのでそこにお願いしました。八畳、風呂トイレ別で3万円ほど、大学まで自転車で5分ほどの距離でした。前金で15万くらい払ったと思います。
3.シラバスの送付
高専の授業のシラバスと成績証明書(どの授業を受けたかを確認するため)を高専を卒業する1~2か月前に送りました。シラバスの内容と成績証明書からどの授業を単位認定するか決めるためです。
4.単位認定のお知らせがくる
大学によって認定される単位数が異なります(自分の同級生の平均は70単位くらいでした)が、静岡大学の電気電子工学科はたしか84単位ほど認めてもらえたので、編入後は3年生で前期後期合わせて授業を10コとれば、あとは4年生の卒研やって卒業できるくらいには単位を認めてもらいました。自分はシラバスと証明書を送って単位認定して終わり!でしたが、単位を認定するための試験を設けている大学もあります。自分はなかったのでその試験が発生する基準がわかりませんが、あるところはあるので気をつけてください。
ほんとはもっとやったことあるとは思うのですが、思い出せるのが大きくこれくらいです...

■高専卒業
卒業できなくなるピンチも特になく卒業できました。卒研では静電気放電による影響を低減させる材料を使用したスピーカーケーブルの特性評価を行いました。自分が音響に興味があったのと、本科4年のときに企業からいらっしゃった先生にオーディオ製品ってよくわからない理由でめっちゃ高いけどマニアは買うんですよみたいな話をしたら、「お前の卒研用に用意するわ」と4年生のときに言われたので5年の卒研配属でそのままその先生の研究室、テーマを与えられました。卒研に関しては5年生で2回、学会発表に連れて行ってもらったので、それが良い刺激になりました。あと最後の学年は(就職決まった上位層が全く勉強しなくなりみんな順位が落ちていった)運よくTOP5に入ることができたので、卒業式の前日に成績優秀者表彰と電波時計(4000円くらい)をもらいました。勉学に関しては最後の最後までダメダメなクラスでした。

■大学編入後
静岡大学工学部は浜松市にあります。浜松市からバスで15分ほどのところにキャンパスがあります。自分は自転車で5分くらいのところにアパートを借りていたので通学はそれほど苦労はなかったです。
とった授業に関しては次のような感じ
3年前期:化学基礎、物理化学実験
     過渡現象、信号処理、電磁波(週2コマ)
     技術者倫理、応用英語
     工学実験(3週に一度レポート提出)
3年後期:量子力学、光波光学、レーザー工学、材料系の授業✖︎2、
     計算機工学、プラズマ工学、化学基礎
前期の実験二つと化学基礎がキツかった。専門科目は高専のときの授業を真面目に受けてノートがあれば単位は余裕、良い点数も取れたので、座学で鬼門だったのは化学でした。あと個人的に情報系の授業が苦手だったので、信号処理は再試をうけるハメに。
授業に関してですが、光に関する授業は応用数学がベースになってるのでおもしろくて計算も結構簡単やなと思い、過渡現象論や電磁波は電気回路、電磁気学の焼き直しと応用編って感じがして楽しく授業受けてました。ただ内部生に応用数学がしっかり定着していなかったのか、レーザー工学に関してはマクローリン展開で光に関する式を線形化するところで受講生みんなマクローリン展開わかってなくて、一コマ潰して応用数学を復習するといった、よくわからないこともありました。大学の授業って、下に合わせる必要ないのになと思いながら授業を受けてることもありました。あと試験の後、出来が悪すぎたのか、終わってすぐに再試ありますかとか教授に質問してる人とかいて、大学に何しにきてんねんと心の中で突っ込んでしまったこともありました。電気系だと電気回路、電子回路、電磁気学に応用数学、これらが発展科目を理解するのに必要な科目と勝手に思っているのですが、どれも合格点ギリギリで単位とってきた人もいてさすがにオイタがすぎるなと。授業を理解するために必要な知識が定着していない学生さんが多いな、これが学部の授業をとって思った感想です。あと自分が電気のことどれだけわかっているのか確かめたかったので在学中に第三種電気主任技術者を受験し、無事合格しました。あと知財関係のインターンシップに行ったので、それのまとめもかねて、知的財産管理技能検定3級も受けてこの試験も無事合格しました。自分の実力を客観的に見るためにも資格試験をとるとおもしろいと思います。ただ、成績はうまいこと、上位層に食い込めたので、院試は推薦をとることができました。院試推薦の場合、はやめに研究に取り掛かれるので院試はできるなら推薦をとれた方がいいです。ただ、大学、学部によっては成績よくても院試は全員一般でうけなければいけないところ、編入生は推薦資格を与えないところもあるらしいので、そのあたりはご注意を。
3年生で卒業までの単位とって、最初は学部で卒業しようと思っていたのですが、卒研をしっかり進めたかったこともあり大学院進学に切り替えました。推薦枠もらえるくらいの順位だったみたいなので、院試用に特段勉強することもなかったです。院試に関して注意として、最初就活してたけど、やっぱり大学院入試受けるとなった場合、成績よくて推薦もらえる資格はあっても就活をしていたという理由で推薦枠もらえない大学もあるそうです。後、自分が大学院入試を受けたときは、学科改編があり、結果、前の年より大学院に合格できる人数が少なくなった(落ちそうな人は新しくできた研究科を志望する必要があった)こともあるので気をつけてください。

■大学入ってから払ったお金、手続き
1)奨学金の申請
大学編入して少ししてから申請しました。成績よければ1種(返還時に利子なし)で借りられます。月50000円なので半期で30万たまって授業料支払える算段で奨学金借りてました(国立の授業料は半期で約27万円)。家賃や生活費はバイトと仕送りで賄ってました。
2)入学金の振り込み
国立大学の入学金の平均が28万円くらい。大金を4月に振り込む必要あるので事前に準備を。経済的な理由で免除や、振り込み期日の延長もできる場合があります。大学院に進学しましたが、そのときも同様です。

■大学4年〜大学院(研究生活)
研究はプラズマ+薬学関係の研究を三年間行っていました。プラズマの研究室を選んだ理由としては、授業でとったプラズマ工学が面白かったから、ただそれだけです。他大学との共同研究、学会発表、英論文の提出と研究でやるべきことはできたかなとあと、韓国での国際学会でプレゼン賞をいただけたのはうれしかったですね。一般的に高専生って英語苦手で自分も苦手だったので、原稿作ったり、学内で開催されてた英会話教室いって鍛錬した甲斐があったかなと。このプレゼンの賞のおかげで、大学院で成績優秀者表彰されて、修士二年での授業料を支払わなくてもよかったのは大きかったですね。このお金は大学院修了してからの引越し費用や卒業旅行にまわさせてもらいました。研究室は先輩方は優秀な人が多くていろいろ教えてもらったり、実験でアドバイスもらったりしてもらいました。自分の一個下に入ってきた留学生が研究室で飯食って寝てるだけ、実験しない、論文読まない、たまに実験やったら装置壊すわでどうしようもなかったので先生にお願いして自分の下に最初ついていたのを外してもらうといったトラブルもありましたが、なんとか結果として形に残る成果を出して修論書いて修士を修了するこtができました。ただ先述のトラブルなどで少しメンタルと体調を悪くしてしまったのでそこは反省です。

■就活に関して
今の会社に関してはGW前にES出してGW明けに面談もらって内々定だったので実質10日ほどで就職先が決まってしまいました。面談では「高専生やから専門科目とかよくわかってるでしょ」とか言われたので、高専+大学院というバックグラウンドを持った人間はよく勉強しているとみられているのかなと。就活に関しても特段、変わったことはしていなくて、合同の企業説明会に行って、行きたい会社が個別で開いている説明会に行ってとありきたりな就活しかしていません。会社も5社も受けていないのでごくごく一般的な就活と比べてずいぶんと省エネな就活になったかなと。ただ自分が就活していたときと今とではルールや状況が異なっているのでそこは注意が必要かと。自分が就活していたときと比べて学生が企業を選べる状況にはなっているので就活はやりやすいかと。

■中堅大学のメリットデメリット
1)メリット
 編入試験は高専での勉強をきちっとしてればわりと受かる
 大学入ってからも授業難しいのでついていけないとなることは少ない
 成績上位に食い込みやすく、推薦枠の取得、ワンチャン成績優秀者として
 授業料免除などを受けられる可能性がある
2)デメリット
 しっかり勉強したいんや!と思うとレベル高い大学に行った方がいいかも
(レベル高い大学でも勉強しない低層の学生は一定数いると思いますが...)
 研究設備や学科の多さは旧帝大に負ける。

■最後に
 社会人生活含めてトータルで見るとレベル高い大学に入った方がいいと思います。ただ旧帝大は都市部にあるので、下宿を選択するとお家賃が。そのためにバイトたくさんいれたら本末転倒な気がする(学生寮を選択する、ソフトウェアできる人はそういうバイトを見つけてお金と技術を身に着けるといった方法もある)かなと。親御さんからの仕送りが厳しい、一人暮らしでお金の面と勉学の面の両立に不安がある人は地方国立中堅大学というのも一つ選択肢かなと。実家から通える大学が一番お金かからないんですがね。幸運にも自分は中堅大学出でありながら研究部門に配属された(一緒に配属された同期の8割は旧帝大卒)ので、中堅大学いってもあれこれいろいろ、大学でしかできないことをやってみるといったチャレンジを続けていればみてくれる人はいるのかなと。
高専を卒業する前に、卒研の先生から「大学は勉強もそうだけど、チャレンジする場所なんだよ」と言われたのが、大学でいろいろやってみようと思ったきっかけです。レベル高い場所であってもそうでない場所であってもまずやってみる、高専生が一番得意なやり方を大学でも続けていれば、いい人生を進められるようになると思います。長文失礼しました。終わり。

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