犬の糞
・おれは犬の糞の注意書きがかなり好きだ。
・町のジジイの家の前によく貼ってある。お爺さんの家ではなく、ジジイの家だ。
・犬の糞の注意書き、正式名称はわからない。とにかくジジイが犬の糞への怒りのままに殴り書いた注意書き。それが犬の糞の注意書きだ。
・2個設置してあるところがジジイらしくていい。
・「捨て場でない」って言い回し、ジジイ特有の言い回しでかなりいい。
・「糞」という字は振り仮名が無い場合、積極的に「くそ」と読んだ方がいい。ジジイならそうするだろうから。
・「犬の糞」だけが残った状態で放置しているところがジジイらしくてかなりいい。
・ジジイは下にどんな言葉を書いていたのか、と考察を掻き立てるかなり迫力のある余白だ。
・犬くそ。
・ジジイが怒りで思考がバグって「犬くそ」とだけ書いた。かなり洗練されている。
・かなり年季の入りまくった錆からジジイの努念(どねん)が伝わってくる。
・ジジイは俳句が好きだ。
・たとえ犬の糞の注意書きであっても、己の俳句センスを見せびらかそうとする。
・「ポーイすて」て。
・友人からの情報提供。
・人への注意書きだとして、「犬糞させないで」はわかる。
・その横の「しないで」とは?
・「犬糞しないで」だとして、犬が字を読めるのか?
・「人糞しないで」だとして、ジジイの家の前で人糞をした奴がいるのか?
・答えはジジイにしかわからない。
・みなさんも、ジジイの家の前をよく観察してみてほしい。お爺さんの家ではなく、ジジイの家だ。
・きっと犬の糞の注意書きはあなたのかなり側にある。
・おれは犬の糞の注意書きと、「かなり」という副詞がかなり好きだ。