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少女Nullとほかの漫画や映画との類似点|ジャンプ+『少女Null』
オマージュとリスペクトは難しい議題だと思う。
ただ、そんなことを語りたいのではない。
ジャンプ+にて、『少女Null』という漫画が現在進行形で連載されている。これを執筆段階で八話まで掲載されている。
読むと分かるのだが、この漫画には『あの漫画・映画で見た』既視感がたくさん詰まってしまっている。
せっかく読んだものは手放しで『面白い』と言いたいのだけれど、読むたび読むたび見覚えのあるシーンが引っ掛かってしまう。
細かなシーンを述べる前に、一読者に過ぎない私が思い浮かべてしまったものをざっくりと挙げる。
少女Nullを読んだ人ならもうなんとなく言いたいことが分かると思う。
それは、作者は漫画・映画が好きなんだなぁと楽観的に言うことは出来るのだが、結果として独創性に欠け、つづきを読みたいという読者の期待が少しずつすり減ることになってしまっている。
以下、上で羅列したものについて個人的な主観と補足説明を勝手に語っていく。
岡本倫
・エルフェンリート
義人の立ち位置とディクロニウスの立ち位置がよく似ている。追われている身で、見つけ次第○せというところと、触手(のようなもの)で攻撃するというところも。
角があるところに義人マリーの耳があるという外見的特徴も一致してしまっている。
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・極黒のブリュンヒルデ
義人の脳内に埋め込まれているもの、という設定が一緒である。最も、その設定自体はロボトミー手術を元ネタに発案されたことは容易に理解できる。ただ、その脳内に埋め込まれた『虫』が動くところや潰すところだったりが似てると言わざるを得ない。
また、これは漫画のよくあるテンプレではあるのだが、冒頭も冒頭の一ページ目の始まり方がブリュンヒルデの構成にそっくりである。(きっと物語の中盤で冒頭のシーンに繋がるのだろう)
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鬼滅の刃
・半天狗の過去
少女Null第一話72-73Pの見開きの構図が全く一緒。
最も、この構図は鬼滅があまりにも有名ゆえにわざわざ槍玉に上げるほうが意地が悪いかもしれないが。
しかしオリジナルの第一話の見開きで使っていい構図だとは筆者は全く思わない。
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デスノート
・監視カメラ
少女Null第八話にて勘の鋭い警官から盗聴されるという展開があった。
その描写自体はいわゆる王道かもしれないが、読んだ筆者の感想は「デスノートだ……」というそれ以外の何ものでもなかった。
筆者は第七話のある描写を見て読むのをやめる判断をしたのだが(後述)、いちおう第八話も読み、この描写を見ることで遂に読み終えることを決意した。
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伊藤計劃『ハーモニー』(小説/漫画)
これはかなり勝手に想像を当て込んでいるところがあるので流し読みで結構だ。
まず一番最初に違和感を覚えたのが主人公の名前だ。
少年の名は宇頭『リアハ』。少々変わった名前の人物でこの漫画は構成されていくのかと思いきや、しかし父親の名前は宇頭『中也』だったり幼馴染は『千佳』だったりと、ごくごく普通の名前で構成されている。
明らかに『リアハ』だけが浮いているのだ。
これは、ハーモニーに出てくる『御冷ミァハ』というキャラクターを少々ネタ元にしているからではないかと筆者は考えている。
というのも、ハーモニーという小説にはプログラミング言語が登場し、それがストーリーの構成に大きく関わっている。
一方で、少女『Null』とはプログラミング言語のことだ。意味は『何もない』を表す。
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また、少女Nullは舞台背景を23世紀としているが、その設定は今のところ機能しておらず所詮SFチックな舞台装置の足掛かりでしかない。
特に、作中に出てくる『公安のセンサー』が妙にそれだけハイテクであり(最もマリーには無力だったが)、およそ0秒で義人の個体を検知するかのような表現がある。それを見たときに筆者はハーモニーの『WatchMe』や『拡張現実』を想起したのだった。
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映画
・カッコーの巣の上で
・シャッターアイランド
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ロボトミー手術を題材としている映画の、古典となりつつある作品と比較的新しい作品である。
これは筆者が完全に悪いのだが、これらを視聴したあとにあまり捻りのないロボトミー描写を見ると『ただのロボトミーかよ』と言いたくなってしまうものである。
ただし、少女Nullにおけるロボトミー描写は『実は○○でした』と二転三転しそうな気配があるので決めつけるには早計であることを記しておく。
・レオン(麻薬取締刑事 ゲイリー・オールドマン)
刑事である神木が映画『レオン』だとしか言いようがない。言い逃れの余地がないほどそのまんまである。
ちなみに銃もぶっぱなして虐殺を行う。
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おわりに
・第七話のある描写
そもそも筆者が少女Nullを読み始めた理由は『serial experiments lain』のような見た目と世界観を有する本作が魅力的に感じたからである。
読み始め、冒頭のトラック描写で既に怪しさを感じ始めていたが、そこは許容して読み進めていた。
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作中のいくつかの場面に不満がありつつも、それなりに面白く読んでいた、が。
第七話にて、『自動運転車』が出てきてしまった。
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義人マリーが動き出すというファクターの一つであった『車の事故』という描写を、作中で簡単に覆してしまったのだ。
この描写のせいで舞台の技術背景はなおさら分からなくなったし、統合性を求める意味がないことを悟ってしまった。
よって、筆者はこの漫画を読み終えることにしたのである。
細部に目を瞑ればそれなりに面白い漫画ではあるし、筆者の感想はたかが一個人のものだ。楽しく読んでいる他の読者を咎めるつもりは全くないのだが、このような感想を持つ読者もいる、とだけ書き残して今回のレビューを終える。
最後までお読みいただきありがとうございました。