自作品の夏、テニスの夏
自炊について
まあやっている。全食事のうち6割くらいか。
東京に来て数日のうちにまいばすけっとで調味料を買い揃え(マジで全部大ボトルで揃えました)たのですが、調理の段階になって「はっ、アレがない」と気づいて買いに走ることもしばしば。
すごいな品川は……。なんでこんないたるところにまいばすけっとがあるんだろうか?ポップ体を店の看板に採用するキャッチーさ、LOVEだね。
あまりにも頻繁にまいばすけっとが配置されているので東京の友達に「まいばすけっとは東京を支配しているの?」と聞いてみたが、
「ライフ一強っしょ」「いやイトーヨーカドー」とバラバラな意見であった。品川にありすぎるのかもしれない。
沖縄フェアで販売されていたコーヒーちんすこうが美味しかったのでリピートしようとしたら最寄りのまいばすけっとでは売り切れていて、辺りの別のまいばすけっとを駆け巡って買い求めたこともある。
まいばすけっとに加えて商店街もあるので、食の調達や選択肢には困らない日々。若干計算をめんどくさがってまけてくれるおばあちゃんがいる八百屋や、割引をバンバンしてくれるローソンなど素敵な店だらけである。
マンスリー暮らしをしてしばらくして気づいたのだが、私は長らく実家で暮らしていたため適当な肌感覚で作ると4人分の量の飯を作ってしまうのだった。
俺が……4人分になる。
これでは永遠に3食同じメニューで固定されてしまうよ~~~~!
早いところ1人分の炊事量に慣れなくては……。
「ちょっと、作りすぎちゃって……❤️」っておかずを持ってくるエッチな隣人シチュも食事のたびに毎回やってちゃ計算ができない狂人でしかない。
まあ……実際のところ、退去の日までついぞ「一人暮らしの適量の調理」の境地には辿り着けず、ひとたび調理すればずっとずっと同じものを食べるという暮らしであった。
それにしても1日3回の食事、その都度自分が何を食べるか、何を処理すべきかというカードを常に自分が握っているというのは幸せなことであるなあ。
実家にいる時はずっと「なんでまだ前の晩のおかずとごはんが残ってんのにみんな無視してカップラーメンとか食べちゃうのーーー!!?😿」みたいな怒りをずっと抱えてくよくよ生きて、残飯をもりもり食べていた気がする。
人にむやみに怒りを燃やすというのは、エネルギーを莫大に生み出すタービンであり、そしてむなしくも苦しくも寂しくもある。
自分が作って全部自分が食べるということは、シンプルですてきだ。
レイトショーに駆ける
レイトショー、憧れだよね!
私は学生時代は映画館スタッフのバイトをしていたのだが、そんなに映画を見る方ではなかった。仕事として大学から向かう分にはいいが、休日に家から原付で向かうには映画館という場所があまりにも遠いのである。
レイトショーなんて行こうものなら家に着く頃には1時半だか2時だろう。
心配する親を宥めすかして何度か友達と行った記憶はあるが、それこそ1,2回くらいのことだった。
数日前からTwitterで「ドラゴンボールの映画、めちゃくちゃ面白い」という話がしきりに流れてくるようになり、私も機会があれば行ってみようかな?と考えていた。
品川には立派な映画館もあるし、家から歩いても数十分のことだ。
家から歩いて映画館に行けるなんて…なんて幸せなことだろうか……。
せっかくなので、レイトで観てやるぞ!と意気込み、チケットを予約。家で夕飯を軽く食べて向かうことにした。
晩御飯を食べた後に出かけるなんて今までの人生で滅多にないことなので本当に心が躍ったし、その向かう先はレイトショーでドラゴンボールだ。最高!!!!
愛媛の映画館で事前の座席予約をしたことがほぼないので発券に多少もたついたが、久々の映画だしレイトショーだしとウキウキでキャラメルポップコーンとコーヒーを購入。
シアターに入り、機内モードに設定しようとスマホを取り出した瞬間、仕事の連絡が入っていることに気づいた。
「申し訳ありませんが何かあれば○時半までに連絡ください!」とのことだった。
今は…… レイトを見ていたら……この時間は…
私は一瞬、この連絡を見落としたことにしてドラゴンボールを観終わった後に「今気づきましたけどオッケーでした!問題なかったです!すいませんー!🙆♀️」で切り抜けようとする世界線の自分を己の中に垣間見たが、すぐにポップコーンを抱えて席を立った。
……いやちょっと…ポップコーンを丸裸で抱えて品川を疾走してる女って危険かも…と気づき、5分前にポップコーンとドリンクを渡してくれたばかりの売店のお兄さんに「も、持ち帰りの袋欲しいんですが……」と声をかけると「レジ袋◯円です。」と淡々と教えてくれた。
今俺は1400円のレイトショーを振り払って出てきたが、そればかりにレジ袋で追加料金まで払うのだと思うとたまらない気持ちだった。
レイトを抜け、品川を駆け、マンスリーで修正作業をし、耐熱ボウルにポップコーンを移し替えてもそもそと齧る。
手元には、映画のネタバレになるから鑑賞後に開けてください!と書かれているので開けられないドラゴンボールのカードと、「お、俺は漫画家としての尊厳を守ったぞ…」というやぶれかぶれな気持ちが残った。
後日上がってきた修正後の物はとっても良くなっていて、ものすごくこの日の夜が報われた気がした。ポップコーンは半分くらい食べたまま湿気た。
池袋の神クズ広告を見にいく
池袋のサンシャイン方面に神クズの放送直前の広告が張り出されているとのことで、見に出かけた。
ツイッターでよく見る「○○駅に××の広告出てるって!」「仕事帰りに行こうー!」みたいな田舎民には全く縁のないオタクムーブを実際にやっていると思うとなんかちょっとソワソワする。しかもそれが自分の漫画のアニメなのだし。
帰りに池袋のフランフランで小さな皿を買って帰った。お浸しを載せようと思う。へっ、フランフランだってよ。この俺が……。
ところで東京に来てからみんなちっさい扇風機を持ち歩いて顔に風を当て続けているなあと思っていたが、まさしく若者の間では「フランフランの・ハンディファン」が流行っているらしく売り切れのポップが掲出されていた。
別になんでもよかろうが!?とも思うが、あくまでもフランフランのをみんな持っててカワイイのだ、という感覚は何というか若者的でキュートだな、と感じる。
というか、東京に来てから思っていたことなのだが、東京って人間がたくさんいるから「これって流行ってるって聞いたけど、ほんとに今流行ってるんだなあ」ということが一目瞭然ですごい。ファッション系youtuberなんかが今年のトレンドはこれ!と紹介していても地方の感覚だと伝来するまでにラグがあるのだが、東京ではそれを見た後すぐにそういう格好をしている人が目に飛び込んでくるのだ。
これでは…あーっ!!流行の服が欲しい!と常に思い続けちゃうかもな、と感じた。欲望の都。
テニソニと神クズ1話放映
「この頃には東京に住んでいるはずだから、行けるぞ~!」と胸躍らせてテニソニ(『テニプリ☆ソニック2022-おてふぇす in 日本武道館-』の略である)のチケットを確保していた私だが、日が近づくにつれ薄々(テニソニってさあ…もしかしなくても神クズ1話が放送する日じゃね……)ということに気づき始めた。もっと早く気が付いてほしい。
しかしながら神クズのテレビ放送は金曜25時53分、要するに深夜1時53分開始というバッチバチの深夜アニメなのでテニプリにブチ上がった後若干体を休めても余裕があるくらいのスケジュールだ。
良かった。バッチバチの深夜アニメで……。
さて、テニソニに行くぞ~となったところで私はそもそも開催地すら調べていなかったことに気づいたが、思いっきりイベントタイトルに武道館って書いてあった。
なんというか、「愛媛から東京に出ることを考えたら電車でどこでも行ける東京での移動なんて誤差だなァ」みたいな豪気な感覚になってきており、とりあえずチケットを取っておいて前日に場所を調べるみたいなメチャクチャなスタイルが身についてしまった。これが都会人の感覚なのか、下調べ皆無愚者暴虐ルーズ感覚なのかは怪しいところだが……。
武道館。今まで行ったことが無いので駅すらわからないが、九段下というところに行けばいいらしい。
とりあえず推し校である聖ルドルフのイメージカラーである茶色と白っぽい格好に身を包み向かってみたが、本当にテニプリのイベントをやっているのだろうか。
全くそれらしいオタクを見かけないなあ(同人イベント会場の方向をカート引いてるオタクで判断するタイプの人間)…と思っていたのだが、改札を出た瞬間に空気が一変した。
カラーギャング!!カラーギャング!!!テニソニ公式アロハ!!!!!公
式ジャージ!!!!!!!!カラーギャング!!!!!!!!!!!!!!
私は「推しイメージコーデでイベント参戦はオタクの華やんなあ」と思っているクチなのでこの光景には圧倒された。すごい。推し校のアロハは出なかった(ああ無常黒岩涙香)のでヘッ、俺にゃあ関係ねえ話だぜと思っていたのにオタクがキャミワンピと合わせて見たり、タスキ風にしてみたりと思い思いにアロハで着飾っているのを見ると羨まC~~!!と思わざるを得ない。
アロハが出ていない学校カラーギャングのオタクを会場で見る度に「もまいら…心強いぜ!」と念を飛ばす。地元愛媛のリョーマ!応援上映聖ルド・六角DAYに行ったら明らかに聖ルドのオタクが私含め2名しかいなかった大逆境を思い出した。
もう開演が近いためかそれほどは並ばずに済んだ物販でランダム缶バッヂやTシャツを買う。以前行ったアイマスライブなんかでは男性がほとんどなので、その辺の階段でガバッと買ったばかりのTシャツに着替える人がいたりして羨ましかったな…。
武道館前のカフェで何か小腹に入れておこうかな?と思ったがもう店内にいる人たちを最後に閉めているらしい、ということを店の近くにいた方から教えていただく。ヌクモリティ。
武道館の中は熱気に包まれていた。こいつら全員、テニスのオタク!?
そもそも自分の座席がどこかも調べずにここまで来てしまったが、スタンド席のかなり上の方だった。が、通路の後ろなので人の頭を気にせず見られる良席。
結論から言って、テニソニは素晴らしかった。
近年行ったオタク系イベントでもトップクラスに入る狂乱の宴っぷりで、スタンド席だと跡部様の威光を受け文字通り崩れ落ちるオタクがボコボコ!!と沈んでいく様がよく見えた。
私はここ2年でテニスのオタクになった身であるが、とにかく一通りは調べないと気が済まないタチなのでなんでもかんでも文献にあたり、インターネットアーカイブでイベントレポや週刊連載時の感想を読み…と情報を貪り食ってはいたものの、どうあがいても「小学生の時には不二先輩が初恋で」「テニプリは青春で」といった思い出を持つことができないのがなんとも悔しくも切なくもあった。
しかしながらテニソニは……私が必死にさらってきたテニプリの美しい歴史の一片を見せ…そしてどんなテニプリオタクでもまだ見たことのない新しい未来を見せてくれることで……私もテニプリの歴史の一部に立ち会っているんだ、置いていかれないのだなという幸福感に満ちていたと言えよう。
「青学(せいがく)テニス部に捧げるヤッホー」は突如許斐先生が現役テニミュキャストとシンクロしたダンスを披露し始めたことでさしものオタクたちも騒然となったことが印象に強いが、私はあの次々にステージに現れた青学キャストによる「ああ!!青学がそこにいる!」という新鮮な驚きがまだ頭にこびりついている。なんでだろう、もう不動峰公演で1度見たというのに。いい歌だ……。
「1 FOR 214」も素晴らしかった。私は氷帝ないしシシドサンに関しては「友達の推し」というところで感情が留まっているきらいがあった(でもなんか友達の推しだと思うと一歩引いちゃうことってありません?)が、この曲、楠田さんの言葉を聴いただけですっかり氷帝ってぇ~……個々の芯がきっぱりと立っていてそれでいてリスペクトし合っていて絆があって…あったけえ…素晴らしい学校じゃん…!!宍戸さん、なんてかっこいい男なんだ!!!鳳長太郎の気持ちわかるよ!!!と感極まってしまった。あまりに感動したせいで偶然出くわした楠田さんに「テニソニの1 FOR 214、本当に素晴らしかったです!!」と訴える夢まで見てしまった。極まりすぎである。
特筆すべきは「50/50~ゴンタクレ~勝ったモン勝ちや」の遠山金太郎メドレーであろう。50/50は特に好きなキャラソンなのでまぴとらいまさんで見られるなんてワシャー幸せもんじゃ…ナンマンダブ…という感じであったが、杉本ゆうさんが出てきてらいまさんと掛け合いながら、じゃれあいながらゴンタクレを歌い上げる光景には思わず発狂。3rdシーズン終了後にテニミュ入門のオタクには憧れのほほほいほほほいほほほいほいペンラまでやらせていただき感謝感激雨嵐である。
かねてよりゆうさんの金ちゃんへのまなざし、母のような慈しみに触れるたびに何とも言えない幸福を感じていたが、尊敬する友人のような距離感で金ちゃんに接するらいまさんまで出てきたのだからもう訳が分からん。
ステージにいるのは確実に遠山金太郎を演じている人間2名であるが、互いが互いを金ちゃんと呼び合ってハケていくあの瞬間には不思議と3人目、本物の遠山金太郎さんに呼び掛けているような途方もない愛を感じた。幸せなメディアミックス百景に選ばれるべき名シーンであろう。
世界よ!見よ、これがテニプリエンターテイメントだと言わんばかりの濃厚な幸せにフラフラになった私は武道館を後にしたが、駅がごった返しているので近くで飯にしてから帰ることにした。王子様達にメロメロになった女が一人で行くべき店、それはもちろん日高屋である。
ラーメン枝豆レモンサワーで一人静かにブチ上がっているテニソニの興奮を色濃く纏ったオタク達が友人と楽し気に入店してくる。
ハア…いいなあ、次は友達とこういうイベント来たいよな………
それにしても楽しい1日だった…。
いやあのぉ!!!!!!!!!!!!!今日から神クズアニメ始まるんですけどぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
夜に子供の大事なピアノ発表会があるのにフェス行ってブチ上がって酒飲んで楽しくなっちゃってるヤバい親?
でも…神クズアニメはほぼ深夜2時だからなんなら12時から風呂入っても余裕で体勢を立て直すことができ…もういいよその話は!
担当さんがアニメ1話記念に下さったお酒とつまみで晩酌しながら鑑賞。え!??!こいつまた飲んでる…
自分のアニメが地上波で放送されているというのは本当に得も言われぬ感情だったが、実況ツイートをしながら、今まさにリアルタイムで私と共にこのアニメを見てくださっているファンの方がいることにしみじみと感謝した。だって普通の人には……バチ深夜だぜ。寝なよ。
なのに起きてくださってるんだから、ほんとにありがたいことで…。
まあまた、いずれ1話放送の時の心理状態についてはどこかで話したいと思います…。
すごいよなあ。武道館行って日高屋行って自分の家に帰ってきて自分の漫画のアニメ見てるんだぜ。
東京って色濃い幸福を全部電車でつないだ都なのかもなあ。