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美大生がデザインを学ぶ意味
こちらはdesigning plus nineの2024年Advent Calendarの一環として書かれたものです。他の記事も是非ご覧ください!
はじめに
こんにちは、ひじきです。
現在、某美術大学でデザインを学んでいます。
さて、専門的な教育*を受けていない人でもデザインを手軽に学べる時代が到来しました。絵もAIに描いてもらえるし、簡単なロゴだってつくれてしまうし。美大とか行かなくてもデザインできるじゃん…?
私の貴重な高校生活を実技の受験対策に捧げた意味は一体なんだったのでしょうか。
というわけで今回は、美大で学ぶことの意味を考えてみました。(あくまでも個人の推察であり、美大生全員に適用されるとは限りません。ご了承ください。)
*美術大学、専門学校、短大、大学院等
美大で学ぶことの意味
考察① デザイン一連の流れを俯瞰できる
毎回の授業は
課題説明→実制作→講評
というサイクルが1〜2ヶ月ごとに行われます。
このサイクルの中で、
- 課題に対する自分なりの解釈
- 実現するための方法模索
- 実制作
- プレゼン
以上を基本ひとりで行います。締め切りもしっかり。計画が得意ではない人にとっては大変ですが、課題をこなすことにより計画性が多少ついてきます。
ものが作られる過程を一通りこなすことで、この作業には何時間かかるとか材料はなんだとか考えて、ものってこういう作られ方をしてるんだな~と想像する力がつきます。つきました。
考察② 苦手な分野にも触れられる
みんな、Webデザインをやりたい!とか、3DCGで戦うぞーとか、はたまたプロダクトだけ一生やるわーとか、何かしら得意な分野をもって入学してきます。しかし、大学のカリキュラムに組み込まれている以上、苦手な分野でも制作しないと単位はもらえません。嫌々ながらやる人もいます。
私は、この苦手な分野に触れることがとてもいいなと思います。理由はふたつ。ひとつは、避けて通るより苦しみを知った方が絶対将来のためになるから。もうひとつは、アイデアの引き出しが増えるから。
将来のためになる
いろんな業界の人と仕事するようになって、知らない分野のことを少しでも知っていた方が強い。
ひとつのものが世に放たれるまで、本当にいろいろな分野を通りますよね。プロダクト・Webサイト・ポスター・写真等々、、、なにかをデザインする人がまわりにある領域のことを知っているだけで「ポスターでこういう使われ方をしそうだから、頼まれてないけど違うカットも撮っておこう」とか、気遣いができそうな感じがします。
引き出しが増える
これは大学でも口酸っぱく言われていることなのですが、おもしろいアイデアはどれだけ違う分野にジャンプできるかが大切です。きれいなものを作るだけでなく、根本的な問題解決を求められている私たちにとっては、手垢のつきまくったアイデアなんて見向きもされません。
無理矢理でも知らない世界に足を突っ込むことでも、「これ進研ゼミでやったわ!」みたいなひらめきが起こります。
仮に苦手な分野で失敗したって、うまくいった人の作例が見れるので無駄になりません。だって、同じ課題に対して140通りのアンサーを知れるのだから。
終わりに
今回はいち美大生、かつdp9に所属している立場として、私たちの強みはどんなものになるかを考えてみました。最初は意味について考えていたのですが、美大の強みになってしまいました。すみません。
余談ですが、このデザインサークルにも美大とはまた違った価値があると思っています。
進んでいる道は違えども、デザインによってその道が交わり、全く違う分野とのコラボレーションができるところが何より魅力だと感じています。
(みんなとても勤勉なので、ものすごいクオリティの作品を作ってしまうわけです。専門的に学んでいる身としては 美大に入った意味なんてあるのだろうか、とときどき不安になります。がんばります。)
求められたものを求められたとおりに作るだけでなく、
"常に新しい価値を提供できる"
そんな美大生でありたいと思っています。
トップ画像:UnsplashのKelly Sikkemaが撮影した写真を使わせていただきました。