<鑑賞記録>ヨーロッパの犬 / ベラルーシ・フリー・シアター
ベラルーシ・フリー・シアターは、ベラルーシからの難民たちによって作られた劇団。ベラルーシは、ヨーロッパ最後の独裁国家とも言われるくらい言論統制の激しく、芸術活動も満足に行えないらしい。それから、いまの、ロシアによるウクライナ侵攻で、さらに難しい立場に立たされているベラルーシからの難民。この公演に携わっている人の中に、ウクライナ出身の人がいて、自分が見た公演の朝、家族が戦死したらしい。上手く言えないし、上手く言う必要もないだろうが、心に刺さった。作品は、ベラルーシでは出版が禁止されている小説が原作( A dog of Europe)。
近未来 2049年の話。とある殺人事件の捜査の為に、旧ベラルーシと旧ロシアを訪れた警察官の男が、自分のアイデンティティーを見つめ直す話。
このチケットを予約した時はまだ戦争も始まっていなかった事もあって、色々考えさせられた。焚書が大きなテーマになっていて、「本を焼く時、人も焼かれる。」というメッセージと共に、実際の火を使って本を焼いていくシーンは、心に来るモノがありました。正直に言うと、演出や作品、演技自体は、そこまで凄くなかったけど、彼らのバックグラウンドと今の世界の状況が相まって、物語が進むににつれて、役者たちの熱量の上がっていって、そんな事を気にしてる場合じゃなくなっていきました。
終演後、演出家が舞台上に出てきて、ベラルーシの現状と、「ベラルーシ・フリー・カンパニーは、ウクライナと共にある。」と言う事を宣言していた。