『メトロポリス』マシーネンメッシュ(マリア ロボット) レプリカの世界 Multiple replicas of Metropolis Maschinenmensch (Maria Robot)
先日, Executive Replicasエグゼクティブ レプリカス)の『メトロポリス』マシーネンメッシュを購入しました。
Executive Replicas Metropolis – Maschinenmensch Metal 1/6 Scale Action Figure
説明文を読んでいたら、" 世界で初めてのライセンス品" との事で、そのデザインについてちょっと気になり、ザックリ調べていたのでまとめておきます。
このマシーネンメッシュ、ドイツ語で機械人間という意未で 作中ではこうとしか呼ばれない。英語字幕はMachine-man。これはプロトタイプであり、完成品は見かけ上 人と同じになる。後に登場人物のマリアと同じ見た目に”完成”されるので日本ではこのプロトタイプも含めて一般にマリアや偽マリア(False Maria )と呼ばれる事が多いような。あとは ヘル とも。(元はといえば博士がヘルという女性を蘇らせたいという欲望もあって製作したため)
また過去の雑誌や本なんかでは超未来人造人間(U.F.A : Ultima Futura Automaton) や Ultima, ロボットリクス(Robotrix) など、劇中での呼称が明確にはないため 呼ばれ方は様々。
映画に出てくるオリジナルは1926年、撮影現場で全て失われてしまったとか(火炙りのシーンで本当に燃やしているので)、第二次大戦時の空襲で失われたとされています。
その後何度かレプリカが作られているものの、そのそれぞれが微妙に違っていたりするのも面白いです。
今回は映画のオリジナルと有名なレプリカ3種を紹介します。
1927年 映画
後に紹介する2014年に製作されたレプリカのサイトで紹介されている製作に纏わる話をまとめると、
プロップ係のウォルテル・シュルツ・ミッテンドルフは当初、銅板にエンボス加工を施した本物の金属を使うことも考えたが、それでは装着感が悪くなるという判断から、金属を模した素材に何がよいか探していた。
別の目的で建築模型部門を訪れた際に、「Plastic Wood -sample without value」と書かれた小さな段ボール箱を見つけ、建築部門では使わないという事でシュルツが預かったそうです。
使ってみると、このプラスチックウッドというのは、空気に触れるとすぐに固まる木質材料で、乾燥させれば、本物の木と同じように加工し扱うことができる。という事が分かりこれを使用する事に。
まず、マリア役のブリギッテ・ヘルムのボディキャストを石膏でとり、その石膏モデルにモスリン布をあてプラスチックウッドをキッチン用のローラー綿棒で平たく伸ばして固め、装甲板を作成。表面を整えその上から装飾を作成し、ラッカーに シルバーブロンズ(銅と銀の合金)を混ぜたものをスプレーガンで吹き付け、均一に塗装して完成した。
このメイキングについては中子真司さんが1985年に講談社から出版された『Film Fantastic』内でも紹介されており、その一部抜粋は同氏のショップ留之助商店 ブログでも紹介されています。
1970年 レプリカ
オリジナルを製作したウォルテル・シュルツ・ミッテンドルフ
がシネマテーク・フランセーズ(フランスの映画文化施設)の依頼を受け作ったもの。現在もこの施設で見られるようです。
1927年のものより丸みが増し装飾がスッキリしています。
オリジネーターが50年近く経った後にその時の解釈で製作した第二のオリジナルという位置付けでしょうか。(ミッテンドルフは当時71歳、1925,6年時の資料も残してなかったそうでフランセーズ側で持っていた資料を元に作成という事ですが映画で見られる部分を比べても明らかに違う箇所が多いので、そこはやはり意図的にそうしているのだと思います。)
ウォルテル・シュルツ・ミッテンドルフの公式サイトでも紹介されています。
因みに、2011年のメトロポリス展に合わせて、シネマテーク・フランセーズは特設サイトを作ったのですが、現在はロックされており見られないようです。
ー ロボットの全貌はもちろん、関係者のインタビュー、『メトロポリス』の修復に関するドキュメンタリー、『メトロポリス』に影響を受けた映画のレポート、撮影のプロセスを説明したファイルなどが掲載されています。ー
との事なので残念。
1976年 レプリカ
フォレスト・J・アッカーマンの依頼で特殊効果アーティストのビル・マローンと、ロバート・ショートによって制作されたもの。グラスファイバー製
作家・編集者でコレクターとしても有名なフォレスト・J・アッカーマン氏が保有し、長年自宅兼博物館(アッカーマンション)に30年近く展示されていた。2008年のアッカーマン死後、2009年のオークション(Profile in History社によるHollyewood Auction 36)に出品されました。
ブレードランナーのブラスターが出品され話題になったオークションです。
このレプリカの詳細は1991年のビデオ版『Famous Monsters of Filmland』内でも語られています。(42分あたり)
背面がどうなってるか気になるんですが、アッカーマンションの映像は沢山残っているものの背中を映してるものが中々見つからず、、またそのうち探していたいと思います。
2014年 レプリカ
プロップメーカーであるKropserkel社と、『メトロポリス』の権利を持つWSM社が、ウォルテル・シュルツ・ミッテンドルフの家族監修(主に娘のベルティーナ・シュルツ・ミッテンドルフ)の元、製作したもの。
プロジェクト全貌は以下のサイトと彼らのFacebookで発信されています。
2014年 お披露目PV
このレプリカは、オリジナルと同様 モデルの石膏型を取り、それをベースに製作されてます。(モデルを務めたのはカナダのスタントウーマン。)
なので、ひとかたまりの銅像ではなくバラバラのパーツになっており、展覧会等ではマネキンに着せているのだと思われます。
2017年 ロンドン サイエンスミュージアム『Robots』展
サイエンスミュージアムのサイトでは詳細な写真も見られます。
Kropserkelのyoutubeより、レプリカをスキャンする様子
現在の所、このKropserkel製作のレプリカがもっともオリジナルに近く、今回エグゼクティブ レプリカスが出した1/6 アクションフィギュアもこのレプリカのデザインを元に作られてるようです。(バラバラパーツの写真を見てわかるように、めちゃくちゃそっくり!)
現在販売されてるものだと、X-plusのプラモデルもこのデザインを元にしていますね。
その他のレプリカ
ベルリン映画博物館
常設展示でレプリカが見られる
ピッツバーグ カーネギー科学センター
Robot Hall of Fame コーナーに展示されている
https://carnegiesciencecenter.org/exhibits/robot-hall-of-fame/
ポツダム フィルムパーク・バーベルスベルク
スタジオに隣接するテーマパーク内
フィギュア・トイ
増田屋コーポレーション
レジン, 45cm(台座5cm含む), 7500円, 肘のみ可動, 単二電池2個で台座に備え付けられているLEDライトが2灯光る
Hollywood Collectibles
ポリストーン, 1/4(51cm程度), 世界500個限定,2011年, 34,000円程度
Compulsion Gallery
1998年 樹脂にメッキ 32インチ(81.28cm) 重さ20kg
1992年頃 16インチ(40.64cm)
Reaction SUPER7
様々なヴァージョンが出されている。
おまけ スター・ウォーズ C-3POと比較
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