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GPTのDeep Searchとは何か?実際に使ってみたら想像以上にすごかった

Deep Searchとは?

Deep Searchは、OpenAIが2025年2月に発表したChatGPTの新機能で、AIエージェントがインターネット上の情報を集約し、深いレベルの調査を自動的に行うものです。この機能は、OpenAIの推論モデル「o3」を基盤にしています。従来の検索エンジンの単純な情報提供から一歩進んだ、複雑なタスクに対する多段階の調査と分析が可能です。

  • 特徴

    • 自動化された調査:ユーザーのクエリに基づき、ウェブ検索、ファイル解析、テキスト要約、Pythonコードの実行などを自律的に行います。

    • 透明性:調査の進捗状況や参照元が表示されるため、調査結果の信頼性が向上します。

    • 時間効率:人間の数時間分の調査を数十分で完了させることができます。

Deep Searchの活用の仕方

Deep Searchは様々なシナリオで活用できます。以下にその具体例を挙げます:

  • ビジネス分析

    • 市場動向分析:市場のトレンドや競合他社の動きを調査し、戦略的なレポートを作成。

    • 投資判断:企業の財務データや業界ニュースを基にした投資判断のサポート。

  • アカデミックリサーチ

    • 論文作成:特定の研究テーマについての最新の研究情報を収集し、参考文献や研究の進捗状況を把握。

    • 文献レビュー:多数の論文を迅速にレビューし、関連性の高い情報を抽出。

  • 情報収集と整理

    • プロジェクトリサーチ:新規プロジェクトの立ち上げに際して必要な情報や背景調査を行う。

    • 技術トレンド:最新の技術動向を把握し、技術スタックの選択やアップデートに役立てる。

  • 個人使用

    • 旅行計画:目的地に関する情報(観光地、文化、歴史など)を深く調べ、旅行計画を立てる。

    • 購入前リサーチ:製品やサービスのレビュー、比較を行い、最適な選択をする。

  • 教育

    • テーマ学習:特定の学問分野やトピックについての深い理解を促進するための調査。

使用方法

  • アクセス:現在はChatGPT Proユーザーのみが利用可能ですが、今後Plusや無料ユーザーにも拡大される予定です。

  • 操作:ChatGPTのインターフェースで「Deep Search」を選択し、調査したいトピックや質問を入力するだけです。調査中はサイドバーに進捗状況が表示されます。

  • 結果の取得:調査が完了すると、詳細なレポートが提供されます。このレポートには、リンク、引用、要約、分析が含まれます。


実際に使ってみた

リサーチ内容を投げると、より具体的に何を調査したいのか聞いてくれる。

一生懸命探してくれている様子がわかる

実際に出力された。

せっかくなので、出力された文章を少々整理して記載します。


最新のテキスト生成AIと画像生成AI:概要と比較

テキスト生成AIツールの概要

ChatGPT(OpenAI)

概要:ChatGPTは、OpenAIが開発した対話型の大規模言語モデル(LLM)で、2022年11月に公開されました。公開直後から注目を集め、公開2か月で1億人以上のユーザを獲得し、史上最速で普及した消費者向けアプリケーションとも言われます。現在はGPT-4シリーズのモデルを基盤として動作しており、人間と自然に対話できる高度なチャットボットとして知られています。

主な特徴・機能

  • ユーザの指示に応じて自然な文章を生成し、会話の文脈を継続して理解します。文章のスタイルや長さ、詳細さなども指示に応じて調整可能です。

  • 高度な知識に基づく回答やコードの生成、文章の要約や翻訳など、多様なタスクに対応しています。

  • 2023年3月にはより高性能なGPT-4モデルの提供を開始し、画像入力(視覚的な理解)や音声での対話も可能なマルチモーダル機能を導入しました。たとえばユーザが画像をアップロードして質問すると内容を説明したり、音声で質問すると音声応答する機能です。

  • プラグインやツールとの連携も特徴です。Webブラウジング機能や、他サービスと連動するプラグインを追加して、計算・検索・他のAPI呼び出しなど拡張機能を利用できます。

強み:膨大なデータで訓練されているため知識の広さ文章生成の流暢さが強みです。汎用性が高く、創造的な文章から専門的な回答までこなします。またユーザの指示に従って柔軟に応答スタイルを変えられる点(例えば口調や形式の指定)は大きな利点です。プラス版では最新機能(画像生成や音声対話など)がいち早く使えます。さらにAPI経由で他のアプリに組み込むこともでき、企業での活用例も豊富です。

弱み:学習データ以降の最新情報の不足(知識のアップデートが必要)や、事実でない内容をもっともらしく回答する幻覚(ハルシネーション)の問題があります。また高度な推論が必要な複雑な質問では誤答する場合もあります。他のモデルと比べ長文コンテキストの保持が苦手(既定では約8,000トークン)で、長大な入力への対応力はClaudeなど競合に劣ります。安全性対策上、差別的・有害な内容や個人情報に関わる応答は制限されるため、場合によっては回答を拒否したりぼかした表現になります。

価格・利用条件:基本機能は無料で公開されており、誰でもChatGPTウェブサイトから利用できます。高度なGPT-4モデルや追加機能を使いたい場合は有料プラン(ChatGPT Plus)への加入が必要です(月額20ドル)。Plus加入者はピーク時でも優先的に利用でき、応答速度も高速化し、画像生成(DALL·E 3の統合)などの新機能も利用可能です。またチーム利用向けのChatGPT Team/Enterpriseプランもあり、大人数での利用や高度なセキュリティ管理が求められる企業向けに提供されています(Enterpriseはカスタム契約でユーザあたり月額料金制)。

最新アップデート情報:2023年9月にはChatGPTが画像や音声を扱えるようになる大きなアップデートが行われました。また同年10月には画像生成AIのDALL·E 3がChatGPTに統合され、テキストから画像を生成する機能がPlus利用者に追加されています。OpenAIはモデルの継続的な改良も進めており、2024年にはGPT-4の高速・廉価版「GPT-4 Turbo」や128kトークンの長文入力に対応するモデルも発表されました。こうしたアップデートにより、ChatGPTは対話以外にも画像生成や長文分析など多機能なAIアシスタントへと進化しています。

代表的なユースケース:日常的な質問への回答、文章の要約・翻訳、ブログや記事の下書き作成、プログラミングのデバッグ支援やコード自動生成、学習時のチューター代行、ビジネスメールや企画書の作成補助など、多岐にわたります。特に生成AIの汎用チャットボットとして個人から企業まで幅広く利用されており、Microsoftのオフィス製品への組み込み(Copilot)や他社サービスのチャット機能(例えばSlackのChatGPT統合)など、ビジネス用途も急速に拡大しています。

Claude 2(Anthropic)

概要:Claudeは、Anthropic社(OpenAI出身者が設立)の開発した対話型LLMです。初期モデルは2023年3月頃にリリースされ、その後性能を向上させたClaude 2が2023年7月に公開されました。ChatGPTの競合として位置付けられており、より安全でユーザフレンドリーなAIアシスタントを目指して開発されています。名称は社名Anthropicにちなみ「クロード」と読みます。現在米国・英国などで一般ユーザ向けベータ版が提供されています。

主な特徴・機能

  • 最大の特徴は非常に長いコンテキスト長で、一度に100,000トークンもの長文入力に対応できます。これにより数百ページに及ぶ文書や小説全体を一度に分析・要約したり、長時間の会話履歴を保持して高度な対話を継続することが可能です。

  • ChatGPT同様に自然な対話や文章生成が得意で、ユーザの意図を丁寧に汲み取った応答を行います。Anthropicは独自の「憲法」に基づく調整(Constitutional AI)を行っており、倫理的で一貫性のある応答を生成するよう設計されています。そのため無闇に有害な発言をしにくく、安全性に配慮した出力が特徴です。

  • プログラミングや数学にも強みがあり、Claude 2ではコード生成・デバッグ能力が向上しました(Pythonのコーディングテストで前版の56%から71%正答に改善)。数学問題集(GSM8k)でも88%の高スコアを記録しています。

  • ファイルアップロード機能を備え、ユーザが長文のテキストファイル等を直接入力して要約や分析を依頼できます。

強み長文の理解・要約大量データの一括処理に優れ、例えば書籍全体の要約や長大な議事録からの要点抽出などChatGPTでは難しいタスクでも実行しやすいのが強みです。また、会話文体が「親しみやすい同僚やアシスタント」のように調整されており、丁寧で説明がわかりやすい応答を返す傾向があります。安全性にも注力しており、不適切な応答の抑制や根拠の説明など、信頼性の高い対話を目指している点も評価されています。さらにOpenAIに比べてモデル使用料が安価であることも利点の一つです。

弱み:知識面ではOpenAIのモデルに比べ訓練データの範囲や最新情報の反映で劣る場合があり、特に学習後に起きた出来事については情報がないことがあります。また非英語圏での利用や多言語対応はChatGPTほど強くなく、日本語などでの精度はやや劣るとの指摘もあります(※アップデートにより改善中の可能性あり)。一度に大量の出力が可能な反面、応答に時間がかかる場合があること、現在のところ利用可能な地域が限定されていること(執筆時点では米国・英国のみ公式提供)も弱点と言えます。なお安全性を重視するあまり、一部の正当な質問にも慎重になりすぎて十分な回答をしないケースがあるとの報告もあります。

価格・利用条件:個人向けにはWeb経由で無料版が提供されています(1日の利用回数など一定の制限あり)。より高機能な**Claude Pro(有料版)**も用意されており、月額20ドルで優先的なアクセスや高い使用回数上限が与えられます。また開発者や企業向けにはAPI経由でClaudeを利用可能で、モデル容量に応じた従量課金制です(例えば高速応答版Claude Instantは入力100万トークンあたり$1.63、出力100万トークンあたり$5.51等)。このように用途に応じて無料・有料プランを選択できます。

最新アップデート情報:2023年7月に公開されたClaude 2が最新バージョンで、大幅な性能向上と100kコンテキストなどの新機能を実現しました。Claude 2は前モデルより法試験や大学院試験の成績が向上し、応答の長さやコーディング能力も改善されています。また、同年5月には段階的にコンテキスト長を拡大するアップデート(9k→100kトークン)も行われています。今後もコード機能の強化やさらなる多言語対応などのロードマップが示唆されており、安全性と能力の両立に向け継続的な改善がアナウンスされています。

代表的なユースケース:長文ドキュメントの要約(技術文書や小説のサマリ生成)、チャットボットとしての顧客対応(大量の履歴を保持したパーソナルアシスタント)、ブrainstorming支援(長い会話を通じたアイデア出し)、法的文書の分析や契約書レビュー(長大なテキストを解析できる利点を活かす)などが挙げられます。特に大量テキスト処理要約タスクでメリットが大きく、金融や法務分野の企業がClaudeの長いコンテキストを活用するケースも出てきています。また、学術研究における文献調査のサポートなど、人間が読みきれない膨大な情報を整理する用途にも適しています。

Google Bard (Gemini)(Google/DeepMind)

概要:BardはGoogleが提供する対話型AIサービスで、2023年3月に公開されました。当初は言語モデルLaMDAをベースとしていましたが、現在は新世代のLLMであるGeminiを搭載しています。GeminiはGoogle DeepMindが開発したマルチモーダル大規模モデルで、2023年12月に正式リリースされたものです。Geminiには性能別にUltra・Pro・Flash・Nanoのバリエーションがあり、Bardにはその中のGemini Proを微調整したモデルが使われています。Bard自体は無料で世界170か国以上で提供されており、日本語を含む多言語に対応しています。

主な特徴・機能

  • マルチモーダル対応:Geminiは初めからテキスト・画像・音声・コードなど複数のデータ形式を統合して学習されており、画像の内容説明や音声入力への応答など複合的なタスクが可能です。Bardでも画像を読み取って説明したり、画像を生成する機能(Imagen技術の統合)などが提供されています。

  • 高度な推論・計画:DeepMindのAlphaGo系の手法を取り入れ、「先を見越した思考」を行うよう最適化されています。その結果、複雑な質問や推論を要する問題に強く、最新のGeminiでは多くのベンチマークでGPT-4を上回る性能を示しました。特にコード生成や数学的推論、知識クイズなどで最先端のスコアを記録しています。

  • インターネット検索との連携:BardはGoogle検索と統合されており、必要に応じてリアルタイムにウェブ検索を行って最新情報を回答に組み込むことができます。これにより学習後の新しいトピックについても回答可能で、最新ニュースや現在の天気なども答えることができます。

  • Googleサービスとの統合:Bardの回答はワンクリックでGmailの下書きに転送したり、Googleドキュメントにエクスポートしたりできます。さらにプログラミング用途ではコードを直接Colab(Python実行環境)で開く機能や、他の開発環境向けにエクスポートする機能も備えています。

  • 軽量モデルの展開:Gemini Nanoなど小型モデルがスマートフォン(Pixel 8 Pro)に組み込まれており、音声録音アプリの文字起こし要約やキーボードアプリの賢い返信候補など、デバイス上で動作するAI機能にも応用されています。これによりクラウドに接続しないローカルAI機能も実現しています。

強み最新の情報へのアクセス多彩なモードでのやりとりが大きな強みです。検索連携によりアップデートされた知識を持ち、事実に基づいた回答の信頼性が高まります。またGeminiの持つ画像や音声も含めた理解力により、視覚情報を伴う質問やマルチメディアな対話にも対応できる点は他にはない利点です。さらにGoogleのエコシステム(Gmail, Docs, Android等)との親和性が高く、実用的な統合が図られているため生産性向上ツールとしても優秀です。性能面でも最新モデルのGemini UltraがGPT-4を複数の指標で上回るとされており、特にコード生成や画像理解など幅広いタスクで最先端レベルです。加えて、Bardは無料で利用できるためコストなく最新AIを試せる点も強みです。

弱み:Bard(Gemini)は登場したばかりのため成熟度という点ではChatGPTほどではないという指摘があります。例えば一部の高度な創造的文章生成や、専門領域での知識の網羅性ではGPT-4に僅かに劣る場面があるとも言われます。また企業向けのエコシステム(プラグイン市場やサードパーティ統合)はOpenAIほど整っておらず、外部開発者コミュニティの盛り上がりはこれからといえます。加えて、Geminiは英語での学習最適化が中心であるため、日本語など非英語でのパフォーマンスが課題となる可能性があります(もっともBardは日本語対応をうたっており日常レベルでは問題なく使えます)。安全対策も厳格ですが、特に画像生成では著名人の肖像やアーティストの作風模倣を禁止するなど出力制限が強めで、創作用途によっては制約を感じる場合があります。

価格・利用条件現在は無料で提供されています。Googleアカウントがあれば誰でもBardにアクセス可能で、利用回数等の明確な制限はないものの一度のチャット長や1日のやりとり量に上限があります。開発者向けにはGoogle CloudのVertex AI上でGeminiモデルへのAPIアクセスが提供されており、こちらは従量課金制です。たとえば標準的なGeminiプロ(1.0版)を使う場合、入力・出力トークン数に応じて料金が発生します(無料枠も一部あり)。商用利用を考える企業はGCP経由で契約し、自社アプリに組み込むことが可能です。

最新アップデート情報:2023年12月にGemini 1.0が正式リリースされ、Bardを含む各種Google製品に順次統合されました。リリース時点で英語版BardがGemini搭載となり、2024年前半には他言語版にも展開予定と発表されています。また2024年末には次世代のGemini 2.0が発表され、推論中に外部ツールを自律的に使いこなす「エージェント機能」の強化が予告されています。Bard自体のアップデートとしては、プログラミング支援機能の強化(コード解説やデバッグ提案)、より高精度な引用リンク付き回答の提供など、競合を意識した改良が続けられています。Googleは今後も検索やモバイルへのさらなるAI統合を計画しており、最新モデルを迅速にサービスへ反映する方針です。

代表的なユースケース:検索の延長としての調べ物や質問への回答、行程表の作成や旅行計画など計画立案、メール文や記事内容の要約、スプレッドシートの数式生成支援など業務効率化への活用が挙げられます。特に検索では得られない洞察や、複数ソースから情報を統合した要約・比較回答などに強みがあります。またプログラミング学習者がコードの意味をBardに尋ねたり、画像について質問して視覚的な情報を得たりと、マルチモーダル対話を活かした使い方もされています。さらに、他のGoogleサービス(Gmail下書きやDocs文書化)と連携させることで日常業務のアシスタントとして活用する例も増えています。

その他の主要なテキスト生成AI

上記以外にも、近年は様々なテキスト生成AIが登場しています。例えばMeta社はオープンソースに近い形で提供される大規模言語モデルLLaMA 2を2023年7月に公開しました。LLaMA 2は商用利用も可能なライセンスで提供され、コミュニティによるカスタマイズや派生モデル(ファインチューニングによる専門特化モデル)が数多く生まれています。オープンモデルの利点は無料で自社導入できカスタマイズ性が高い点で、研究目的から業務システム組み込みまで幅広く試されています。一方、モデル単体の性能や使いやすさではChatGPTやClaudeに及ばない場合も多く、専門知識が必要になる場面があります。

他にも、各国の企業や研究機関が独自のLLMチャットボットを開発しています。中国の百度(Baidu)はERNIE Bot、韓国のNaverはHyperCLOVA/X、米国スタートアップのAI21LabsはJurassic-2といった具合に、それぞれの言語や用途に特化したモデルが競い合っています。最近では、スタートアップのHumaneがウェアラブルデバイス向けの会話AIGrokを発表するなど、新しい形態のテキスト生成AIも登場しています。このように、ChatGPTをきっかけに各社から多様なLLMがリリースされ、競争と技術革新が加速しています。

テキスト生成AIツールの比較

主要なテキスト生成AI(ChatGPT、Claude 2、Google Bard(Gemini))について、いくつかの観点で比較します。

(注) 上記は執筆時点における情報です。モデルの性能・提供条件はアップデートにより変わる可能性があります。

画像生成AIツールの概要

DALL·E 3(OpenAI)

概要:DALL·E(ダリ)は、OpenAIが開発した画像生成AIシリーズです。初代は2021年1月に公開され、続くDALL·E 2が2022年4月にリリースされました。現行最新版のDALL·E 3は2023年9月に発表され、10月よりChatGPTやBingを通じ一般ユーザも利用可能になりました。名前は芸術家ダリ(Dalí)とピクサー映画のロボット「ウォーリー(WALL-E)」にちなんでおり、テキストから高品質な画像を生成できるモデルです。

主な特徴・機能

  • 高度な画像生成:与えた文章プロンプトの内容を詳細に反映した画像を生成します。DALL·E 2から3への進化で、プロンプトに含まれる要件や細かなニュアンスをより正確に絵にする能力が飛躍的に向上しました。例えば「~なスタイルで」「特定の配置で」といった細部の指定にも応えやすくなっています。

  • 生成スピード向上:DALL·E 3では画像生成の速度も改善されており、ユーザが結果を得るまでの待ち時間が短縮されています。これにより試行錯誤による画像調整も快適になりました。

  • ChatGPTとの統合:ChatGPTの会話中に画像生成を依頼できるよう設計されています。ユーザはChatGPTに描きたい内容を伝えるだけで、裏側でChatGPTが適切なプロンプト文に変換しDALL·E 3が画像生成する仕組みです。会話しながら画像の修正指示を出すこともでき、対話的な画像生成が可能です。

  • 安全性と著作権配慮:有害な画像(暴力・わいせつ・ヘイトなど)や他人の肖像、実在のアーティストの作風模倣に該当するリクエストは拒否する仕組みになっています。特に著名人の顔や現存する画家のスタイルを真似た画像は生成できないよう制限されており、著作権侵害や悪用リスクに配慮しています。

強み:プロンプトの解釈精度が高く、ユーザの意図したとおりの画像を得やすい点が大きな強みです。専門知識がなくてもテキストで細かく指示すれば、その内容に忠実な絵を生成できるため、初心者にも扱いやすい「使いやすさ」に定評があります。またOpenAIの提供するサービスとして、ChatGPTとの連携やMicrosoftのBing統合など利用環境が整っていることも利点です。例えば既に馴染みのあるチャットインタフェースからそのまま画像生成できる手軽さや、商用利用の場合でもOpenAI側でライセンス管理されたデータから生成されるため比較的安心して利用可能という点が評価されています。

弱み:OpenAI側で厳格なフィルタリングを行っているため、生成できる内容に制限があります(上記の有名人の画像生成不可など)。そのためアート用途によっては思い通りの画像が得られないケースもあります。またカスタマイズ性の面ではモデルをユーザ側で改変したり追加学習したりはできないクローズドなサービスであり、出力のバリエーションや細かなチューニングはプロンプト工夫に頼る部分があります。画像解像度や細部の画質もMidjourneyなど他の競合モデルと比べると若干劣るという意見もあります(ただしDALL·E 3でかなり向上)。さらに、基本的に単一画像の生成に特化しており、連続したコマの生成(動画相当)や一貫性のある複数画像生成といった機能は持っていません。

価格・利用条件:DALL·E 3自体は現在ChatGPT Plusの加入者(有料)かMicrosoft Bing経由の利用によってアクセスできます。ChatGPT Plus(月額20ドル)では追加料金なしで画像生成機能を一定数利用可能です。一方、MicrosoftのBing Image Creatorでは無料でDALL·E 3が使えますが、一度に生成できる回数や速度に制限があり、追加で利用したい場合は「ブースト」機能(Microsoftリワード経由で入手)を消費する形になります。OpenAIの研究者向けにはAPI提供も開始されており、OpenAI Labsからクレジット購入制でDALL·E 3を利用することもできます(解像度ごとに1枚あたり数セント程度の料金設定)。商用利用の場合はOpenAIの利用規約に従い、生成物の権利帰属や二次利用に制限がない範囲で使用できます。

最新アップデート情報:2023年10月に一般公開されたDALL·E 3が最新です。DALL·E 3では前述のとおりプロンプト理解性能と画質の向上が図られ、大幅なアップデートとなりました。またBingとの統合によって幅広いユーザが無料で試せるようになったこともトピックです。OpenAIは今後も画像生成モデルの安全性と品質向上に取り組むと述べており、将来的にはより解像度の高い画像生成や簡易な動画生成への応用も期待されています。

代表的なユースケース:イラストやコンセプトアートの作成、プロダクトデザインのアイデア出し、ウェブ・ブログ用の挿絵生成、広告やプレゼン資料用の画像作成などが多く見られます。特にデザイナーや広告代理店などでラフ案作成に使われたり、ブレインストーミングでキーワードからイメージを起こす用途で活躍しています。また、ChatGPTと組み合わせて物語のシーンを可視化したり、ゲームのコンセプトアートを自動生成してプロトタイピングに使う例もあります。個人利用では、子どもの塗り絵の下絵を作ったり、架空の風景画像を生成して楽しむなどクリエイティブな遊びにも幅広く利用されています。

Midjourney(Midjourney社)

概要:Midjourneyは、独立研究所のMidjourney社(本拠:サンフランシスコ)が開発・提供する画像生成AIサービスです。2022年7月に一般ベータ公開され、以降ディスコード上のBotを介して利用できる形で人気を博してきました。2023年に入りモデルの継続的な改良を重ね、Ver4(2022年11月)→Ver5(2023年3月)→Ver5.2(同年6月)→Ver6(同年12月α版)と短いサイクルでアップデートが行われています。その高品質な画像生成能力から、プロのアーティストやデザイナーにも活用されているツールです。

主な特徴・機能

  • 写真のようにリアルな描写から芸術的なスタイルまで、多彩な画像を生成できます。特にVer5以降はフォトリアリスティックな人物や風景描写の精度が飛躍的に向上し、本物と見紛うようなクオリティの画像を生成可能です。一方で独自のアート的スタイルも得意で、ユーザの指定に応じて油絵風、サイバーパンク風などクリエイティブな表現もこなします。

  • Discord上で動作する対話ボット形式で提供されます。ユーザは「/imagine プロンプト...」コマンドでリクエストし、Botが生成画像をチャットに返信する形です。複数のユーザが結果を共有・閲覧できる公開ルームでの利用が基本ですが、プライベートモードも有料プランで可能です。

  • バージョン選択やパラメータ調整ができます。プロンプトに「--v 5」等と付加してモデルの世代を指定したり、画像サイズ(アスペクト比)やスタイライズ度合い(創造性パラメータ)をオプションで調節できます。Ver5.2では既存画像の周辺を描き足す「ズームアウト」機能も追加されました。

  • ギャラリーとコミュニティ:生成した画像はMidjourneyのWebギャラリーに保存され、他のユーザと共有したり人気作品を見ることができます。またプロンプトを参考にしたり、他者の作例から着想を得るコミュニティ文化が形成されています。公式Discord内ではプロンプト作成のコツやモデルアップデート情報が活発に議論されています。

強み:何と言っても生成画像のクオリティが非常に高い点です。他の追随を許さない美麗なビジュアル表現力が評価されており、特に人物の照明や質感表現、風景の細部描写などでMidjourneyの出力は定評があります。ユーザからは「ほぼ設定不要でプロっぽい絵が得られる」とも言われ、プロンプト一つで魅力的なアートが得られる手軽さも強みです。またDiscordコミュニティ経由のサービス提供というユニークな形態により、ユーザ同士が作品を見せ合い刺激を受けられる点も創作促進に寄与しています。商用利用も可能(一定収益以上の企業は上位プラン契約が必要)で、作成した画像に対する利用権も契約者に帰属するため、商用プロジェクトにも利用しやすい環境が整っています。

弱み:利用にはDiscordアカウントが必要で、インタフェースがチャットベースなため操作に慣れが必要です。専用アプリやWebUIがないため、初心者には戸惑う部分もあります。また無料で使える枠が現在ほとんどなく、基本的に有料サブスクリプションが必要です(後述)。そのためライトユーザには敷居が高い点が挙げられます。技術面では、詳細な文字や数字を含む画像生成(例えば看板の文字など)が苦手とされてきましたが、最新版で改善しつつあるものの完全ではありません。一部、意図しないアナトミーの崩れ(人物の指が多い等)も稀に発生します。さらにブラックボックスなクローズドモデルのため、出力にバイアスが含まれるリスクや、安全性フィルターの挙動が不透明な部分もあります。

価格・利用条件:Midjourneyは定額のサブスクリプション制です。無料トライアルも一時期提供されていましたが、需要増大により停止と再開を繰り返しており、安定した無料利用枠はありません。プランは数種類あり、ベーシックプランが月額10ドル(高速GPU時間約3.3時間分/月)、標準プランが30ドル(15時間分)、プロプランが60ドル(30時間分)などとなっています。高速時間を使い切ると生成速度が落ちる「リラックスモード」で無制限に生成可能ですが、追加の高速時間を購入(1時間あたり4ドル)することもできます。商用利用の場合、年間売上100万ドル以上の企業はプロプラン以上の契約が必要です。契約者は作成画像の著作権を実質的に取得できるため(Midjourney側は二次利用しない)、商用プロジェクトでも安心して利用できます。

最新アップデート情報:2023年12月にMidjourney V6(アルファ版)がリリースされ、文字認識の向上やプロンプト解釈のさらなる精緻化が図られました。V5.2(6月)では前述の「ズームアウト」や新しい美学評価システムの導入があり、V6では一から再学習した新モデルでテキストの描画精度やプロンプトに対する忠実性が強化されています。今後はV6の改善版やV7への開発も進められており、解像度アップや3D的な理解の導入なども示唆されています。

代表的なユースケース:プロのイラストレーション作成(書籍の表紙や音楽アルバムのアートワーク等)、広告バナーやポスターの作成、映画・ゲームのコンセプトアート、建築デザインのイメージボード作成など、クリエイティブ業界での試作と制作に数多く利用されています。個人レベルでも、SNSアイコンやブログ挿絵、趣味のアート生成まで幅広く使われています。特にMidjourneyはアーティスティックな表現力に優れるため、アート作品の創作支援インスピレーション出しによく活用されています。また、「こんなキャラクターを描いてほしい」といったリクエストに応じてイラストを作成するサービスなど、Midjourneyを裏で使ったビジネスも登場しています。

その他の主要な画像生成AI

画像生成分野でも、オープンソースを含む多様なモデルが登場しています。代表的なのがStable Diffusionで、Stability AI社が開発し2022年8月に公開された深層学習型のテキスト画像生成モデルです。誰でもモデルを入手してローカルで実行可能なため(10GB以上のVRAM推奨)、コミュニティ主導での発展が顕著です。拡張機能や専用UI(AUTOMATIC1111版Web UIなど)が数多く作られ、モデルの細かな調整や他分野への応用(例えば画像補完や動画生成補助)も活発に行われています。Stable Diffusionの強みは無償で高度な画像生成を自前でカスタマイズできること、弱みは扱いの難しさ初期モデル品質のばらつきです。高品質な結果を得るには追加訓練やLoRAモデルの利用など専門知識が要求されますが、その分ニーズに特化したモデル作りが可能で、クリエイターや研究者に支持されています。実際、独自に調整された派生モデル(例:写真特化のAnalog Diffusionや、イラスト特化のAnything V3など)が多数公開されています。

また大手企業では、AdobeのFirefly(2023年公開)が注目されます。FireflyはAdobeが自社のストック画像などライセンスクリアなデータで訓練したモデルで、PhotoshopやIllustratorに統合されています。特徴は生成画像の商用利用が安心な点(学習素材の権利処理が明確)と、Photoshop内での生成塗りつぶしテキストエフェクト等の形で使える利便性です。弱みとしては現状スタンドアロンの画像生成性能はMidjourneyほどではなく、Firefly単体での細かなプロンプト指定には限界があります。しかし既存ツールとの深い連携はデザイナーにとって魅力です。

他にも、GoogleのImagenや、Midjourney創業者の新プロジェクトLeapなど、次世代の画像生成AI開発が進んでいます。特に画像内の特定部分を編集する機能(In-painting/Out-painting)や、複数画像間の一貫性を保った連作生成、あるいはビデオ(動画)生成AIへの発展などがトレンドとなっています。画像生成AIの分野はオープンソースコミュニティと企業の両輪で急速に進歩しており、用途やニーズに応じて様々なツールが選択できる状況です。

画像生成AIツールの比較

主要な画像生成AI(DALL·E 3、Midjourney、Stable Diffusion)について、特徴を比較します。

(注) 上記比較は代表的な特徴をまとめたものです。実際の使いやすさや品質はプロンプトの工夫やモデル設定によっても変動します。

最新の動向・技術トレンド

  • マルチモーダルAIの進展:テキストだけでなく画像や音声、動画まで扱えるマルチモーダルなAIが台頭しています。OpenAIのGPT-4も画像入力に対応し、GoogleのGeminiは初めからテキスト・画像・音声・コードを統合学習しています。今後は一つのAIが文章執筆から画像生成、音声応答や動画編集までこなす統合アシスタントへと進化する流れが強まっています。

  • コンテキスト長の飛躍的拡大:長文を一度に扱えるトークン長が大幅に伸びています。Anthropic Claude 2の100kトークンや、OpenAIのGPT-4 128k版など、長大な会話履歴や書籍丸ごとの解析が可能になりつつあります。これにより、小説全編の要約や長期間の対話メモリなど人間の記憶を超える範囲の情報処理が現実化しています。

  • AIエージェント化:単に指示に応答するだけでなく、自律的にタスクを分解・遂行する「AIエージェント」への発展も注目されています。OpenAIのAutoGPTの実験や、GoogleがGemini 2.0で目指すとされる能動的なタスク実行能力など、ユーザの曖昧な目標から適切な一連の行動をAIが自発的に計画・実行する方向性です。これにより、より複雑な問題解決や代行作業がAIに任せられるようになるでしょう。

  • オープンソースコミュニティの活況:MetaのLLaMA 2やStability AIのStable Diffusionなど、モデルそのものを公開する動きが与えた影響は大きく、コミュニティ主導でのモデル改良・専門特化が進んでいます。特に生成画像分野ではControlNet等の拡張技術が生まれ、LLM分野でも各種LoRAによる微調整モデルが次々公開されています。オープンモデルの性能底上げ知見共有が加速することで、大手提供のモデルとの差が徐々に縮まりつつあります。

  • 大手企業によるAI統合:MicrosoftはOpenAIと提携しOffice製品にCopilot機能を組み込み始め、Googleも自社サービス群へ生成AIを統合中です。AdobeはFireflyをPhotoshopに、AmazonはAlexaにLLMを組み込む計画など、既存プロダクトへの生成AIの浸透が著しいです。これにより日常の様々な場面でバックエンドに生成AIが動作し、ユーザは意識せずとも恩恵を受けるケースが増えるでしょう。

  • 法規制と安全性の強化:生成AIの急速な普及に伴い、各国で法整備やガイドライン策定が進んでいます。不適切な出力や著作権侵害、デマ拡散への対策が議論され、開発各社も有害コンテンツを検知・制限するフィルタや、透かし入れ(ウォーターマーク)によるAI生成物の識別技術を導入しつつあります。ユーザ側もこれらを理解した上で適切に利用するリテラシーが求められるようになっています。

  • 新たな競合モデルの登場:OpenAI、Anthropic、Google以外からも次々と強力なモデルが発表されています。例として、2024年にはフランスのMistral AIがLlama系より高性能な13Bパラメータモデルを公開し注目を集めました。また、米スタートアップのAI21 Labsが特定分野に強いJurassicシリーズを展開、IBMやOracleなど大手も専門領域に特化したモデル開発に乗り出しています。今後は領域特化型AI(法律特化AI、医療特化AIなど)との競合・棲み分けも進むと予想されます。

以上、最新のテキスト生成AIと画像生成AIの概要、特徴、違いについてまとめました。それぞれ得意分野や提供形態が異なるため、ユースケースに応じて適切なツールを選定することが重要です。日進月歩でアップデートが続く分野のため、最新情報をウォッチしながら活用していくと良いでしょう。


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