出産で私の人生なんて変わらなかった。
昔読んだ雑誌で、産後とは思えない美しいスタイルの著名人たちが
「出産を経て人生がガラッと変わった!」
「生まれた子どもを抱きしめて、私はこの子を産むためにいままで生きてきたんだと思った!」
など、インタビューで発言していた。
影響されやすい私は、いつか自分も出産したら「人生が大きく変わったと」と思うシーンに出会えるかもしれないとワクワクしていた。
「…シャンパン飲みてぇ。」
2018年12月17日13時5分、出産して最初に思ったことである。
アルコールを欲したわけでなく、シャンパンを開けるぐらいの祝福シーンが欲しかった。
陣痛から7時間「安産ですね」と助産師さんにいわれる出産だったが、それでも私にはしんどかった。
誰か、誰か、シャンパンを私にごちそうしてくれ!
40年近く生きていると「労ってほしい」という気分でシャンパンを欲する場面が何度もあった。
そしてシャンパンを飲んだ思い出もいくばか。
「私、なんにも変わってねーっすわ」
出産して次に思ったことである。
そりゃそうなのだ。
妊娠はしたものの出産のその日まで、いままで生きてきた同じ心で行動し、行動が習慣化され、自分の人格を形成し、人生となっていたのだ。
子どもを産むだけで 、たやすく人生など変わるはずがない。
心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。
心理学者ウイリアム・ジェイムズの有名な言葉だ。
子どもと一緒に生活することで、私の心・行動・習慣は変わっていくだろう。
そしたら人格も変わるかもしれない。
そして私の運命も変わるかもしれない。
ゆっくりと私の人生が変わるんだ。
「なんか、怖いんだが」
と思った。
今まで、自分の人生は自分で舵を取ってあーじゃね・こーじゃねやってきた。
たいしたキャリアはないけれど、自分以外のことで人生が変わる可能性があるってなんか怖い。
大人になるってこういうことか?
大人になれるか?
大人になれたとしても、継続できるか?
そもそも私って「大人」になりたいんだっけ?
子供でいた~い♪
ずっと、トイザらスキッズ♪
大人について考えると、いつもあのCMの曲が頭に流れ出す。
「だからといって、子どもにも戻りたくないんだよな。」
「賃銭が発生しないのに、学校で6時間以上拘束されるなんてまっぴらざます。」
子ども時代を思い返してみると、意外と窮屈だったなと思う。
大人もイヤ、子どももイヤ、今年40歳を向かえる私、イヤイヤ期真っ只中。
いま私がわかることは、「私の人生は 、私が変わると、変わる」。
本当に面倒なことで
誰にも頼めないことで
トイザらスの歌から、いつの間にか頭のBGMが藤原 基央の歌声に切り替わった。
出産で私の人生なんて変わらなかったが、私の生活は一変した。
これから選ぶことひとつひとつから、私は変わっていくだろう。
そして、私の人生が変わるのだ。
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