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都合の悪い質問には応じない小池知事に「アラート!」

 東京アラートとして定められていた数値基準が撤廃された。その代わりに小池百合子都知事が新たな「指標」として掲げたのが、感染状況と医療提供体制について専門家による分析を経て、「総合的な判断を行う」という新指標だ。具体的な数値基準は設けられていない。直近の2日間で、連続して100人を超える新型コロナウイルスの新規感染者が報告されたものの、2日の緊急会見、3日の定例会見共に「感染拡大要警戒」「夜の街 要注意」と小池フリップボードを出して注意を呼びかけるにとどめた。

 この1週間の感染状況を見ると、従来の数値基準を上回っており東京アラートの発動、そして自粛要請などの議論が必要である段階と言える。だが、休業要請について小池知事は、「国が緊急事態宣言を行うようなことがあれば、専門家の意見を踏まえて検討する」との考えを示すのみで、警戒を呼びかける以上の対策はない。

 3日の定例記者会見には、事態を重く受け止めたと見られ、TBS「報道特集」のキャスター金平茂紀氏が出席。都のコロナ対策について追及する構えだったが、小池知事は会見冒頭に「今日はこの後の予定が決まっている」とアナウンスし、記者からの質問時間を少なくすると牽制。その言葉通り、質疑応答で指名されたのは記者クラブ加盟社の5人だけ。金平キャスターは指名されなかった。

https://youtu.be/zHajAOx7BiA?t=2423

 金平キャスターは記者会見終了直後、「知事、仲間内だけ当てないでくださいよ」と質問に応じることを要求。これに対し、小池知事は「お顔が見えませんで。失礼しました」と会釈しながらも質問には応じず、そのまま退出した。3月14日に実施された総理会見のように記者たちが揃って「まだ質問があります」と声をあげることはなく、今日の会見で唯一、声をあげたのはフリージャーナリストの横田一氏とフリーランスの私のみだった。

 その後、囲み取材をするため金平氏や横田氏ら他の記者と共に出待ちをしていたが、知事は立ち止まることなくスルーしていった。普段、記者会見後の囲みをしている記者によると「これまで(囲み取材に)応じないということはなかった」という。

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 自分にとって都合の悪い質問をする記者はたとえ、有名キャスターであっても無視する。それが小池流の情報公開である。都知事選挙の投開票日が迫る中、「夜の街」を敵に見立てることに注力し、自身の対策の不十分さを追及させない選挙ファーストを打ち出す。やってる感の演出だけで、具体的な対策がないにも関わらず選挙戦を勝ち抜こうとしている現在の状況は、東京アラートよりも以前に灯さなければならなかった「小池アラート」だ。 

 

 

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