絵本で子育て〜わたしとあそんで
子育てに求められるのは、なによりも子どもをやさしく見守る眼差しです。この絵本にはそれがお日さまという形で描かれています。世界はやさしい……そんな思いを子どもと一緒に感じてください。
マリー・ホール・エッツが描いた絵本「わたしとあそんで」は、1968年に出版されて以来長い間多くの子どもたちと親に親しまれた絵本です。
この絵本から、
受け入れる、そして見守ること
を知ることができます。
さて物語は、柔らかな微笑みを讃えた女の子が楽しげに原っぱにやってきます。そこに様々な動物たちが近寄ってきます。原っぱのある日の1日を丁寧に描写しています。
原っぱに遊びに来た女の子は、そこで見つけたバッタ、カエル、カメ、リス、カケス、ウサギたちに次々と
「あそびましょ」
と躊躇なく近づいて行きます。
ですが動物たちはみんな隠れてしまうのです。
今度は池のほとりにじっとしていると、さっき離れていた動物たちが次々と彼女の周りに近づいてくるのでした。
最後にシカの赤ちゃんがやってきて女の子のほっぺたをなめました。
女の子は思うのです。
わたし あぁ いまとってもうれしいの とびきりうれしいの なぜってみんながみんなが わたしとあそんでくれるんですもの
小動物にとって強引に追いかけ回される女の子は脅威でした。
ですがじっとしている女の子は自然の草木になったよう。自分主体の能動的な態度から周りを受け入れる受動的な態度へと変わったのです。
受け入れる
そこに大きな喜びを女の子は得たのです。
そして女の子をずっと見続けていたのがお日様です。柔らかい光を届けながら女の子を見守り続けました。
無条件で暖かな目で見守られることの大切さは幼い子には必要です。
何も特別なことをする必要は無いのです。ただあなたがいつもその子をやさしい気持ちで見ているだけで。
この絵本から、どこまでも優しく柔らかい世界に浸る心地よさ、無限にも思える時間を絵本で体験できます。
子どもたちには慈しみの優しい眼差しの中ですくすく育ってほしいと心から願っています。
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わたしとあそんで
マリー ホール エッツ作 よだ じゅんいち訳
福音館書店 1968/8 発行