絵本で子育て〜イヤだイヤだ!と言い出したら『ちいさなふるいじどうしゃ』
何でもかんでも、いやだ!いやだ!と言い出したら一緒にこの絵本を読んで見ましょう。いやだ!のわけが少しわかるかも知れません。安心してずっーーーといやだ!と言い続ける子どもはいません。いやだ!の意思がどこへいく着くのか一つの答えかも知れません。
決めゼリフが好きな子どもたち
ぼくは いやだ! そんことは おことわりだ。まっててなんか やるもんか!」
この絵本の決め台詞とでもいいましょうか。
とにかくなんでも、いやだ!いやだ! なのです。
運転手さんがちょっと待っていてくれよ、
というのも聞かず、走りだします。
道路を走っていると道を横断しようようとする、
カエル、ウサギ、アヒル、ウシ、お百姓のおばさん、
と次々にに遭遇します。
ちょっと待ってておくれ、とみなが言いますが、
お構いなしに走り去って、みなを蹴散らして。
最後に出会ったのは踏切を渡ろうとする機関車。
やっぱり、いやだ! と走って、
ぼっかーん!がっしゃーん!
こなごなになった、ちいさなふるいじどうしゃ。
駆けつけた運転手さんは、
「この きかんぼの、ちいさな ふるい じどうしゃめ」
「こいつは、したくないことは ぜったい しなかった。もう おそい。こいつのために してやれることは、もう なんにも ない。〜」
がらくたになってしまった、ちいさなふるいじどうしゃは、
お百姓のおじさんに拾い集められて、
跳ね飛ばされた動物たちの家なったり、ブランコになったりと、
みんなの役にたちました。
向こうみずの行き先は
このおはなし、教訓めいた風にもとれますが、
それよりも、きかんぼのじどうしゃが、いやだ!いやだ!好き勝手する、
そこにちょっと爽快感を感じます。
機関車に突っ込んだら、こなごなにになると、わかってか知らずか、
最後まできかんぼを押し通した、じどうしゃの向こう見ずな所も
本当はそんな風にしてみたい、
ダメだとわかっているけれど、そうしたいんだ、
という気持ちをじどうしゃが、代弁しているように感じました。
意志の強さを持つこと、
あるいは妥協することができなかった、じどうしゃの性格、
したくないことはぜったいしなかった、じどうしゃの末路を
子どもたちはどんな風に感じるのでしょうか。
何を感じる?
家にあるこの絵本はかなり年季が入って、息子がかなりお気に入りだったと窺えます。小学校に朝読書でもギャング世代と呼ばれる3年生によく読みました。
最初は面白そうに聞いていますが、最後は粉々になっておはなしが終わると、きょとんとした様子が印象に残っています。
いやだ!を連発する自動車くんは彼らにどううつっていたのでしょう。
何をどう感じるかはその子次第です。ひとりひとりが感じる体験こそが大切なのではないでしょうか。一度それを体験し考えた経験はどこかに刻まれるものです。
読む側も一緒に体験しましょう。
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ちいさなふるいじどうしゃ
マリー ホール エッツ作 たなべいすず訳
富山房 1976年発行