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絵本で子育て〜おやすみなさいおつきさま

子どもと親に落ち着きを与える絵本。子どものはじめての絵本としてもおすすめです。変化は閑かにゆっくりと、子育てする時の心構えをこの絵本は教えてくれます。


1979年に日本で出版され今も版が重ねてられている絵本です。

2歳半くらいから絵本に親しむ子どもにとって、はじめての絵本にふさわしいすてきな絵本は、読む親にとっても心休まる絵本です。

“子育て”は“親育て”でもあります。

子どもを育てながら、親になっていった自分を思い出します。

この絵本の落ち着きは、親にこそ必要だと今になって思います。

わたしが子育てでかなしくなったりイライラしたのは、自分の時間が持てなかったから、という理由でした。そんな時は30分でも書店に行ってひとりの時間をとっていました。すると、すーっと落ち着いた気がします。

また、慌ただしい1日の終わりに子どもと一緒に読む絵本は、眠る前に心落ち着く時間です。絵本のやさしい淡々としたリズムが読むうちに心がストンと楽になっていました。

繰り返す。

絵本は繰り返しが多いですが、予定調和は安心を与えてくれます。そこに少しの変化とそれを見つける楽しみ。子どもと一緒にそんな世界にひたれるのが絵本です。

みどりの部屋に注目

鮮やかな緑色と朱色の暖炉のある部屋。その窓から見えるおつきさま。絵本は鮮やかな色彩のページとグレーの見開きが交互に配置されています。

グレーの見開きでは

おやすみ

と呼びかけるモノが大きく描かれ、カラーの見開きでは部屋全体が描かれています。

この絵本では静かに進む時の流れを感じることができます

カラーのページは最初は明るく夜空は藍色で星が瞬いています次第に部屋はほのかに暗くなっていきます。ゆっくりゆっくりと眠る時間が近づいていることが分ります。

お話はいたってシンプル。子ウサギがひとつひとつモノたちに「おやすみ」をつけて進みます。部屋の中やそこにあるモノをとても丁寧に描いています。

2つある大きな窓の左窓から月が見え始め部屋に月明かりが差し込みます。夜空は青く輝きウサギはベッドで目を閉じる。ゆりいすにいたウサギのおばあさんは姿を消していきます。部屋は人形の家の明かりだけが灯されておはなしは終わります。

最後には「そここできこえるおとたち」にもおやすみ、を言っているのがとても新鮮でした。

部屋は薄暗く静かで安らぎを感じる。そこには安心がみえます。身近にいつもある、毎晩「おやすみ」を告げるモノたちに囲まれているのですから。

おやすみを告げていくモノのストーリーを想像する

この絵本を眺めていると、次々にいろんなことを想像してしまいます。不思議だったのはベッドサイドの丸テーブルに置かれ、電気スタンドに照らされた

くし と ブラシ おかゆが ひとわん

さて、お粥食べたの? くしとブラシで身づくろいした後で?具合が悪かったの?風邪ひいて寝ていたのかな?全部食べることできなかったの?

部屋には手袋が干してある〜季節は冬? 暖炉に火もあるし、おばあさん手袋を編んでいるものね。

ベッドの脇の引き出しの上には、黒電話と本が1冊〜本はこの絵本「GOODNIGHT MOON」絵本の中のウサギもこの絵本を読んで眠りにつくんですね。

以前アメリカのTVドラマ「ER」で子どもがベッドでこの絵本を読んでもらっていました。読んでいるママもゆったりとやさしい様子で読んでいました。

ぜひゆっくりと絵本を楽しんでみてください。

◉◉◉

おやすみなさいおつきさま

マーガレットワイズブラウン作 せた ていじ訳

評論社 1979/9発行 




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